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僕と妖精さんの夏休み!  作者: 岩田凌
夏休み編!
7/29

06 悪人平和マン!

夏休みが始まり今日で三日。りゅーすけは変わらない毎日に飽き飽き……しているわけではなかった。

というのも、りゅーすけの隣には必ず妖精のリーナがいるからである。

例え睡眠中でも、例え読書中でも、例え筋トレ中でも、隣にはにこっと微笑むリーナがいる。

妖精と過ごすという滅多に味わえない日々に、りゅーすけの心が踊らないはずもない。

りゅーすけは自室でリーナとラジオ体操をし終えると、ぐいっと伸びをした。

「りゅーくん、今日は何をするの?」

「何をするって言ってもなあ……」

たしかにリーナと過ごす時間は退屈ではないのだが、これといってやることがない。

リーナとゲームをしようにも、コントローラーが大きいため遊べないし、かといって何もしないのも嫌である。

ーーリーナと遊べる……遊べる……。

りゅーすけがむむうと考えていると、突如としてスマホがブーブーとなった。

りゅーすけポケットにあるスマホを取り出すと、通知をじっと見つめる。そこには……。

「なるほど。これなら……」

りゅーすけはリーナをじっと見つめる。リーナは「ほえ?」と首を傾げていた。

「リーナ、今日やることが決まったよ」

「え? なになに! なにをするの?」

きらっきらと瞳を輝かせるリーナに、りゅーすけはひとつ指を立てた。

「アニメ鑑賞だよ」


りゅーすけはリーナを机に座らせて、スマホを正面に置いた。

「ねぇねぇ、この四角い変なのはなに?」

「これはスマートフォンだよ。遠くの誰かとお話しができたり、メッセージを送りあったり。沢山の機能があって全部は説明できないけどね」

「遠くの誰かとお話し……。それなら、リーナの世界にもそういうのあるよ!」

「え? そうなの?」

りゅーすけは少し驚いた。

もしかしてリーナの世界にもスマホがあるのだろうか……? あったら、りゅーすけの頭に描いていたファンタジーとは大きく変わってしまうが……。

「『会話鏡』って言うんだよ」

「かいわきょー?」

「鏡に相手を呼びかけると、そこから相手の顔が浮かんでくるの。会話鏡を持つには色々とじょーけんがあるらしいよ。リーナは持ってないけどねー」

と、リーナは早口でそう言った。

ーーかいわきょーか……。なんか名前がファンタジーっぽくないな……。

もう少しかっこいい名前を想像していたりゅーすけは、ガクンと肩を落とした。

「そ、それじゃあアニメ鑑賞しようか」

「あにめかんしょー……? またまた知らない単語が出てきますなあ。おっほっほ」

「誰のマネだよ」

「パパ」

「パパだったか……」

どちらかというとおじいちゃんのような気もするが、まぁそれはさておき……。

りゅーすけは「見てれば分かるよ」と言いながら再生ボタンを押した。

『私は恋に恋する平和マン!』

「うわわわ!? 絵が喋った!」

リーナは目を大きく見開き、思わず画面にくいついた。

「リーナ、僕が見えな……」

『今日は貴様を倒すために、仮面をつけての参戦だ!』

「おおー!!」

しかし、りゅーすけの言葉なんぞリーナには届いていない。リーナはさらに画面の前へ近づいた。

「そんなに近づくと目が悪く……」

『はっ、だからどうしたってんだ? 俺様は結んで開いて怪盗ヘビー! 俺様を倒せるとでも?』

「いけいけー! 悪人平和マンを倒しちゃえー!」

「リーナ逆! 逆だから!」

ーー素顔を隠してるキャラって、たしかに怪しいからわからなくもないけど……。

りゅーすけは苦笑しながら、リーナを肩へのせた。

「えへへー、ごめんね。ちょっとびっくりしちゃって」

「ううん、別にいいよ。ただ次からはあまり近くで見ないでね。目が悪くなったら大変だし」

「御意!」

「よろしい」

りゅーすけはリーナの頭を優しく撫でたあと、アニメを見る。

ーー見せたいアニメ、これじゃなかったけど……まぁいっか。

りゅーすけが見せたかったアニメは、『ほのぼの妖精』と呼ばれる、登場人物の全てが妖精の日常計アニメだった。

ーーでも、こんなに楽しんでいるならまた今度でも……。

「よし! そこだー! 平和マンをやっちゃえー!」

「だから逆だってー!」

それからというもの、このアニメが終わるまで、リーナはずっと怪盗ヘビーを応援していたという……。

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