第161話 ワイバーン部隊設立。
また少し遅れました。
すみません。
リエクサの森に俺は騎士姿のラウラと立っていた。
目の前には伏せたドラゴンが居る。
俺はドラゴンに近づき首を撫でると、ドラゴンは気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
「こいつはグリーンドラゴン。
風の属性を持つドラゴンだ。
ラウラにこのドラゴンの主人になってもらいたい」
コンゴウにドラゴンの食事のことを聞いてみたが、
「ああ、私から魔力が供給されていますから問題ないです」
とのこと。
「ラウラにドラゴンを隷属させた場合は?」
と聞いてみると、
「それでも、供給は途切れないですね。
あのドラゴンが私のダンジョンのダンジョンマスターに変わりはありませんから」
と言っていた。
というわけで、ラウラに隷属させることにしたのだ。
「私が……か?」
ラウラがドラゴンと見ながら言う。
「ああ、ラウラがドラゴンを隷属し主人になってもらいたい」
「なぜ私が?」
「ラウラは王都騎士団で部隊を率いていたのだろ?
だったら、新設の部隊の部隊長はラウラのほうがいいかと思ったんだ。
それにやっぱり『騎士のほうが似合うなぁ』とね」
「そっ、そうか……」
嬉しそうに頬を染めるラウラ。
「わかった、私がこのドラゴンの主人になろう」
結果、ラウラとドラゴンを契約台で契約した。
「何か力が湧いてきた気がする」
体を動かすラウラ。
体が軽くなったかな?
ラウラは俺に隷属していない。
ステータス的には鍛えた人間の物。
それが食物連鎖の頂点に近いドラゴンと契約すれば、能力が上がるのは当然。
「それは、ラウラがドラゴンのステータスに引っ張られて能力が上がったんだ」
と、ラウラに説明をした。
「ガウガウ」
ドラゴンがラウラに向いて何かを話す。
「えっ、あなた話せる?
えっ、名前が欲しい?」
ラウラが言った。
隷属したことでドラゴンとラウラは念話ができるようだ。
「マサヨシ殿、名前が欲しいらしいのだが……。
私には浮かばない」
「んー、俺に名前を考えて欲しいってこと?」
ラウラがコクリと頷く。
「そうだなあ……。
濃い緑……。
前の世界での名前だが『ヒューベリオン』ってのはどうだ?
『高みを征く者』って意味らしい。
ある意味、このドラゴンに相応しい」
某小説の某戦艦の名前である。
濃い緑からそれを思い出してしまった。
「『高みを征く者』『ヒューベリオン』いいですね。
お前は今からヒューベリオンと呼びます」
ラウラの言葉に、
「ガオーン!」
と同意の叫びをあげるヒューベリオンだった。
試験運用のため、三頭のワイバーンをコンゴウに言って準備をしてもらう。
ワイバーンたちもコンゴウから魔力を得ることになる。
風防の魔法と温調の魔法を込めた魔石を作り、ヒューベリオンとワイバーンたちに埋め込んだ。
これで魔石の魔力はヒューベリオンとワイバーンたちから供給され、常に風防の魔法と温調の魔法が展開され、空の上でも快適になると思われる。
リエクサの騎士団から三名の騎士をワイバーンライダーに任命する。
その中にはリエクサの騎士団、元団長のアルベルトも選んでおいた。
初体面の時、遠くから眺めていると、ラウラに近づき何かを言うアルベルト。
デ〇ルイヤーを使っている訳ではないので何を言ったのかはわからないが、舐めた口を利いたのだろう。
アルベルトは強化されたラウラに殴られ吹き飛んでいた。
ご愁傷さまです。
まあ、男所帯で指揮官を任されていたラウラです。
鍛えなおしてもらってください。
訓練後に顔がはれ上がり、気を失ったアルベルトが転がっていたと聞く。
南無。
たった四頭のワイバーンライダー部隊ではあるが、運用方法はいろいろあるのではないだろうか。
ヴァルテル・アッテルバリ子爵のときのように、人程度なら運搬も可能だろう。
飛行速度を考えれば伝令にも使える。
俺が居る場合は扉が使えるが、そうでない時に活躍しそうだ。
数を増やせば火薬や魔石を利用した爆撃も考えられるが、できれば使いたくないね。
まあ、ピンポイントの爆撃って手もあるのだろうが……。
手駒が増えるのは嬉しい。
まあ、俺も上手く運用しないとな……。
読んでいただきありがとうございます。