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僕と妖精さんの夏休み!  作者: 岩田凌
夏休み編!
21/29

15.5 これからもよろしくね!

りゅーすけは不思議そうに物置部屋をきょろきょろと見る。

机の下を探したり、おもちゃ箱の中を探してみたが、結局ルチルを見つけることは叶わなかった。

ーー本当にあっちの世界に戻ったのか……。

りゅーすけはソファに座ると、ルチルの飲みかけの麦茶の入ったコップをじっと見る。

せめて全部飲んでから行けば良かったのに……。

りゅーすけははあ……とひとつため息をつくと、片手にコップを、もう片方の手に小説を持って、物置部屋から出た。

「……って、あれ? リーナ?」

「わわっ! りゅーくん……」

そこには、りゅーすけの部屋で眠っていたはずのリーナが、カレンダーを指でなぞっていた。

リーナは誤魔化すように両手を広げる。

「リ、リーナはただ、このカレンダーを見たくて……」

「僕の部屋にもあるじゃん。わざわざここに来なくても見れると思うけど……?」

「むぐっ!」

リーナはしまったー! と言わんばかりに額に手を当てた。

ーー聞いてたのかな……?

まぁ、仮に聞いていたとしても、リーナには秘密にすべきことを話していたわけではな……。

ーーいや、普通に聞いたな……。

リーナの今よりもさらに幼い頃のことを、ルチルから沢山聞かされていた。もしも聞いていたのならば、リーナにとってはとっても恥ずかしいだろう!

りゅーすけは念のためリーナに言った。

「……いつから聞いてた?」

「……リーナのあーんなことやこーんなことってところから」

ーーうわぁ……結構最初じゃん……。

「す、すみませんでした……」

「あ、謝らなくていいよ? べ、べつに恥ずかしいとか思ってないもん……ないもん!」

なんて言っているが、リーナの顔はりんごの如く真っ赤である。

りゅーすけは心の中でもう一度謝ると、物置部屋の扉を開いた。

「リーナのお父さん、帰っちゃったね」

「まだ一日しか経ってないのに……。りゅーくんが明日までいて良いって言ってくれたのに……」

「…………」

「パパ、リーナのこと嫌いになったのかな? 前よりダメな子になっちゃったのかな?」

リーナは瞳を潤ませて、ぎゅっと唇を噛んだ。

そんなリーナに、りゅーすけはおずおずと手を握った。

リーナの手はとても小さく、強く握ってしまえば簡単に壊れてしまいそうだ。

ーーこんな小さな手で握力が僕よりも強いのおかしくないか……?

などと一瞬思ったが、忘れるようにぶるぶると首を振った。

「そんなことないよ。リーナのお父さんは、ちゃんとリーナのことを愛してるよ」

「……ほんとに? 嘘じゃない?」

「嘘じゃないよ。大丈夫」

りゅーすけがそう言うと、リーナはぶわっと涙をこぼす。

ルチルに……またパパとしばらく会えないという気持ちと、自分のことを愛してくれているという嬉しい気持ち。そんな複雑な涙だった。

リーナは涙を拭くと、りゅーすけに優しく微笑み、

「夏休みももう半分だけど……これからもよろしくね、りゅーくん!」

そう言って、りゅーすけの手にリーナの手を重ねたのだった。

ーー痛い痛い痛い! リーナ力強いって!

その後、リーナの大泣きが終わるまで、りゅーすけは非常に痛い思いをしたという……。

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