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第154部 お仕置き。

 俺は街に出て屋台で食事をとる。

 思ったより屋台は少なかった。

 屋台を出す魅力があまりないのかもしれない。


 もう少しにぎわうといいけどねぇ……


 道などのインフラは綺麗なのだが「使い勝手がいいか?」と言われればそうではないような気がする。

 商人が来るのは主に木材の買い付け。

 結局のところ、あまり人が来ない街なのだ。

 辺境の都市ってところなのだろう。


 オウルほどとは言わないがボルタオくらいにはなって欲しいかな。


「何故、こんな所で食事を?」

 クロエが言った。

「ん?

 たまにはいいだろう?」

 街を眺めながら言った。

「いいですけど……」


「さて、クロエ。

 ここの騎士団の団長は誰だい?」

「表向きは兄さんなのですが……。

 実質はアルベルトと言う者です」

「その者は?」

「兵舎に居るかと……」

「じゃあ、兵舎に行こうか」


 おお、豪華絢爛。

 この街に来て「豪華絢爛」って、何回言ったかな?


 建物の見た目は凄い。

 王都並みだな。

 一応練兵場のような物もある。

「騎士の数は?」

「約百人だったかと……。

 最近は借金もあり兵の数を減らす傾向にありました。

 戦争自体も少ないですしね」

「騎士団自体の力は?」

「最弱です。

 装備だけの騎士と言われていました。

 団長も……そうですね、ラウラ様の足元にも及ばないかと……」


 うん……話に聞くと弱そう。

 まあ、騎士たちが手を抜いているのが森の中に魔物が増える一因ってこともあるんだろう。


「強さに胡坐を書いた騎士団長ってところかな?」

「そう言われると仕方ありませんが、そういうことです」

 クロエは苦笑い。


 兵舎の中に入ると、規律など何もない。

 椅子に座り、机の上に足を挙げた男たちが居た。

 皿は出しっぱなし、その上には骨が乗っている。

「初めまして、私が新しい領主のマサヨシです」

「あん?」

 耳を掘り、フッと耳クソを飛ばす大男が居た。

 ニヤニヤとする周りの男たち。

「領主の娘じゃねえか。

 借金のカタにされたと聞いていたが、生きていたんだな。

 そこの男に腰でも振ったか?

 ゲヘヘ……」

 下卑た笑いをするアルベルト。

 周りの者たちも、同じく下卑た笑いをした。

「テロフ、我慢してくれよなぁ……」

 俺は振り向いて言った。

 テロフが殺気を纏うのがわかる。


 大分怒ってるな。


 アルベルトの前に行くと、

「騎士団長は俺が準備するから、あんたはただの騎士になってね」

 と俺は言った。

「何言ってるんだお前、この騎士団は俺で回っているんだ!

 俺が居なくなったら何もできなくなるぞ?」

「弱い奴等を集めての、お山の大将だろ?

 俺の下で騎士をしたくないならさっさと出て行ってもらいたい。

 残るなら己を鍛え、民を守って欲しい。

 いい訓練場もあるし、馬も居るんだ。

 鍛えようによっちゃ、強くなれる要素はあると思うがねぇ。

 クロエ、騎士の給料は?」

「確か、月金貨一枚だったかと」

「俺は倍出す」

 その言葉にアルベルト以外はザワザワと話を始める。

「ただし仕事はしてもらおう。

 訓練と……魔物も多いらしいから、それの討伐もな」

「おい、お前。

 俺がこいつらを纏めなくて大丈夫なのか?

 俺は王都の御前試合で上位八人になったことがある」

「フン」と鼻で笑い、アルベルトが俺に言った。

「ん?

 ああ、うちには準優勝者と優勝者が居るから大丈夫。

 あと、元騎士団長もな

 だから、アンタ居なくていいよ?

 やめてもらってもいいし、腕があるっていうのなら部隊長ぐらいになってもらってもいい」

「誰だ、その優勝者って!」

 とアルベルトが聞いてきた。

「ああ、俺だ」


 ローブにスーツの魔法使いの格好。


「お前がか?」

 アルベルトは笑っていた。


 舐められたかね?


 実力を知りたいのか、

「俺と手合わせしろ」

 と俺に言ってきた。

「いいけど、負けたらやめさせないし、ただの騎士で働いてもらうよ?」

「わかった、俺が勝ったら騎士団長だ」

「いいだろう」

 テロフはクスクスと笑う。


 訓練場に鎧を着て木剣を持ったアルベルトとローブ姿の俺。

「いつでもいいぜ。

 あんた、武器は要らないのか?」

「多分大丈夫。

 魔法は使わないから安心しろ」

 テロフが、

「それでは始め!」

 と声を出すと、

 すぐに近寄り、アルベルトの頬を殴り飛ばした。

 結構な勢いで吹き飛び訓練場の柵に当たる。

 それを見た騎士たちが引いていた。


 あー、顔が歪んじゃったか……。

 とりあえず魔法で治療をして……


「大丈夫か?」

 俺が聞くと、

「バッ、バケモノ」

 と言って恐怖で腰が抜けているのかズルズルと逃げていくアルベルト。

「お前はやめさせない。

 俺が勝ったからね。

 逃げるなよ!

 逃げても追いかけるからな」

 俺は威圧の籠った言葉でアルベルトに言った。


 俺は騎士に振り向くと、

「まあ、そういうことで、やめる者は止めない。

 一週間で決めてくれ。

 もしここを去るというのなら、支度金ぐらいは渡す。

 ただし残るなら、お前らも兵舎と馬屋の掃除、武器の手入れ、できていなかったらあいつと同じことになるからな」

 俺はアルベルトを指差して言った。

 そして、

 お前らが居なくなっても別の騎士を探す。

 だから早めにやめるなら言ってくれ。

 以上!」

 騎士たちに俺は言い切る。


「いいので?」

 クロエが聞く。

「騎士がやめるならやめてもらっていい。

 ああ、あと、クロエ、お前にリエクサを任せる。

 ルカスと一緒に治めてくれ。

 騎士団長にはタロスを回す。

 あいつに騎士団を鍛えてもらえばいいだろう」

「畏まりました」

「テロフもクロエの護衛を頼む」

「当然」

 ニヤリと笑うテロフ。


 まずはこんなもんかな?


読んでいただきありがとうございます。

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