表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/175

第150話 王からの手紙。

「マティアス王からの手紙です」

 俺は、手紙を差し出す。

俺が離れると、ランヴァルド王は封を切り読み始めた。

 こめかみに怒り皺。


 内容は見ていないが、イングリッドが手込めにされそうになった件なのだろう。


 最後に頷くと口を開いた。

「マサヨシよ。

 よくぞ我が娘を守ってくれた。

 感謝する。

 オースプリング王国の失態だとマティアスオースプリングは言っている。 

 そこで、マティアスは暫くお前を貸し出すと言っておる。

 お前の父の許可も得たそうだ」


「へ?

 貸出し?」


 間抜けな顔をしていたのだろう。

 ランヴァルド王が笑う。

「しかし私はオウルに身重の家族もおりますので……」

「何のための扉だ?」

 俺を見てニヤリとするランヴァルド王。


 あっ、ご存じでしたよね。

 はいはい、会うことは可能でございます。


「とはいえ、お前はイングリッドの婚約者。

 こちらにも屋敷を準備する。

 そこでしばらく生活すればよい。

 用があればこちらから繋ぎをつける」

 離れ離れになると思ったのか、

「私は?」

 イングリッドが王に聞く。

「マサヨシと一緒に暮らせばよい。

 調理人と執事、メイド、使用人は付ける」

「お父様、どのような調理人と執事でしょうか?」

「さあな、儂が準備する者だからな」

「お父様に筒抜けなのは面白くありません。

 私のお付きをそのまま家に入れます」

「ふむ、好きにしろ。

 執事と使用人はこちらから出す。

 これでいいな」

「仕方ありませんね」

 こうしてしばらくオセーレで暮らすことになった。


 王城に近い屋敷。

 オウルの屋敷より広い。

 貴族の部屋っていうのはどこもそんな部屋割りなのか、主人用一部屋、お客用の個室が多数部屋、お付き用である。

 それに追加された、執事、使用人部屋。

 料理人は使用人枠らしく、使用人部屋に入っていた。

 そして、その主人用の部屋の大きなベッドで俺は横たわっている。

 俺の周りにリードラ、マール、イングリッドが座っている。


「あー、護衛の仕事が終わった。

 とはいえ、貸し出されるとはな……」

「例の件の尻拭いをさせるつもりなのでしょう。

 それに、オースプリング王国には王に仕える強い者が居るというアピールにもなります。

 そっちの方が強いかもしれませんね。」

 イングリッドが言った。

「まあ、どちらにしろ、オウルと繋ぐ扉は必要かね?」

「ご主人様、今扉を作るのはおやめになったほうが……。

 明日にでもしたらどうでしょう」

 マールがニヤニヤ。


 ん?


「そうだのう。

 (われ)も邪魔をするつもりはない」

 リードラもニヤニヤ。

 ふと見ると、イングリッドはモジモジ。


 そりゃそうか……。

 イングリッドにとってはやっと家族に認められた。

 枷がなくなる。

 既に三人で示し合わせているらしい。


 マールとリードラがすっと俺の部屋から出ていった。

 気を利かせたらしい。

「風呂入るか?」

「はい!」

 大理石の豪華な風呂。

 一応王家の者が使うようになっているのだろう。

 湯を張り、先に風呂に入る。


 おお、適温。


「広いねぇ……」

 話した言葉が響くほどの風呂。


 何のためにこんなに広いのやら。


 考えるのをやめ、目を瞑ってボーっとしていると、

「タッタッタッタ」と走る音がして「ジャバン」と飛び込む音。

 すると、俺の顔に水がかかった。

 水滴を拭い目を開けると、目の前にイングリッドの裸体。

「やっとです。

 やっと気にしなくてもいいんです」

 そう言うと俺に抱き付いてきた。

 イングリッドの体自体が柔らかいのだが、特に柔らかい部分が胸に当たる。

「クリスティーナ様がいろいろ言うから……想像して……大変だったんです」

「仕方ないとはいえ、悪かったな」

 俺は頭を掻き、視線をそらしながら言った。

「そうです、悪いです。

 アイナちゃんやフィナちゃんは違いますが、マサヨシ様との同衾の次の日はみんな満たされた顏なんです。

 私は成人してるのに、手を出してもらえない。

 辛かったんです。

 お父様が『良い』と言っても手を出さない。

 マサヨシ様は堅すぎます」

 少し拗ねた声でイングリッドは俺の胸に頭を置いた。

「それが重要なんじゃないのか?

 認められているから気が楽な部分もある。

 これで、イングリッドを抱いて子供ができても、誰が文句を言う?

 何気兼ねなしでいいってことだろ?」


 クリスのオヤジさんのところに、子供を連れて行く俺の気持ちを考えてくれ。

 まあ、クリスとメイナード王の舌戦が展開されそうで、俺が何か言うことも無いような気もするが……。


 上目遣いで

「はい!

 だから楽しみです」

 と、大きな声をあげる。


 二人で湯船から出ると、二人でお互いの体を洗い、寝間着に着替えてベッドに入る。。

 そして、次の日の朝、満たされた顏で腰が抜けて立てないイングリッドが居るのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ