表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪徳領主と毒婦龍  作者: ハント
準備編
11/16

チャンバラごっこ

 やべえ。

 最近俺が子供らしくないって噂が使用人から流れている。


 俺の主観だと幼児化してヤベーと思っていたが、客観的に見たら俺ってかなり浮いてる子供だわ。


 何で今まで気づかなかった? これも幼児化の影響か?

 いや、ソレは今考えるべきではない。

 どうやってこの噂を止めるか。それが今考えるべき問題のはずだ。

 もしここで俺が前世持ちだとバレ、悪魔憑きだの何だの噂されてみろ。破滅フラグまっしぐらだ。


 原作にもないような、くだらないことで破滅したくない。

 なんとかして回避しなくては……。







「やあ! てえ! やあー!」


 俺はチャンバラごっこして鍛えていた。


 今までは筋トレだとか勉強だとか子供らしくないことをしていたので、そろそろ子供っぽい遊びを始めてみることにした。

 それで選んだのが本格チャンバラごっこだ。

 ただのごっこ遊びだと侮ることなかれ。

 俺がしてるのは、チャンバラはチャンバラでも、ちゃんとしたアクションによる本格チャンバラなのだから。


 イメージは特撮もの。

 怪人の攻撃を避け、受け流し、弾いて反撃する。

 一挙手一投足にヒーローの動きを意識し、怪人の動きもイメージで再現して対処。

 時には急に動きを変えたりして緩急をつけた。


 素振り、歩法、回避。あらゆる動作に気を配り、イメージする。それだけで大分違うものになってしまった。

 これはもうただのチャンバラではない。一種の型だ。


 遊びの中に修行ありとはよく言ったものだ。

 少し意識した程度でただのごっこがガラリと変わる。


「(やっべ、これけっこう楽しい!)」


 それに、このごっこ遊びってかなり楽しいのだ。

 おそらく三歳児にもどったせいなんだろう。

 ただ木刀を振るうだけで、ヒーローの動きを真似るだけで心が躍る。

 特に必殺技。実際は出ないのに、技名を叫ぶだけでその技が使えてるような気がするのだ。


「セイバースラッシュ!」


 こんなクソダサい名前の技ですらかっこいと思っちまうんだから、5歳児の頃の俺は単純なガキだったんだろう。

 もしかしたら今世の俺がそうなのかもしれないし、あるいは両方かもしれない。


 まあ、楽しいことに変わりないのでそんなことはどうでもいいのだが。


「………ふ~」


 木刀を鞘に納める動作でごっこ遊びは終わる。

 これで今日の鍛錬(笑)は終わりだ。


 さて、次は何をしようか……。


「すごいじゃないかアルコ!」


 次何をするか考えていると、父上が後ろから感心した様子でこちらに近づいてきた。


「み、見ていたのですか父上 ……」

「ああバッチリ見ていたとも! 随分楽しそうに木刀を振り回していたじゃないか!」

「あまり恥ずかしいのでみてほしくなかったのですが……」

「何を言っている!? 十分すごい腕じゃないか!」


 父上は俺に使付いて両肩を掴む。


「アルコ、お前は魔法と一緒に剣も憶えるべきだ! お前なら優れた剣士に…・・いや、魔法剣士になれる!」

「魔法…剣士?」


 魔法剣士。

 龍騎士を目指す俺にとって、ソレはとても魅力的なものに思えた。


「アルコ、お前にはまだ早いと思ったが、お前が望むならすぐに剣の指南役を用意する。……お前はどうしたい?」

「……」


 俯きながら考えるが、既に答えは出ていた。


 俺は力が欲しい。

 暴力という分かりやすい自信を持てる力が。

 そのために俺は今まで筋トレやら魔力トレをしてきたのだから。


 前の弱い自分を……『僕』を否定するために。


「……分かりました。ではすぐに指導役を手配してください」

「おお!流石アルコだ!では一週間以内に用意しよう!」


 父上は張り切った様子で自分の部屋へと飛んでいく。

 気が付けば、あっという間に姿が見えなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ