スキルの位
しばらく沈黙が流れた。どちらも気まずい状態だった。なにを話しかけようか考えていると先に話し始めてくれた。
「ごっ、ごめんね。この世界ではスキルの隠蔽が能力のスキルが存在してなくて。中には自力で隠している人もいるんだけど、それだとやっぱり完全には隠せないんだ。とくに鑑定系のスキルを持っている人にはね。僕も一応解析系下位のスキル『鑑定』があるんだけどこれでみんなのスキルは分かってしまうって感じ。ついでにこの世界で上位の人が自力でスキルを隠しても解析系中位のスキル『解析鑑定』で分かってしまうらしいんだ。君はなにか解析系のスキルは持っているのかな?」
さりげなく俺のスキルのことを聞いてきたぞ。あるとしたら『神鑑定眼』と『睡眠獲得』だが正直に言いたくない。特に睡眠獲得だけは絶対に教えてはいけないと思う。
しばらく、まあそう言っても数秒間考えた結果、神鑑定眼のみ言ってみることにする。何もないと疑われると思うし、、神鑑定眼は解析のみ特化しているため教えても特に害はないと思う。
「そうですね。唯一持っているスキルが丁度解析系でしてね。『神鑑定眼』が俺の持っているスキルです」
「えっと、位とレベルはどうなのかな?」
くっ、位だと!?そんなの知らないのだが。レベルはたぶん1であっているからそこは聞いてみよう。
「レベルは1だと思うんですけど、位ってなんですか?」
「それ説明してなかったね。スキルの位は何も書かれてないコモンスキル、その一個上のスキルがニュートラルスキル、次がユニークスキル、最上位が神授与スキルという感じ。他にも自己流スキルとか補正スキルとかもあるんだけど、さらに僕はすぐに戦いから退いたから、他にもあるかもしれない。確認する方法は解析系のスキルで見るか、ギルドにある魔法水晶で見れるんだけど……。まあ、君なら自分のスキルで見てみればいさ。僕じゃ見れないしね」
そう言われたので本を確認してみる。
すると、神授与スキルでした。
ついでに言うと睡眠獲得の方は言われた中に無かった、神造失敗スキルとかいう変な位のスキルだった。自ら失敗って書かれているととても心配に思えてくる。
そして言うのも最上位の位のスキルで少し心配になってくる。噓付きとか疑われるととても厄介だがその時はその時。思い切って言ってみる。
「神授与スキルみたいです……」
「そうかそうか、混沌ノ女神様だったら当然だよな。ついでに僕が持っているスキルの中にも神授与スキルがあるからそこまで心配しなくてもいいよ」
どんなスキルなのか神鑑定眼を使って見てみる。これは質問攻めにあったお返しだ!
すると、自分の脳内に映し出された。
神授与スキル『神戦術』
戦いにおいて、神が使う能力を一部行使出来る
さっきの加護といえスキルといえ戦闘に特化しすぎだろっ!今戦ったら間違いなくあの世送りであろう。この人には絶対に争いにならないようにしよう。そう何度も言い、心に留めておく。
「この話はここで終わり。次に自分の話をしないかな?」
自分のことを聞かれたらすぐに話を切り替えられた。ここはまだ丁寧に猫をかぶっておこう。
「自分の話ってどういうことですかね?」
「過去の話だよ。まずは僕から話そうか。僕がこの世界に来たのは確か十年前だった。ここの国が最初のリスタート地点だったんだ。来た頃はこの国の設備とかが悪かったけど、前の王様や今もいる貴族たちは冒険者や庶民、異世界人にも差別なくとても良い国だった。まさに理想な国って感じだった。それをいつか設備も充実させて発展させようと夢に見ていた僕はとにかく前王の役に立とうと必死に頑張っていた。でも今から一年ぐらいに、この国に下位だけれどもドラゴンが攻めてきた。そこで僕は前王や貴族庶民を守りながらドラゴンを返り討ちさせたのさ。その時の功績は前王や貴族に大変評価されて、王の位を貰ったんだ。最初は不満に思っていた人もいるらしいけど、最近ではそのようなことは一切無くなったから良かったよ。そして今、新しく美味しい食べ物や遊びなどの娯楽にも力を入れている最中なんだ。この国は異世界人が多く来るから、新しい情報や職人が来やすい。だから、この世界での発展はこの国が一位、二位を争うぐらいに良い街なんだ。ついでに言うと、この国での連続犯罪なし記録が324日継続中というのが我が国の自慢さ。さあ、次は君の話を聞かせてくれないかな?」
ふむふむ。この人意外と真面目だったんだな。それはそうとして、自分の話だ。前世が暗殺者でしたって言うと問題視されそうだし、かといってそれ以外に話せることがないんだよな。親も暗殺者だったし。
そんなことを考えながら、俺は前世のことを話し始めた。
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次回は今週以内を予定しております。
今回付けたスキル名のフリガナは引き続きつけるので安心を。