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第163話 孤児院を作ろう1。

 ボルタオ、メルヌの周辺の村にもフォレストカウとプラウをセットで配布し、農作業の効率化を図ると、麦などの収穫量の増加と共に、税収が増えてきた。

 更には鉱山も順調に生産を始め税収以外の収入が増えてくる。

 要は無理ができるようになってきたってことだ。


 俺は兼ねてより考えていた孤児院を作ることに決めた。

 グスマン伯爵家の屋敷に行くとカールを抱いた義父さんが居た。

「マサヨシ、どうした?」

「孤児院を作ろうかと。

 義父さんと義母さんにその報告に来ました」

「まあ、中に入れ」

 義父さんは執務室の扉を開け中に入る。

「プリシラ、マサヨシが来た」

 と母さんに言った。

 俺が中に入ると、机で仕事をしていた義母さんは顔を上げ。

「どうしたの?」

 と聞いてきた。

「以前お話しした孤児院を作ろうかと」

「ああ、あの話ね。

 いいわよ。

 手伝います。

 王立学校をやめるなら今から報告をしておかないと……」

「それで、教師陣なんですが……。

 先生は……義母さんに、アイナでは少し少ないかと思います」

「そこは……イングリッド様も居るわよ。

 ああ、この前お茶の時に、集まった人たちと孤児院の事を話したのよ。

 そうしたら、マリエッタ様が『私も手伝うわ』と言ってたけど……どうする?」


 えっ?

 国家元首の妻と娘を先生に?


「一応話しては見ますが、イングリッドは良いとしてマリエッタ様は……」

「断るなら、マサヨシさんに任せるわね」


 あっ、丸投げ。


「あと、私が辞める時に、独身を選んで何人か一般教養を教える教師を連れてくるわね」

 そう言って母さんが笑った。

「いいんですか?」

「それはマサヨシさんが出す条件次第だけど……。

 給料と住居、労働条件。

 給料は銀貨三十枚程度。

 住居は一戸建てでもアパートでもいいわね。

 定期的な休暇があれば多分来ると思うわよ?」

「そうですね。

 給料は倍で、あとの条件はそのままと言うことで、来てもらえるように交渉してもらえますか?」

「剣術は騎士団の一人にでも出てもらえばいいと思うわ。

 魔法は……クロエさんに手伝ってもらおうかしら。

 斥候なんかは……マールさんでいいんじゃないかしら?

 技術を教えてくれるような教師は?」

「服飾系はガントさん。

 鍛冶はクラーラの父親であるバクシーさん。

 馬具はマイノスさんでしょうか。

 商業的な物はロルフ商会が担当してくれます」

「今のところはそれでいいでしょう」

 あとは建物ね」

「土地はリエクサの街の横に作りますよ。

 教職員用の宿舎はゼファードの屋敷を移築します。

 その他、寮や校舎のような物はロルフ商会に依頼して探している所です。

 見つかればすぐに移築します」


 リエクサの街の近くにマナの協力の下、魔力を使い大きな大きな土地を作る。

 無駄に広い土地を作ったら、テロフが、

「演習所でも作るのですか?」

 と苦笑いしていた。


 とはいえ、多人数が住むと思われる。

 運動場ぐらいは要るだろう。


 そのあとゼファードの屋敷に向かった。

「いらっしゃいませ、マサヨシ様」

 カリンが俺を見つけると頭を下げる。

「「あー、はくしゃくさまぁ」」

 とラムにロムも気付いた。

「あっ、マサヨシ様」

 とボーも続く。

「それにしても何か用でしょうか?」

 ボーが聞いてくる。


 しばらく放置していたからなぁ。


「あのな、この屋敷ごと引越しさせようかと思うんだ」

「この屋敷ごとですか?」

 カリンが驚いている。

「マサヨシ様はバケモノだ。

 だから、人が思いつかないことをする」

 ボーがカリン姉弟に言う。


 えーっと、本人の前で言わんでも。


「リエクサに屋敷を引っ越しさせて孤児院を作ろうかと思っているんだ。

 そのための寄宿舎ってところかな?」

「私たち兄妹は?」

 不安げなカリン。

「んー、カリンたちがこの街に住み続けるというのなら、別の家を探して住んでもらう。

 ロルフ商会に頼んで仕事を探してもらってもいい。

 でも本当は、孤児たちのお姉さん役みたいなものをして欲しいんだ。

 だから、寮母のようなことをしてくれると助かるかな」

「まだ助けてもらったお礼もしていません。

 私は孤児院で働きます。

 いいわね、ラム、ロム」

「いいよー」

「任せて!」

 ラムとロムは頷いていた。

「俺は?」

「お前は寮の兄貴分だな」

「カリンと一緒でいいんですか?」

「嫌なのか?」


 ボーとカリンの仲がいいのは知っている。

 ちょっとしたイタズラだ。


 ボーはチラリとカリンを見ると、

「イヤイヤイヤイヤ、それでいいです。

 兄貴分でお願いします!」

 と慌てて答えていた。


 お前ら仲いいなぁ。


「じゃあ、屋敷の土地から出ていてもらおうか」

「壁の外ですか?」

 ボーが聞いてくる。

「そうだ、壁の外だ。

 俺も向かう」


 屋敷の外に出ると、

「マナ、この屋敷、土地ごと持って行けるようにしてもらえる?」

 マナは俺の思考を読んだのか、

「ええ、わかったわ」

 そう言って手をかざした。

「はい、出来たわよ」

 俺の思っている通りなら、これで収納カバンに入る。

 俺は収納カバンを屋敷に触れさせると、壁の外周に沿って十センチほど深くなった土地が残るのだった。


「すげえ、地面ごと収納した」

 唖然とするボー。

 耐性の無いカリン姉弟は声も出ない。

「それじゃ、リエクサに行くぞ」


 リエクサにいきなり現れた邸宅。

 領民の噂になった。

「あの領主だからな」

「そうねあの領主だし……」

「街道も一人で作ったらしいしな」

 結局「領主だから……」と言うことで噂はすぐに消えた。


 もう少し建物が要る。

 その辺はロルフさんだろうな。

 後は、土地を囲う壁を作って、魔物が入って来ないようにしないと……。

 ケルのわんこ部隊を一部隊常駐してもらおうか。


読んでいただきありがとうございます。

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