表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/175

第174話 更に一年。

 


 ストルマンでアレックスの顔見せを行ってから一年が経つ。


 その間に結婚式を行った。

 妊婦が居たので、式は簡単に……。

 仕切るのはアイナ。

「本当は私もそっち側に居たいのに」

 と愚痴っていた。


 まあ、こっちの世界でもあった誓いのキスはアイナが一番に行って周りから総スカンを食らっていたがね。


 そして、皆の左手にはヒヒイロカネの指輪。

 皆、嬉しそうに赤い指輪を触っていた。


 結構な金がかかりそうだったが、鉱山のお陰で加工費程度。

 それ以降……まあ、その……、ハーレムである。



 領地はと言うと……、

 俺による開墾。

 ドワーフが行ったプラウの改良による作業効率上昇。

 そのプラウをフォレストカウとセットで村々に貸し出すことで、農民の作業量を減らした。

 魔物の糞を使った土壌改良。

 灌漑水路の整備による水の分配。

 これらにより、畑から採れる麦の量は格段に増えている。

 ドワーフたちが増えた分も十分に賄える量。

 更には備蓄して残りを外販できる量だ。

 移住者は「頑張れば自分の土地になる」っていうのがモチベーションとなっているのかもしれない。

 皆、真面目に働いている。


 鉱山はというと、バルトール王主導の下、採掘・精錬・加工を一貫して行い、その商品をロルフさんが国内外へ販売することで莫大な利益を得ていた。


 孤児院は一応孤児院であるが、乳児園と保育園、そして学校を一貫にして無料にしている。

 つまり親が居ても居なくても学べるようにした。

 識字率の低いこの世界。

 読み書きができるだけでも就職ができる。


 赤子の数も増えた。

 子供ができても預けられるので安心して働くことができるのだ。

 その中にはマールやラウラ、イングリッドの子もいる。


 マールはオウルでのメイドの仕事の前にラウラに子供を預ける。

 ラウラは二人を抱きながら、イングリッドは我が子を抱き、リエクサの乳児園に預けに来ていた。

 ラウラはリエクサの騎士団に行き、隊長としてワイバーン部隊を率いる。

 イングリッドは孤児院で先生役である。

 クラーラのお腹は大きく、もうすぐ産まれるかな?

 クリスも魔法の先生としてリエクサで教壇に立つ。

 カリーネもグランドマスターからリエクサの冒険者ギルドのギルドマスターになっていた。


 リードラに妊娠の兆候は表れていない。

 長寿種ほど子供ができないと聞く。

 エルフの十倍以上は生きると言われるドラゴンじゃ難しいのかね?

 しかし、リードラは歩き始めたアレックスやシーラたちの世話をよくする。

(われ)は急ぐ気はない。

 (ぬし)に愛されておるでな

 それに、(われ)は遊ぶことしかできんからの」

 キャッキャと笑うアレックスとシーラを両手に抱き上げながらリードラは言っていた。


 リエクサの先生としてエレーナ嬢が赴任してきている。


 ある日オウルの王城に呼び出され、

「なぜかオーベリソン王国のほうから、お前の孤児院へ援助したいとの申し出があってな。

 結構な金額の援助と教師の派遣の打診があった。

 どうする?」

 マティアス王が聞いてくる。

「断れそうですか?」

 俺は頭を掻きながら逆に聞いてみる。

 すると、マティアス王は体を乗り出し

「断れると思うか?」

 と聞き返してきた。


 エルフの国は人口が人間ほど少ないものの魔力が高い兵士が多く、先の精霊騎士は武力・魔法ともに一級品の者たちらしい。

 結局強い国らしい。

 その国から、直接俺の孤児院への援助を言ってきたのだ。

 その国の要請を断れるはずがない。

 目的は……アレックスかな?

 あの孫馬鹿め。


「思いませんね」

「じゃあ、素直に金と人材を受け取るんだな。

 ついでに、うちからも金と人材はまわす。

 そのうちランヴァルドからも声がかかるんじゃないか?」

「それは断っても……」

 マティアス王に聞いてみたが、

「断れるとでも?」

 と再び苦笑いで返された。



 その教師の中にエレーナ嬢が居たのだ。

 メイドなしでトランク一つで来たのには驚いた。


「お久しぶりです、マットソン伯爵。

 孤児院に赴任して参りました。

 今後とも、公私ともによろしくお願いします」

 ペコリと頭を下げる。

「『私』の部分はわからないが、『公』ではよろしく頼むよ」

 意味不明な返しをしてしまう。


 結構俺の側室狙いの貴族のご息女な先生が増えていると聞く。

 勘弁してほしい……。

 ノーラ・ノルデンのアタックも厳しい。

 裸エプロンで紅茶を持ってきたのには驚いた。

 興味が無いと言ったらウソにはなるが、ちょっと引いてしまう。


 ああ、家臣狙いの貴族の次男以下の先生も増えているらしい。

 給料も出るので丁度いいそうな。

 教師希望の依頼が集まり、ミランダ義母さんが仕分け中である。

 実際に官吏として雇った者も居るらしい。

 今は孤児院とは名ばかりの総合的な学校になってしまっているのだが……。

 そのうち高等教育ができる学校とか作らなきゃいかんかもな。



 騎士団もタロスの下、千人規模になった。

 その下に兵士が五千人程度。

 メルヌ、ボルタオに騎士が二百五十と兵士千五百ずつ。

 リエクサに騎士が五百と兵士二千配備した。

 フランの街は魔族の騎士と兵士がすでに駐屯しているので手は加えなかった。

 ラウラの下ワイバーンライダーも増加。

 百頭規模である。

 ケルたちやハニービー、コカトリス達と連携して治安を守ってくれている。



 最近俺がすることが無い……。

 まあ、そのお陰で、醤油やウスターソースもロルフ商会と共に生産するようになった。

 ロルフ商会は大きくなっているらしい。

 いつも俺の前に来て何か儲かるネタが無いかねだる。


 ドワーフたちの酒も勝手に量産を始めた。

 いろいろな種類の酒があるのは嬉しい。

 酒場も流行り、綺麗なお姉ちゃんが居るところへ飲みに……は行かせてもらえないが、家飲みで妻たちと酒を飲むのは楽しいかな。

 イレギュラーでマリエッタ様とヒルデガルド様が居るのは勘弁である。



 こうして我が領土は育っていった。


読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] お子様増えてる様で何よりです。 て言うかアイナさん文句言ってる場合じゃないですよ お年頃になるまでに御自分の出産サポートしてくれる 聖魔法使いか何か育てないと。 そう、ハーレムなのです。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ