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僕と妖精さんの夏休み!  作者: 岩田凌
夏休み編!
24/29

18 雨と虹

ザーザーと降り続ける雨。

りゅーすけは窓に映る雨を見て、憂鬱……ではなかった。

ーー雨……やっぱり雨だよなぁ……。

そう、りゅーすけは雨が大好きなのである。

雨が降ると少年のごとくテンションが上がり、勉強も筋トレも捗るのだ。

逆に太陽だと、りゅーすけのテンションはダダ下がり。何事にもあまり進んでやろうとはしなくなってしまう。もちろん、外に出るなんて以ての外だ。

……吸血鬼なのだろうか?

りゅーすけが雨を楽しんでいるなか、リーナはというと、窓に息を吹きかけていた。

リーナが息を吹けば、窓に霧ができ、少しづつ消えていく。リーナはそれがたまらなく面白いようで、何度も何度もやっていた。

「なぁ、リーナは雨って好きなのか?」

「うーん……、嫌いじゃないけど」

リーナは霧ができた窓に、指で落書きをする。

「りゅーくんはどうなの? 好きだったり?」

「そりゃあね。春夏秋冬、どの季節になっても雨が一番好きだよ」

いつから好きになったのかは分からない。けれど、保育園の時は先生の制止を振り切って外に出たことがよくあった。

後日風邪になるのが恒例で、両親も先生も呆れていたのを幼いながらによく覚えていた。

ザーザーと降る雨。ピアノの音のように心地よくて、保育園の頃はついつい居眠りをしてしまった。高校生になった今でも、たまに同じようなことをやってしまう。

「まず音が優しいじゃん? そりゃあ雷雨とかになったらうるさいけど」

「雷雨? 雷がどかーん! って降ってくるあれ?」

りゅーすけは窓に息を吹きかけて大きな丸を作った。

リーナは嬉しそうに飛び跳ねて、勢いのあまり窓にぶつかる。

りゅーすけが慌てると、リーナはだいじょぶーと霧に書いた。

「あとは気温が丁度良いし、水溜まりもできる。雨が止んだら虹が出てくる。たまーに二つの虹が出てきたりして面白いしな」

最近はあまり見ていないので、ふたつの虹が出てきてほしいと強く願う。

なんて思っていると、突如リーナが窓を開けて、宙をくるりと舞った。

「リーナなにやってるんだ。濡れる……」

「りゅーくんりゅーくん! あれ見て! あれ!」

「あれって……?」

りゅーすけは言われるがまま、窓から顔を出してリーナの指す方向へ目を向けた。そこには……。

「虹……それも二つ……!!」

視線の先にあるのは、空を覆う虹があった。

それも、一つだけではなく二つあり、どちらも雲に隠れていなかった。

というより、そもそも空には雲ひとつ存在せず、あるのは太陽と虹のみ。

もしかしたら、太陽に主役を取られないようにもう一つの虹を作ったのかもしれない。そう考えると、虹がちょっぴりかわいく見えてしまった。

「りゅーくん。リーナ、さっき雨は嫌いじゃないって話したよね?」

「あ、うん。言ってたね」

「リーナは虹が好きなんだ。だから、虹を呼び寄せてくれる雨は嫌いじゃないの」

「……そっか」

りゅーすけとリーナは互いを見つめてふふっと笑い合ってから、虹が消えるその時まで、いつまでも見ているのだった。

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