第160話 痩せないとね。
ちょっと遅れました。
すみません。
あと、短めです。
「ガオン」
と吠えるドラゴン。
「君はマスターと一緒に行けない」
コンゴウが言うと、
「がお?」
ドラゴンは首を傾げた。
なんで?って感じかな?
「君は大きすぎる。
ダンジョンの廊下はそんなに大きくないんだ。
私と契約したことで大きくなってしまった。
そして、私がマスターに隷属したことで魔力が増加し、さらに大きくなってしまった」
コンゴウがドラゴンに諭すように言っていた。
つまり諦めろってわけね。
「ガオ」
悲しそうに俺を見るドラゴン。
俺に「何とかして欲しい」ってことらしい。
ふと、
「お前飛べる?」
と聞いてみた。
「ガオン」と頷くドラゴン。
俺、やれるんだぜ!
任せてよ。
と言う感じでドラゴンが胸を張る。
しかし、でっぷりと丸いドラゴン。
確かワイバーンライダーって部隊があったよな。
このドラゴンが飛べるのなら、それを作るか……。
部隊長は……ラウラにすればいいか。
高高度への攻撃は魔法ぐらい。
墜落さえなければ比較的安全なのではないだろうか……。
「リーフ、ワイバーンってダンジョンで生み出すことができるのか?」
と聞いてみた。
するとリーフは、
「ええ、魔力さえいただければ……。
今のマスターの魔力だと、十万頭ぐらいは作れますね」
そして、リーフが何か気気付き、ハッとする。
「えっ、もしかして、この世界を我が物に?」
なんでそうなる。
そりゃ、ワイバーン何かを操って町や村を襲えばそれも可能かもしれないが。
その後が面倒。
変な討伐隊や勇者パーティーなんて出てきたらどうする?
完全な悪役だろうに……。
「しないしない……。
しようとも思わない」
俺は全力で否定した。
「マスターなら似合いそうなのに……。
その服装で白と黒の魔王って名乗ったらいいのに」
「何だそのトンデモネームは。
そんなにバケモノにしたいか!」
「男たるもの、それぐらいの志をもたなければ!」
「魔王なんてならないからな!」
このままじゃ、世界征服させられそうなので、リーフからコンゴウに相談相手を変更し、
「コンゴウ、あのドラゴンの飛行速度は?」
と聞いてみた。
「そうですね、結構遅いですよ。
ワイバーンには劣ります」
「お前飛んでみてよ」
するとドラゴンは羽ばたき飛び始めた。
・・・・・・遅い。
ありゃ……ダメじゃん。
するとリーフが、
「コンゴウ。
コアの力を使えば、土属性のブラウンドラゴンではなく、風属性のグリーンドラゴンにできるのでは?」
と、アドバイスをした。
コンゴウは思いだしたように頷くと、
「確かに……、グリーンドラゴンであればワイバーンなど相手にならないほどの飛行速度を得られる。
今の魔力なら可能です。
では早速」
そう言うとすぐにコンゴウの体が輝く。
茶色ででっぷりしていたドラゴンの体が濃い緑のシュッとした細い体形に変わり、小さな翼が大きく広がる。
その翼で羽ばたくと、部屋の中の空気の密度が上がったように感じた。
おう、速そう。
「ちょっと魔力を食いましたが、これで問題ないでしょう」
コンゴウが頷いていた。
「じゃあ、お前、騎乗用のドラゴンになって、俺が作ろうと思っているワイバーンライダー部隊のワイバーンを統率しろ。
騎乗予定の者にも後で会わせてやる」
そう言うと、ドラゴンは頷いた。
「さて、どうやって外に出そうかなぁ……」
デカい扉を出してみる。
「いけそうだね」
細くなったおかげで、翼をたたむとギリギリデカい扉に入りそうだ。
しかし、羽根が少し引っかかる。
「がおーん!」
痛いのか涙を流すドラゴン。
「ちょっと痛いが我慢しろ」
俺は羽根の位置を調整したり、引っ張ってドラゴンを外に出した。
出た場所はリエクサの森。
「お前はこの辺で魔物でも狩っていてくれ。
ただし、スカーフを付けたフォレストウルフやオルトロス、ケルベロスは狩らないように。
そのうち、迎えに来る」
俺が言うと、
「ガオン」
と頷くドラゴン。
そして、俺はオウルに戻るのだった。
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