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第124話 バーベキューパーティー

 オウルの屋敷の庭でのバーベキュー準備。

 東屋の上にあったハニービーの巣を移動する。


 東屋の机は拭いてと……。


 その上に俺はオークキングのカツサンド、オーククイーンのカツサンド、そしてサイクロプスのカツサンド。

 横にはタルタル。


 お好きなだけどうぞ。


 それぞれを三十個ほどずつ盛った皿を置く。

 バーベキュー用の鉄板が無かったので、タワーシールドの装具を外して代用した。

 盾の下から火で炙る。

 あとは、キンキンに冷やしたエールの樽とワイン。

 他にも座って食べられるような場所を数か所準備する。


 こんなもんかな?


 キャベツのような葉物やキュウリのようなスティック状の野菜も準備。


 中世は衛生面でよろしくなかったため、生野菜は食べなかったんじゃなかったっけ?

 違うかな?


 野菜はしっかりと洗い、マヨネーズも準備。

 デザートとしてホイップクリームのショートケーキもフィナと作った。


 さて、バーベキューパーティーを始めようか。

 義父さんと義母さんは椅子に座りニコニコしている。

 クリスにアイナ、リードラは小皿にいろいろと盛っていた。

 マールにベルタ、ラウラは私服だが配膳の手伝いをしてくれる。

 アランとボー、カリンにラムとロムもやってきていた。

 ロルフ商会の父娘。

 早々にカミラはタロスのほうへ行く。

 一人寂しげなロルフさん。


 後は、イングリッドぐらいか……。


 すると、ランヴァルド王が現れ、その後ろからイングリッドが現れた。


 えっ、何でランヴァルド王が?


 義父さんと義母さんががすぐに立ち上がり、

「ランヴァルド王がこのパーティーにおいでくださるとは」

 と慌てて取り繕う。

「急に来てすまんな。

 オセーレでもなかなか食べられぬ肉が食べられると聞いて、居てもたっても居られず、来てしまったのだ。

 迷惑ではなかったかな?」

「いいえ、そんなことはございませんよ。

 しかし、王が来ていただけるのであれば、もう少し派手にしたほうが良かったのかもしれません」

「良い良い、私に気にせず、いつも通りやってくれ」

 王が義父さんと義母さんが居るテーブルに向かう。


 イングリッドは俺のところに来ると、

「すみません、どうしてもこのパーティーに出席すると聞かなくて……」

 申し訳なさそうに言う。

「まあ、仕方ない。

 経済力ってやつを見たかったんだろうしね」

 ランヴァルド王はカツサンドの前で、

「何だこれは!

 私は食べたことがない。

 オークキング、クイーン、サイクロプスの肉。

 それが美味いのはわかる。

 しかし、その味をさらに際立たせているのが、このソースだ。

 白くて何か塊が入っておる。

 他にもニオンが食感にアクセントをつけている」

 と叫んでいた。

 そして、エプロンをしたフィナを見つけると、

「お前がこの家の料理を仕切っているのか

 我が王宮で働く気はないか?

 金は出す」

 と引き抜き工作を始める。

「私はマサヨシ様と一緒に居ます。

 ですから、どんな条件を付けられても無理ですね。

 それに、このソースはマサヨシ様が作ったもの。

 私はそのレシピを教わっただけですから」

 フィナはにこりと笑うと、ランヴァルド王の申し出を即断った。

 それを見つけたイングリッドがランヴァルド王に近寄り、

「お父様!

 フィナちゃんはマサヨシ様の専属調理人です。

 そして、マサヨシ様の婚約者の一人。

 ですから、マサヨシ様から離れると言う事はありません

 それでもお父様が力でマサヨシ様からフィナちゃんを無理やり取り上げようとしたなら、レーヴェンヒェルム王国がなくなることを覚悟しておいてくださいませ。

 そして、もしそのような事をしたなら、私もお母さまに告げ口させてもらいます」

 と言った。

 イングリッドの言葉に威圧が少し混じっている。

「おっ、奥には言って欲しくないかなぁ。

 ハハハハ……」

 カラ笑いのランヴァルド王。


 尻に敷かれているのだろうか……。


 ランヴァルド王はフィナに「すまなかった」と言って小皿を持つと、載せられるだけのカツサンドを載せ、エールが入ったジョッキを持ち、義父さんの居る場所へ向かうのだった。



 しばらくすると、適度に酒が入り、皆の顔が少し赤くなる。

 すると突然、

「マサヨシよ、我が娘を妻としてどうする?」

 ランヴァルド王が酒臭い息を吐きながら俺に聞いてきた。


 ありゃ、出来上がってるな。


「どうもしないつもりです。

 政治とかそう言う意味で付き合う気もないですしね。

 たまたまですが、私の下に女性が来まして……その中にイングリッドが居た。

 館や領地で好きなことをして生活してくれればいいと思っています。

 その中でやりたいことが見つかれば、応援をする。

 そんな感じです」

「私はマサヨシ様がやりたいことを手伝います」

 後ろから抱き着いてきたイングリッドを見て、ランヴァルド王に怒り皺が浮いた。

「なぜ、マサヨシがいいんだ?」

「それは、私を姫として扱わないからです。

 この屋敷に居れば、ただの女性として扱われます。

 お父様にはできないようなバカな話ができる。

 だから居心地がいい」

 俺を見てイングリッドが笑う。

「お父様は経済力について気になされているようですが、マサヨシ様はダンジョンの攻略において十分な経済力を身に着けています。

 それはレーヴェンヒェルム王国の国家予算を軽く超えるほど……」


 実際手に入れたすべての宝箱を開けると、オーベリソン王国……つまり、クリスの国の国家予算の何倍にもなっていたらしい。

 ただ、その貨幣を流通させると経済が混乱を起こす。

 だから、俺は金をばらまくことはしなかった。

 その辺のことをイングリッドはクリスから聞いていたのだろう。


「何?」

 イングリッドの言葉を聞き、ランヴァルド王が驚いていた。

「マサヨシ様が言わないのは、言う必要が無いからです。

 見てもらえればいいといっていました」


 そんな話に割り込んできたのがロルフさん。


 結構勇気あるなぁ。


 イチゴのショートケーキを持ち、

「これの作り方は!」

 と俺に聞いてくる。

「ああ、作り方はフィナに教えてあります。

 職人を連れてきてもらえれば教えます」

「これは売れる。

 見た目が綺麗なのもいい」

「あっ、コタツについては試作品ができましたので今度お持ちします。

 まあ、売るにしろ来年の冬でしょうけどね」

 そう言って離れようとするロルフさんをランヴァルド王が

「そこの者」

 と声をかけた。

「あっ、王様、何の御用でしょう?」

「マサヨシという者はお前にとってどういう者なのだ?」

「売れる物のアイデアを与えてくれます。

 イングリッド殿下のお陰で私の商会も多くの貴族様に知られ、菓子だけで別の商品でも声がかかるようになりました」

「私はただ、プリンを食べただけなんですけどね」

 苦笑いのイングリッド。

「イングリッド殿下に学校でお菓子を食べてもらうようにアイデアを出したのもマサヨシ様です。

 それにマットソン子爵の家には私の方から月に白金貨一枚は納めていますので経済力の面では高いのではないでしょうか?」


 ありゃ、ロルフさん聞いてたんだ。


「あの小さかったイングリッドが私から離れるのが嫌なのだ。

『おとうたま』と言ってやっと歩ける足で私の元に来ていたイングリッドが居なくなる。

 手紙にもあの男のことしか書かれておらん

 悲しいではないか!」

 ランヴァルド王は涙ぐむ。

「王よ、わかりますぞ。

 あそこで騎士とともにいるのが我が娘。

 最近では、私の目もはばからずキスをする。

 妻が亡くなり、男手一つで育てたというのに、いい男ができたらあれです!」

 二人はじっと目を合わせ、肩を組む。

 そして、ジョッキを持って歩いていった。

 ロルフさんが振り返り、ニッと笑う。


 気を使ってくれたらしい。


 結局ランヴァルド王はロルフさんと娘の話をつづけた後、飲み潰れ我が家で泊まることになる。

 そして、朝食の終わり際に、

「お前には勝てそうもない」

 そう言ってイングリッドと扉で帰って行った。


 認めてもらったと言う事だろうか……。

 イングリッドが微笑んでいたからそう言うことなのだろう。


 

 後日、予定通りメルヌの街にオークプリンセスの肉を配る。

 滅多に口に入らないということで好評だった。


 少々は名前が売れたかね?

 代替わりをするという事は、領民の暮らしをよくしていくということ。

 頑張らないとなぁ。

 

読んでいただきありがとうございます。

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