【詩】あなたの最期に届いた言葉
たとえば私の身体をすりつぶして、
血肉を絞って捧げたとしても、
私の体ひとつでは
あなたの飢えを満たしてあげることは叶わないのだろう。
たとえば私の『命』や『魂』と呼ばれるものを、
あなたのために捧げたとしても、
私の生命ひとつでは、
あなたの魂に救いを与えることは叶わないのだろう。
私がどんなにあなたを愛していても、
その愛が届かないのと同じこと。
私はあまりにも小さくて無力。
あなたはとても大きくて無限。
私の命をかけた愛ですら、
あなたの前では小さな欠片に過ぎない。
でも私は悲しくはない。
だって、あなたはこれから先の未来で、
たくさんの出会いをして、
そこで得た愛の欠片たちを、
あなたの中にある、その大きな器に満たしていくのでしょう?
私はそれがとても嬉しい。
だから。
どうかお願い。
今あなたが空虚さを感じても、
自分が愛されていないなんて思わないで。
どうか信じて。
私の愛が足りないせいで、あなたの心の隙間に冷たい風が吹き込んだとしても。
私はあなたを愛していると。
あなたは私に愛されていると。
どんなに伝えても、あなたの心が埋まるわけではないけれど。
手遅れになる前に。
親が子へ。
旅立つ前に伝えなくてはいけない言葉。
言葉に出さなければ、決して伝わらない言葉。
それはいつか、両者にとって救いとなる言葉。
「わたしのなかのあなた」の母親視点での詩でした。
自分のフィルターを通過したせいで、だいぶ原作から離れた仕上がりです。
最期に愛しているという言葉を伝えられたか伝えられないかで、
その後の人生は大きく変わってしまうのではないかなと思いました。