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第123話 バーベキューパーティー準備

 ダンジョンの攻略も終わり、ちょっと時間が出来たこともあり、かねてより計画していたバーベキューパーティーをすることにした。


「凄いですね」

 調理場の机に並ぶ肉・肉・肉。

 フィナが驚いている。

「いろいろ人も呼んだから美味い物をって思うだろ?」

「しかし、オークキング、クイーンだけでなくサイクロプスの肉まで出すのでしょう?

 聞いた話ですが滅多に手に入らない肉。

 オークキングはちょっと焼いて摘み食いさせてもらいましたが、凄く美味しかったです」

「摘み食いしたのか?」

「ダメでした?」

 上目遣いのフィナ。

「摘み食い」が恥ずかしかったのかフィナの顔が赤くなる。

「素材の味を知らないのは困るだろ?

 別にいいよ」

 俺も別に気にしていない。


 味噌に手を出せば、味噌やたまり醤油を使った焼肉のタレみたいなものも作れたんだがなぁ……。

 代わりの物と言えば……。


 ふと考えた。


 そう言えば、マヨネーズを作っていない。

 ふむ……。

 マヨネーズがあれば野菜も食べられるか。

 作り方自体は簡単。

 マヨネーズ焼きって言うのも美味いしねぇ。


「フィナ、市場に行こう。

 いつもスープに使っているあれって何ていう?」

 俺は見た目玉ねぎを指差した。

「あれはニオンですね」


 おっと、近いね。


「あれは?」

 ニンニクを指差す。

「ガリックです」


 意外と普通。


 ショウガはジンジャだそうな。

 ネギはネギだった。


 法則がわからん……。



「とりあえずその辺の物を買いに行こうか」

「はい!」

 俺たちは市場へ向かうのだった。



「可愛い彼女連れてるねぇ。

 いいのあるよ!」

 そんな風に声をかけられるたび、ニコニコと笑って俺を見上げるフィナ。

 腕を組んでくる。

 まあ、この世界では成人は十二歳らしい。

 付き合うというのは有りなのだろう。

「いつもここで買っているんです」

 いかつい獣人の爺さん一人で店番をしていた。

「おじいさん、今日はニオンとガリック、ジンジャが要るんです。

 いいのありますか?」

「嬢ちゃんが『要る』と言うのは珍しいな。

 いつもは『いいのありますか』だけなのに」

 スッと爺さんの目線が俺に向く。

 そして足元から頭のてっぺんまでなめるように見た。

「嬢ちゃんのコレかい?」

 親指を立てる爺さん。

「ええ、フィナは俺の婚約者です」

「そうかい。

 太っていると聞いたがね?」

「あっ」

 俺の事を話したことがあったのだろう。

 フィナが爺さんを止めようとするがもう遅い。

「ええ、フィナのお陰で痩せました」

 と俺は言った。

「そうかい、そりゃ良かった。

 この嬢ちゃんはいつもアンタの事を心配していたからね。

 さて、ニオンとガリック、ジンジャだったな」

 そう言うと、表にある物ではなく裏に何かを取りに行く。

「一級品のニオンとガリック、ジンジャだ。

 いつも買ってもらっている物よりも高いが、兄さんに買えるかな?」

 麻袋を差し出すと、値踏みするように爺さんが俺を見た。


 試されているのかな?


「言い値で買いますよ。

 フィナが信用したこの店です。

 俺も信用します」

「言うねぇ!」

 嬉しそうに爺さんが言うと、

「もし『いくらですか?』なんて聞いたら『金貨三枚って』吹っ掛けようと思っていたが、アンタならばいい。

 持って行きな!」

 そう言って袋を差し出した。

「いや、そういう訳には……」

 俺が口ごもると、

「おじいさん。

 私の婚約者は貴族の息子です。

 ただで貰う訳には行きません。

 だから、ちゃんとした値段を言ってください」

 フィナが胸を張り言う。

 爺さんはじっとフィナを見るとフッと笑い。

「銀貨三枚だ」

 と言った。

 俺は銀貨を三枚差し出す。

 ニオンとガリック、ジンジャの入った袋を受け取ると、

「嬢ちゃんを泣かせたら儂が許さんからな」

 と耳元で言われるのだった。


 爺さんにとっちゃ孫みたいなんだろうな。



「ちなみにペッパーは有りますか?」

 勘で言ってみた。

「ペッパー?

 ペッパならあるぞ」

 そう言って爺さんが足元から粒コショウを取り出した。

「しかし香辛料だから高い。

 量は少ないくせに単価が銀貨十枚ほどになる」


 コショウはペッパね。


「ペッパは南方から入るので高いのです」

 と、フィナの説明。

「あるだけ下さい」

 と俺が言うと、

「良いのか、高いぞ?」

 と爺さんが言った。


 心配してくれたようだ。


「おじいさん、マサヨシ様はゼファードのダンジョンマスターを倒しているのです。

 ですから、大丈夫」

 フィナは事情を話す。

「そりゃ、すげえや。

 いい男見つけたねぇ。

 わかった、金貨七枚だ。

 それでこの量になる」

 そう言って爺さんは小さな壺を見せた。

「ええ、それでお願いします」

 俺は金貨七枚を出した。

「毎度あり!」

 ホクホクの爺さん。

「嬢ちゃんと知り合いで良かったよ」

 爺さんはそう言って笑った。



 後はコカトリスの卵でマヨネーズを作る。

 卵黄に塩と酢を入れよくかきまぜたあと、少量ずつ油を加える。

 軽めの油はフィナが準備してくれた。


 エマルジョーンだったよな。


 指ですくって味見をするとマヨネーズ。


 懐かしい味。


 もう一個コカトリスの卵を出し、ゆで卵にする。

 その間に玉ねぎをみじん切りに……

 出来上がったゆで卵を潰し、その中に玉ねぎを入れる。

 マヨネーズを混ぜちょっと酢を入れて、最後に塩コショウ。


 んー、タルタルソースの出来上がり。

 だったら、オークカツとサイカツも有りか。

 それなら、パン粉も要るな。



 パン粉を作り、オークカツとサイカツの準備をしておく。


 カツサンドとかも美味そうだねぇ。


 フィナがニコニコしていたので、

「どうかしたのか?」

 と聞いてみる。

「マサヨシ様がニコニコしています。

 それも、美味しいものを作っています。

 それを見ていると幸せなんです」

 本当に嬉しそうにフィナが言った。

 尻尾も振れている。


「ふむ、明日は忙しくなりそうだ。

 フィナ、よろしくな」

「はい、マサヨシ様」

 俺たちは調理場を出るのだった。


読んでいただきありがとうございます。

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