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第144話 再出発。

 予約投稿がずれていたようです。

 ご迷惑をお掛けしております。

 再び俺たちは街道を行く。

 旅に不慣れなクラーラは屋敷で待ってもらうことにした。

 心細そうだったが、フィナやアイナがフォローをしていたので何とかなるだろう。

 同年代だと思われているようだ。

 次の街は国境の街であるヒュリケンの街。

 馬車での工程ではやはり途中野宿で一泊は必要。

 前回のように風呂に入り、眠りについた。


 何故か横にはイングリッド。

 既に話は付いているらしく、リードラとマールは気にせず寝ている。


「何故にここに?

 それも、その薄着」

「当然誘っているのです。

『見えそうで見えないのが良い』と言っていたとリードラさんに伺いましたからね」


 以前リードラにそんな事を言ったなぁ

 確かに、そそる感じだ。

 うっすらと双丘とその上にあるものが見える。

 耐えろ息子。


 そのままイングリッドが抱き付いてきた時、周りに光点が集まり始めた。

 魔物か?

 百以上は表示されている。

「イングリッド、イチャついている場合じゃないみたいだ」

 俺は服を着替えて外に出ると、リードラとマールが続いた。


 二人も気付いていたようだ。


 別のテントからお付き達も防具を着け剣を持って現れる。



 周囲を見ると多数の光り輝く目。

 その中央から二つの頭を持った犬が現れた。

 体長が四メートルはある。

 体高でも俺の身長ぐらい?


 オルトロスってデカいんだな。


「ガウワウガウガウ……」

 と何かを話す。

「ふむ、我が(ぬし)の魔力を感じてやってきたと。

 それでその(ぬし)をどうしたい?」

 リードラがオルトロスと話し始めた。

「ガウワウワウ、ガウ!」

「ほう、獲って食おうというのか。

 それはいいが、そんなことができると思っているのか?」

「ガウーワウワウ」

「数で何とかするつもりか」

 リードラはそう言うと、

「バカな犬っころだのう。

 (ぬし)よどうする?」


 リードラが居なきゃ何言ってるのかわからなかったな。


「んー、やられる気はないかなぁ。

 リードラ、ちなみにこういう時はどうすればいい?」

「こういう時は群れのボスを躾ければいい」

「つまり、群れのボスを屈服させろと」

「そういうことだな」

 俺はオルトロスの前に進み出た。

 一陣の風が吹く。

 すると俺に襲い掛かるオルトロス。


 二つの顔が俺の肩に噛みついた。

 ガウガウと肉を引きちぎろうとするが、ホワイトドラゴンのローブとスーツが守ってくれているようで、痛くはない。

 まあ、ステータス補正で少々痛くても傷はつかない。

 手加減して腹パンをすると、鳩尾の当たりが少しヘコんだ。

 勢いでオルトロスがひっくり返り二つの口から胃液が噴き出す。


「汚ねえなぁ。

 俺を食うなら、それぐらいのことに耐えられないと。

 大分手を抜いてるぞ?」

 吹き飛んだオルトロスに近づき見下ろした。


 犬は上位下位をはっきりさせた方が良いと聞いている。

 ここは、厳しく……。


「お前、我が(ぬし)がそんなに弱いと思っていたか?

 お前など、すぐに消し飛ばせるほどの魔力を持っている意味をよく考えろ。

 (われ)の威圧など及びもしない威圧を味わえばいい」

 リードラが見下しながらオルトロスに言った。

 そしてリードラはチラチラと俺を見る。


 ああ「威圧をしろ」ということね。


 俺は群れに向けてリードラ越えの威圧を放った。

 すると、全ての犬がひっくり返る。


(ぬし)よ、さすがだのう。

 あの犬ども服従したぞ」

 リードラが笑っていた。

 確かに服従のポーズ。

 一番弱いといわれる腹を出している。

 オルトロスの腹を撫でると、

「アフーン」

 と甘えたような声を出した。


「あの犬たちどうすればいい?」

「それは、飼うも良し、逃がすも良しじゃ。

 隷属させるのも良いかものう。

 昨日イングリッドに話していた内容からして、森が多い土地を得るのだろ?

 それなら、この群れは使えると思うぞ?

 フォレストウルフにオルトロス。

 森が得意な魔物たち。

 領土を守るのに良いのではないか?」

「ふむ……」

 すると、オルトロスが起き上がり、俺の前で頭を下げる。

「従いたいようだぞ?」

 と、リードラ。

「俺に従う?」

「ワウ」

「リーダーであるお前は、下に居る者を率いている。

 お前が部下たちに命令すれば部下たちは言うことを聞くんだな?」

 確認を取ると、

「「ワウ」」

 と言って頷いた。

「俺に従うなら、お前は俺に隷属させる。

 その代わり、俺はお前を守る。

 当然お前の仲間もな。

 それでいいか?」

「「ワウ」」

 再び頷く。

 俺は契約台を出し、オルトロスの右の前足を取り、隷属化を行った。

 当然のごとく能力が上がったようだ。


 ん?


 体が倍の大きさになり、オルトロスの首の間からもう一つ顔が現れる。

「おお、ケルベロスになったようだな。

 そりゃそうだの。

 (ぬし)の下に来れば、それもあり得る」

 リードラが呆れていた。

 リーダーが進化したことで、その下で従っていたフォレストウルフたちも進化しオルトロスになる。

 その数、十頭程度。

 他のフォレストウルフも体格が良くなっていた。

(あるじ)よ、我々は(あるじ)に従います】

 聞いたことのない声が響いた。


 声は「ハッハッハッハ……」と舌を出しているケルベロスのほうから聞こえるのだが……。


【念話でございます。

 繋がりが強い者同士は念で話すことができるのです。

 私は(あるじ)に隷属することで繋がりが強くなり、念話が可能になったのです】

「ふむ、それはいいが、腹が減っているのだろ?」

【そうですが、我々魔物は魔力を得ることで生きていきます。

 このように進化できたのも、契約の際に(あるじ)の魔力が流れ込み、進化に必要な魔力を得たのでしょう。

 今は契約によって(あるじ)と繋がることで、(あるじ)の魔力が直接、私に流れ込むようになりました。

 私に届いた魔力は部下たちに分配されます。

 これで、私たちは飢えることはありません】

「そりゃ良かった。

 それなら、旅人を襲ったりしないな?」

【はい】

 こうして、俺の配下にケルベロスを筆頭とするワンコ部隊が加わるのだった。


読んでいただきありがとうございます。

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