プロローグ
炎が村を包み込んでいた。
町に広がる灼熱の炎。
火が付いてない建物を見つけるのが難しい程に、全てが燃えている。
煙が充満して呼吸もままならない。
灰が舞い散り目を開ける事すら難しい。
「「「ギッギッギッギ!」」」
そんな町の中を化け物共が暴れていた。
ゴブリンと呼ばれる怪物。
背丈は子供程だが、人間よりも数倍の感覚と運動能力を持ち、武器を使う程度の知能はある。
性格は狂暴で好戦的。敵と一度認識すれば、死ぬまで殺意を引っ込めない。
小さいながらも野生むき出しのすばしっこい動きは、武装した猛獣である。
そんな化け物たちを、まだ十歳にも達してない幼子が殺しまくっていた。
「ウゥゥ…ウルアあああああああああああああああああああ!!!」
彼が振るうのは大人用の大剣。
身の丈以上はある金属の塊を振うその光景は、まさしく鬼のようであった。
「ギィ!…ぎッ!?」
右腕のナイフを振り下ろすゴブリン。幼子はソレを半歩下がって回避した。
それと同時に、バッドを振るように剣を振う。
スパっと軽い音と共に、ゴブリンの首がかっ飛ばされた。
二匹目のゴブリンがナイフで斬りかかる。
幼子は剣を握ってない手で上から叩き落し、そのまま絡め取って腕を掴む。
そして思いっきり振り回して群れの方へと投げ飛ばした。
他のゴブリンとぶつかり、仲間共共に潰れるゴブリン。
地面に汚い染みとなって息絶えた。
「らあッ!!」
幼子が剣を掲げて突進する。
剣を一振りするだけで、数匹まとめて切り裂く。
二度三度四度。何度も剣を振ってゴブリンを切断し、血と臓物を小さな身体に浴びせた。
小さな子供でありながら豪快に剣を振って敵を一掃する様は、絵本の鬼が金棒を振っているかのよう。
幼子はゴブリンの血肉によって、赤鬼のように赤く染まった。
ゴブリンが隊列を組んで五匹同時に斬りかかる。
幼子を剣を振って一掃。
薙ぎ払い、袈裟斬り、逆袈裟。
子供にとっては身の丈以上の大剣でありながら、幼子は流れるかのように振るtた。
攻撃の割の瞬間を狙って、ゴブリンの一匹が幼子の背後へ接近して、ナイフを振りかざす
幼子後ろに目があるかのように絶妙なタイミングで振り向きむくことなく後ろ蹴りをゴブリンにブチ当てた。
小さな踵がゴブリンのろっ骨とその内部を粉砕し、中身がゴブリンの口から一部だけまろび出る。
その死体を襲い掛かってきたゴブリンに投げつける。
剛速球で投げられた死体はゴブリンに命中して地面に叩きつける。
死体もろともゴブリンは地面のシミになった。
幼子はそれからもゴブリンを虐殺する。
剣を振い、拳を突き出し、足を振り上げて。
子供とは思えないような怪力でゴブリンの死体を量産していった。
「ッチ」
あと数匹で掃除が終わる。そう思った途端に、幼子の剣が砕けた。
この鈍らでは、幼子の怪力に耐えられなかったのだ。
「ギギャ!?」
元剣だったゴミをゴブリンの一匹に投げつける。
頭に命中したソレは頭蓋を破壊して内部の小さな脳を地面にぶちまけた。
ゴブリンの頭を片手で掴み、力ずくで地面に叩きつける。
ソレだけで頭蓋を破壊して内部が地面のシミとなった。
開いた片手でゴブリンの首を掴む。
ベキッと嫌な音を立ててゴブリンの首をへし折った。
最後の一匹。
頭と腕を掴み、引っ張る。
ブチブチと嫌な音を立てて、ゴブリンの肉体を引き裂いた。
「ウウウ…ウルアァァァァァァァァァァァァ!!! グルアァァァァァァァァァァ!!!」
幼子は……水嶋優だった子供は血みどろになりながら、一人叫んだ。