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僕と妖精さんの夏休み!  作者: 岩田凌
夏休み編!
9/29

08 永遠トンネル探索隊(前編)

今日は連続投稿をする予定です。更新遅くなりすみません。よろしくお願いします!

「ねぇ、りゅーくん。ここって涼しいねー! 楽しいねー!」

「…………」

「む?」

返事がないりゅーすけを不思議に思ったのか、リーナは耳元にふぅ……と息を吹いた。

「ふひゃらら」

声にならない悲鳴をもらして、りゅーすけはリーナを睨みつけた。

そんなこともお構いなしに、リーナはもう一度息を吹こうとする。

「よしもう一度! すぅ……」

「やめて! やめてったら!」

「ありゃ生きてたの?」

「何それどういうこと!?」

リーナはにししと笑うと、りゅーすけの肩へちょこんと座る。

それからぶらぶらと脚を振って、ぐいっと伸びをした。

その手がりゅーすけの頬に当たったが、痛いという感覚はなかった。むしろ触ったの? である。

りゅーすけとリーナがいる所は、この地域では有名の『根暗トンネル』だ。

あまりにも出口が見えないことから、『永遠トンネル』とも通には呼ばれている。

ーーもっと捻れよ……。そのまんまじゃんか。

りゅーすけの通学路ともなるこの永遠トンネルは、車も人もあまり通らない。というより、通りたがらない。

なんでも、昔にトンネル内で事故があったらしく、その際に亡くなった人が亡霊となってさまよっているのだとか。

そんな噂、一体誰が広めたかは知らないが、実際にいるなら少し怖い……かもしれない。

さて、ではなぜ、そんな誰もが行きたくない所にいるのかと問われれば……。

ーー洞窟みたいなところに一度行ってみたい、か……。

リーナの世界には洞窟はあるものの、一度も行ったことがないらしい。

仮に行こうにも、家族や友人に「リーナはまだ小さいからダメ!」と言われて行くことすら叶わないのだという。

最初こそ断っていたが、リーナが泣きそうになったため、仕方なく一緒に行くことになったのだ。

ーー貴重な夏休みに、僕は一体何をしてるんだ……?

家でゴロゴロ……小説ふむふむ……掃除ふきふき……。りゅーすけがしたいことは全て家に詰まっている。ゲームで言うアイテムボックスみたいなものである。……ちょっと違うか?

とはいえ、ずーっと家の中にいるのもそれはそれで嫌である。インドア派ではあるが、外が嫌いというわけでもないのだ。

「ねぇねぇ、りゅーくんはリーナのこと見えるの?」

「み、見えるわけなかろう! こ、この暗闇の中、み、見えるわけなかろう! なかろう!」

「なーんか変な口調。いつもみたいにオッス俺りゅーすけ! の方が、リーナは好きなんだけど」

「普段の僕もそんな口調じゃないけどね!」

「そうかな?」

「そうだよ!」

ーーボケてるのか素なのか……。いや、絶対素だなこれ。

りゅーすけは勝手に確信して、まぁいいか、と頷いた。

「リーナの世界の洞窟は、こう、『青晶』っていうのがあって、全然暗くないって聞いたんだけど……」

「ここは洞窟じゃないし……って、なにせいしょーって」

リーナはりゅーすけの頬に指をビシッと差した。

「青く光る結晶のことだよ! 洞窟には沢山生えてる? 刺さってるらしいよ。そのまんまーだけどね」

「なんか堅苦しい名称だね。ダイヤモンドとか、ルビーとか、そういうやつはないの?」

「ないですねー」

「ないですかー」

りゅーすけはガクンと肩を下げた。

ーー結晶とか鉱物の捻りのある名称が好きなんだけどなあ……。

そのまんまの名称は大嫌いなりゅーすけなのだ。

「まぁまぁ、とにかく、気を取り直して進もう! おー!」

「お、おー!」

乗り気ではないりゅーすけと、ハイテンションなリーナのトンネル探検はまだまだ続く。

よければブックマーク・感想などよろしくお願いします!

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