第142話 貴族の妻
目を覚ますと、腕枕で寝るクラーラが居た。
相変わらず胸に抱き付いている。
ツンツンと鼻を突っつくと、
「あーん」
と低めの声を出して手で払う。
ん?寝起きが悪いタイプ?
懲りずにツンツンとしていると、
フッと目が開き俺の顔を見る。
すぐに目を逸らし赤くなるクラーラ。
「寝起き悪いのか?
ずっと弄ってたけど全然起きないのな」
更に赤くなるクラーラだが、
「だって、なかなか起きれないんだから仕方ないだろ!」
と、逆切れ気味に言うが、
「二人寝って初めてだったけど、気持良かったし……」
と尻すぼみに声が小さくなる。
ヨシヨシと頭を撫でると、強気なクラーラが甘えてくる。
「さて、今日の朝飯はフィナの料理にしようか」
「フィナの料理?」
「俺のお抱えの料理人。
さて、着替えるぞ」
ベッドから出て、着替える俺。
「クラーラも早く着替えろよ」
床に落ちた服と下着をかき集めた。
お約束でパンツを広げてみる。
「すげーな、レース付きなんて」
「それは、イングリッド殿下のお下がり。
でも新品だぞ。
使わないからって。
夜這いするならこれぐらいはって……。
失敗したけど……」
んー少し凹み気味?
「あのな?
ほら、俺も我慢してたの」
朝の自然現象で立ち上がった物をクラーラに見せた。
「私で?」
「そういうこと。
だから、失敗したとか言うな」
「でもすごい、男ってこんなになるんだな」
「触るなよ」
「触りたい!」
「ダメ」
「ケチ!
アタイのを見せてやる」
「いや、そういうのいいから、早く朝飯に行くぞ。
オウルにはお付きも連れて行かなきゃいかんのだ。
宿には朝食は要らないって言ってあるんだからな」
「うー」
と一唸りすると、クラーラは服を着るのだった。
十分に綺麗な肌は堪能させてもらいました。
オウルの屋敷に繋ぎ、食堂へ向かう。
義父さんと女性陣は食事をしていた。
既にクラーラの事も知っているのかチラチラとクラーラを見る。
「その子が新しい子?」
と、クリスが聞いてきた。
「んー、仮だね。
すでに事情は知ってるんだろ?
リードラ、マール、イングリッドが先行で帰ってるんだ」
「まあね……。
ところでクラーラ、夜這いは成功した?」
ニヤリと笑ってクリスが聞いた。
「えっと、ダメだった。
抱き枕で二人寝だった」
ちょっと元気が無いクラーラ。
「でしょうね。
マサヨシはヘタレだから」
「まあ、そう言われても仕方ない。
やっぱり、イングリッドやリードラ、マールが良いと言っても、クリスやアイナやフィナ、カリーネやラウラも居るからね。
皆が納得しないとね。
だから仮」
「貴族の当主なんて、女囲ったって、側室作ったって文句は言わないわよ?
あなたにはそれだけの力はある」
「だからって、誰彼構わずは嫌かなぁ。
前も言ったが、俺は一夫多妻何て世界から来ていないんだ。
それがどういう訳か、こんな風になった」
俺は皆を見回した。
「それに、姉妹のように皆で話したりしているのも見ていて楽しかったからね。
そう言うのが崩れるのも嫌だ。
だから、虫のいい話だと分かっていても皆が納得しないとダメだね」
と俺が言うと、
「マサヨシよ。
イングリッド殿下の護衛が終われば、お前はこの屋敷の当主になる。
好きなようにすればいい」
義父さん言った。
しかし、
「俺の勝手だけじゃ、この屋敷はどうにもなりませんよ。
クリスを頭とした女性陣が仲良くなきゃ」
「私はいいわよ?
もう、私のお腹にはマサヨシの子供がいる。
誰が来ようが負けない」
んー、勝負じゃないから……。
「それを言うなら私もね。
そりゃ、王女様には負けるけど、私だってマサヨシの子供がいる。
今更少々増えようが気にはならないわ」
張り合う必要はないとは思うが……。
要は子供が居るから私たちのほうが有利と言いたいらしい。
そんなんでいいの?
しかし、二人の発言から、ギラリと光る残りの女性陣。
アイナとフィナは仕方ない顔をしているが、
「次の当たり日によろしくお願いしますね」
と、マール。
マールは月のものから計算しているらしい。
「我は当たり日などはわからんが、抱いてもらうぞ?」
と、リードラ。
ドラゴンの当たり日って、何年に一回なんだ?
「お早いお帰りを。
私もクリス様やカリーネさんのようになりたいので……」
と、騎士風ではなくメイドな感じでモジモジしているラウラ。
ギャップ萌えかな?
「私はオセーレでお願いします」
とイングリッド。
イングリッドよ、オセーレで何かあるフラグは立てないように。
抱けなくなっても知らないぞ?
そりゃ流れでそうなったら仕方ないがね……。
「アタイは?」
混乱のクラーラ。
「あなたは、この個性の強いメンバーの中で生き抜いてください」
「うん、頑張ってみる」
やる気は満々のクラーラが居た。
頑張れ。
蚊帳の外のお付きを見る。
おっと、お付きは知らないふりで朝食中。
そりゃ、関係ないよな。
ああ、イングリッドの事は心配?
えっ?
それよりも、オウルの王宮よりも食事が美味しい?
イングリッドよりも食い気らしい。
だったら遠慮しないで食えばいい。
そんな事を思っていると、リスのように頬をいっぱいにして食べるお付き達が居た。
結局、クラーラは屋敷に置いていくことになる。
服とかは、ラウラに頼んでクラーラと一緒に買い物に行き、準備してもらった。
これで、屋敷に居る分には問題ない。
後はうまくコミュニケーションを取ってもらえればいいかな。
そりゃ、フォローはするけどね。
はあ、でもやっぱり子供は欲しいんだろうなぁ……。
証って言われたらそうだと思うし……。
子供かあ。
産まれたらどんな感じなんだろうな。
読んでいただきありがとうございます。