表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんなこともあろうかと!  作者: 司弐紘
31/107

伸びしろですね

「私も最近まで知らなかった――いえ、知っていたとしても気にしなかったかも知れません。ですが彼らがこちらに行った振る舞いはやはり見過ごせない」


 ミオとパシャが微妙な表情になっていることに気付かなかったのか、マクミランがもっともらしいことを言い出した。

 つまりは「ラスシャンク・グループ」を見限るのにもっともな理由だ。


 そしてダスティ達の所業は誰よりもミオがよく知っている。


「それで……『ラスシャンク・グループ』に愛想を尽くして『ダイモスⅡ』に? それはそれでわからないでも無いですが……」


 モップを持ったパシャがマクミランに声をかける。

 確かに「ラスシャンク・グループ」を見限った動機はそれで良いとしても「ダイモスⅡ」を尋ねてくる理由が無い。


 いや、理由は簡単に想像できるが、本当にそれで良いのか。

 嫉妬のあまり飛び出して、元の雇い主に復讐しようなどというのは……


「それが全く無い、とは言いませんが、私はこちらの伸びしろに興味を抱いたので」


 パシャが言葉にしなくても、マクミランは警戒されていることを察したのだろう。

 一部はそれを認めつつも、マクミランは他にも理由があると言い出した。


「伸びしろ?」


 その理由を繰り返し、ミオが確認する。


「そうです。私は『ラスシャンク・グループ』でもかなり大事な仕事を任されていたと自負しているんですが――」

「はぁ」


 確かにそんな雰囲気だ。

 ミオが素直に頷いた。


「最近、参事会が扱っている箱。それはこちらで作られたものではないのですか?」


 そう言いながらマクミランの視線は、店内を掃除するゴーレムを追いかける。

 確実に見抜かれている。そう思わせるマクミランの動きだった。


「それに『ラスシャンク・グループ』としてもこちらの仕事ぶりに注目していたこともありまして……」


 つまりはデボンが動かしている荷車についても知っているということなのだろう。

 そこまで知った上で「ダイモスⅡ」へ転職希望ということだ。


 あるいは「ラスシャンク・グループ」への裏切りとも思える身の処し方だが、これに関しては、先にダスティ達を受け入れた「ラスシャンク・グループ」にも問題がある。


 そういった事を鑑みると、マクミランだけを(あげつら)う事も何だか間違っている気もする。

 それに「ラスシャンク・グループ」からマクミランが飛び出てきた理由がダスティへの嫉妬と考えるなら――


「きっと、役に立って見せます。私を雇ってはくれませんか?」


 マクミランが立ち上がって深々と頭を下げた。

 ここまでやられるとミオとしても断りづらい。


 その上――


「|こんなこともあろうかと《・・・・・・・・・・・》、考えていたことがあるんです」


 パシャの“いつもの”が飛び出してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ