宝物庫
宝物庫までは涼介さんが言ってた通りすぐだった。あそこというのは本当で目の前にあったのだ。
「さあさあ、ここから好きな物をどうぞ!」
これらは君のものではなく国のものだよね?勝手に君が好きな物とか言ってもいいのかよ。
と思いつつ物を漁る。場所は宝物庫とか金庫とか言うよりも物置小屋って感じだった。ほこりが多く空中散っており、誰も手を付けていないようだ。だが、中にあるものは別であった。
とてもキラキラした剣や宝石が多くあり、国の一部財産に入りそうな勢いだ。でも、探しているとそのようなものではないショボいものも出てくる。
例えば、純金の箱かと思ったらただの安物だったり、強そうな剣かと思えばプラスチック製のものだったりする。なかにはボロボロになったぬいぐるみなどもあった。
なぜこんなにも詳しく分かるかというと、神鑑定眼のおかげだった。どのようなものか、素材や状態を示してくれるいわゆるスマホのような機能であった。便利便利とにかく便利の一点張りで最高のスキルだろう。
その中でも気になったものがあった。当たりと書いてある棒が無造作に置かれていた。異世界ではこの様な販売をしている所はないだろう。
ということは元の世界から来たものだということだ。もしくは涼介さんや他の異世界人が持ち込んだものかもしれないが。
でも今はそんな物に興味はない。明日のために武器が欲しいのだ。再開しようとしたら、あるミスに気づいてしまう。
バッグの中身が元と同じなら、服のポケットの中身も同じなんじゃねと。
そう思いすぐに確認すると、中から予想していた物たちが。
愛用していた拳銃とナイフ。毎日毎日、手入れをして大事に扱っていたものだ。失くした時は街を走り回って探しに行ったことを今でも覚えている。もっとも、バレると捕まるということもあったかもしれないが。そして、結局自分のバッグにありましたというオチも。
見つかったのはいいが、なんというか気まずい。武器がないと喚いていたのに、自分のポケットにありましたなんてことは許されるわけがない。
だから、他に役に立ちそうなものを探すことにした。
とは言っても、泊まる場所で早く寝たいんだけどね。アホな女神に国の王様これだけで腹がいっぱいなのに、明日は試験。普通だったら、死んでいるかもしれない。
そんなことを考えていると、気になるものが。
今までの物は装飾品の剣や指輪やネックレスの宝石などだったが、これは切れ味のよさそうな剣であった。
鑑定してみると自分の勘は間違っていなかった。
◦龍破剣 ミスリル製
破損率0%
昔に龍を切ったミスリル製の最高品質の剣
アロンドという元剣の指導者が使っていた物であり、石が豆腐のように切れる剣(魔力補充必須)
アロンドは死去しているため装備者の登録はありません。
これは高そうで使えそうなものだった。他に気になる物はないしこれだけ貰っていくか。
そう思い、宝物庫から出た。