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こんなこともあろうかと!  作者: 司弐紘
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経験値泥棒の台頭

 ダスティの弟分、ケーンが受け持っている店の名前は「ボムズドラゴン」という。

 そしてメイが受け持っている店の前は「サンダーフェニックス」。


 ダスティの店が「ブラックライオン」であるので、ネーミングの方向性は揃っているようにも思える。実に不良少年らしいという方向で。


 そして現在、ダスティは三つの店を掛け持ちしている様な状態だ。

 実質的には三つの店舗のマネージャーと言っても良いだろう。


 そこに至るまでにはこういう経緯がある。

 まず「ボムズドラゴン」はパンの専門店だった。ダスティから引き離してしまえばケーンは実に真面目な性格で、竜人種族らしく力も強い。


 それが熱心にパン種をこねるものだから、一際違ったパンが焼き上がるのである。

 つまりは他店との差別化が出来た。


 さすがにダスティは兄貴分らしくケーンが立派に仕事が出来るようになったことを喜んだ。

 ただし、ケーンが体得したパン焼きのコツなどを、奪い取ってしまった事は兄貴分としてどうなのか。


 技術であるから「奪い取った」という言い方は当てはまらないだろう。上手い具合に真似すること出来るようになったと言うべきか。

 しかしケーンが苦心した部分を飛び越えて、成果だけを真似したのだ。


 やはり「奪い取った」と言うべきかも知れない。


 それが如実に表れたのが「サンダーフェニックス」においてだ。

 「サンダーフェニックス」は砂浜沿いに開店し、そこで海の幸を提供するというコンセプトがあった。


 で、あるから店内には調理を請け負うものが多く、パンを焼くことで一気に調理に目覚めたダスティが、その技能を模倣してゆく。

 この頃、メイは思った以上に詰めかけていた客を相手するのに精一杯で、彼女自身のやんちゃ仲間を呼び集めたりしていた。


 当然、そういった友人の調整でさらに忙しくなり、自身の調理技能の向上にまでは手が回らなかったのである。その間にダスティは「ラスシャンク・グループ」が手配した調理人の技能をかすめ取ってゆく。


 いつの間にかダスティが「経験値泥棒」と呼ばれる事になっていたとしても、それは仕方のないところだろう。


 その事についてはダスティも思うところがあったのか――単純にむしゃくしゃしただけの可能性も高いが――「ブラックライオン」をグランタに譲り、自身は三店の補佐に専念すると宣言してしまった。


 かすめ取った技術は各店の手が足りないときに救援に回るときに使うと宣言したわけである。

 その理由は後付けではあるが、確かにダスティは必要な人材になったのである。


 そしてダスティは自然と三店のプロデュースを受け持つことになり、それはそのまま「ラスシャンク・グループ」に置いて地歩を固めることに繋がった。


 そしてそれが理由の一端ではあるのだろう。


 マクミランが「ダイモスⅡ」の扉をノックした理由として。

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