最終話 僕と妖精さんの夏休み!
あの日から三日……僕と妖精さんの夏休みは終わりを迎えた。
早朝目が覚めれば、隣で眠っていたはずのリーナはもういない。おそらく、元の世界へ帰ったのだろう。
僕は学校へ行く準備をしながら、自室をじーっと睨みつけた。
どこを見ても、リーナはもういない。胸にぽっかり穴が空いたような気分だ。
あの夏休みは、本当はただの僕の寝不足による幻覚だったのだろうか。
もしくは、昨夜の夢だったのだろうか。
……いや、多分、どちらも違うと思う。
幻覚にしろ夢にしろ、やけに頭の中に憶えている思い出が沢山ある。
大嫌いなトンネルを懐中電灯なしで行ったり、プールで水をかけあったり、ゲームで大人気ない戦い方をしてしまったり……。
こんなにも沢山の思い出があるのに、これを嘘だとはとてもではないが言えなかった。
僕はやけにパンパンに膨らんだ引き出しを不審に思い、思いっきり引っ張る。
すると、そこから出てきたのは、『りゅーくんへ』と書かれた封筒だった。
僕は学校カバンを下ろして、封筒を開ける。そこには一枚の手紙が入っていた。
僕は椅子に座りながら手紙を机に置いた。
そこには、汚い字でこんなことが書かれていた。
『りゅーくんにさぷらいずです。ほんとうはちょくせつわたしたかったけど、はずかしいのでこんなところにいれておきました。いつよんでくれてるかな?』
ーーリーナがあっちへ行ってすぐだよ。
『りゅーくんにかんしゃのきもちをたくさんつたえたいんだけど……もうもじすうがすくないので、ひとことだけつたえます。ちゃんとよんでね!』
ーーわかってるって。
『ありがとう、りゅーくん。また、ぜったいにくるね! だから……またね!』
僕は手紙を読み終えると、学校カバンを片手に持つ。
それから手紙を封筒に入れて、大切に引き出しへ入れた。
僕は机に背を向けて、自室の扉をゆっくり開ける。
「……頼むから来てよ。だって、青い花、リーナに渡してないんだもん」
僕は扉を閉めて、階段をリズミカルに降りていく。
僕と妖精さんの夏休みは終わってしまった。……けれど、また会えるのなら、今度はもっともっと、一緒に過ごしたいな……。
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