第147話 国境を越えて。
予約投稿の設定を忘れました。
失敗です……。
在庫がなくなる……。
次の街であるヒュリケンの街へ向かう。
その町は国境の街。
その先の国境を越えればレーヴェンヒェルム王国。
街道を俺たちの戦馬、豪華な馬車にお付き用の馬車、そして最後尾にケルの編成で歩いていた。
ケルを見た旅人たちは「ヒッ」と言って飛びのいていた。
「お前、小さくなれんのか?」
「無理ですね」
申し訳なさそうなケル。
まあ、許可を出した俺もいかんのだがね。
「旦那様、ケル様の従魔登録が必要です。
街に入ると、揉めそうですね。
ケルベロスなど見たことのない者ばかりですから」
変なフラグを立てない。
結局門の前に着くと、門番に止められた。
イングリッドの通行許可証を出し、通ることは出来たが、何か対策が要るな。
ふむ……。
国境の街というだけあって、チラホラと魔族の姿を見かける。
通りを抜ける途中、出店に大きな赤いランチョンマットのような物が見えた。
「これを貰えないか?」
馬を降り、その商品を買った。
そしてケルの左前脚にそのランチョンマットを結びつける。
「一応、コレで誰かに従っているっていうのはわかるかな?」
取れないように結び目をきつくする。
「主よ、何かいいですね」
と口角を上げて言う。
気に入ったようだ。
ついでに冒険者ギルドに寄ると、冒険者たちが入口の前に現れ剣を構え魔法を唱えようとする。
「すみません。
マサヨシという冒険者で、現在イングリッド殿下の護衛をしている者です。
先日、ケルベロスを従魔にしましたので、登録に参った次第です。
できれば、手続きをしていただきたいのですが?」
俺はケルを連れ冒険者ギルドの前に行った。
「ケル、伏せてろ」
俺が言うと、ケルは伏せる。
「このように私の言うことは聞きますので、あなた達を襲ったりはしませんよ」
それでも安心できないようだ。
するとイングリッドが馬車から降りてきて、
ケルにもたれ、ケルの頭の一つを撫でる。
「これでもダメでしょうか?」
すると、一人のじいさんが現れた。
元々名のある戦士だったのか、ムキムキの体に傷だらけの顔をしている。
身長は二メートル近い。
ギルドの上の者のようだ。
「嬢ちゃんにそんなことをされちゃ仕方ない。
これ以上怖がる冒険者もカッコ悪いじゃないか。
お前ら、武器を降ろせ!
そこのお前、中に入れ!
従魔登録をしようじゃないか」
じいさんは苦笑いをしながら俺を指差すと、ギルドの中に入った。
俺はじいさんに続きギルドの中に入る。
「悪いな。
ケルベロスと言えば、国家征伐対象と言って、国に報告しなければならないんだ。
あいつらは群れで行動する。
という事はオルトロス、フォレストウルフを従えている。
ケルベロスの指示で統率のとれた行動をする。
俺も一度だけ戦ったことが有るが、長生きしているだけあって老練で狡猾だったよ。
つまり、俺たちが警戒をしてしまうって訳だ」
「こちらも、先触れもなく動いています。
急に出て来られれば、こういう態度を取られるのも頷けますので気にしないでください」
「そう言ってもらえると助かる。
従魔登録だが、このカードにお前の名前と従魔の種類と名前を書いてもらえれば成立する。
ただし、このカードを持つという事は、あのデカい従魔の起こしたことをすべてお前が責任を取るということだ。
いいんだな?」
「ええ、そのつもりで従魔にしましたから」
俺はサラサラとカードに俺の名前とケルベロスとケルの名を書いた。
このカードの契約の一部のようで、カードが淡く輝く。
「これで終わりだ。
このカードを出せば、従魔だと理解されるだろう。
何か普通の魔物と違う物を身に着けさせるといいだろう」
「ああ、それは既にしています。
足に布で目印を」
「それなら問題ないだろう。
以上で終わりだ。
迷惑かけたな」
「こちらこそ、大変ご迷惑をおかけしました」
こうして、ケルは正式に俺が従える魔物になった。
「早かったですね」
「ああ、イングリッド、
カードに名前を書くだけだからな。
お前、何してるんだ?」
「ケルのお腹の毛は長くてフワフワなので堪能させてもらいました」
周りで見ているお付きが苦笑いだ。
「さて、先に行こうか」
「はい」
再び、俺はアインに乗る。
イングリッドもお付きも馬車に乗りこんだ。
「ケルがおると目立つのう」
リードラが苦笑い。
「でも、大きな魔物を従えるのも冒険者のステータスにはなります。
そのうち噂になるでしょうね」
マールが言った。
「我も元の姿のほうが良いのかのう?」
危ない話してるなぁ。
「リードラはそのままでいいよ。
でないと、外に住んでもらわないと行けなくなるだろ?
俺はドラゴンに戻ったリードラは大きすぎて抱けないぞ」
「それもそうか。
表はケルに任せて、我は影でマサヨシに付き従うかの」
「ああ、その方がいい。
ドラゴンを連れて街にはいる事は難しそうだからな。
外で留守番も嫌だろ?
宿で一緒にも寝られない」
「うむ、それがあった。
美味い食事にもありつけん。
我はこのままでいいぞ」
ふう……納得してくれたか
そして俺たちはヒュリケンの街を出ると国境を目指すのだった。
つつがなく国境を越える。
イングリッドの許可証の威力は絶大だった。
「そう言えば、リードラと三日月島を見つけたのは別として、国境を越えるのは初めてだな」
夏らしい青い空を眺めながら言った。
「次の街で、レーヴェンヒェルム王国からの迎えも来ると思います。」
「一応、オセーレまでの予定でいいんだよな?」
「当然です。
顔見せもありますから、王都であるオセーレに来ていただかないと困ります」
次はユンセレの街。
初の魔族の街、どんな感じなんだろ。
読んでいただきありがとうございます。