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大人になりたい少女

ある町の町外れの山の奥には一人の少女が住んでいました。

その少女は自分がずっとずっと子供のままであることに疑問をもったことがありません。

何故ならば、自分はいつも一人だったからでした。

誰にも気づかれることなく、自由に、自由に生きていました。


ある日、一人の旅人が山に入り込んで迷い、倒れていました。

少女はその旅人が非常に珍しかったので家へと連れて行きました。


目を覚ました旅人は少女に礼を言うと、「両親はいないのか?」と尋ねました。

それに対して少女はずっと一人だったから分からないと答えました。

旅人は少女はもしかしたら捨て子なのかもしれないと思い、その少女を哀れに思いました。


少女は今まで友達といえば山の動物達や風、植物だけでした。

同じ姿をした旅人と友達になりたいと思っています。

旅人もこの少女が一人では可哀想だと思い、しばらく一緒にいることにしました。


少女は子供だというのに様々な事を知っていました。

それはまるで何百年も昔から生きているようでありました。

旅人も一緒に暮らし始めた当初は何も疑問に思いませんでしたが、月日が経つにつれて少女が普通ではないと気がつき始めました。


少女は今までそんなことは知りません、生まれてからずっと一人だったのですから。

当然、助けた旅人もそうであるとずっと思っていました。


ある日旅人は少女に人間の生について教えました。

人の一生生まれてから死ぬまでの事を教えました。


少女は生きるということや死ぬということに理解が無いわけではありません。

友達であった、動物達が死ぬということは知っていました。

それが自分にも当てはまるということは知りませんでした。


少女は自分が怖くなりました。

旅人の話によって、自分がおかしいのではないかと気づいてしまったからです。


旅人はこの事を後悔しました。

真実を伝えなくても良かったのではないか、そうも思いました。


しかし、彼女は新しい目的を見つけることができました。

旅人の言うとおり、自分は子供である。

だったら、大人になりたい、大人になれば何かが分かるかもしれない。


少女は悩みました、どうすれば大人になれるのか

旅人が言うには時が経てば自然に大人になるといいますが、少女はその気配が一向にありません。


旅人は誘いました、「一緒に旅に出よう」と

見た目が成長しているから大人というわけではない、見聞を広めそれをどう考えることができるというのが大人であると。


少女は喜び、旅人と一緒に旅にでることにしました。

旅立ちの日、動物達にお別れを告げ、旅人とともに長い長い道を歩くこととなったのです。


いつか自分が大人になれることを信じて少女は旅立ったのです 。

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