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第119話 ゴブリン殲滅。

 光点の中央に着くと、そこにはデカいゴブリンをさらに上回ったデカいゴブリンが居た。

「ありゃ何だ?」

「ゴブリンキングね」

「以前戦ったオークキングよりデカいぞ?」

「数の差でしょうね。

 オークキングは二百程度、ゴブリンキングは数万。

 率いる物の数が多いほどキングは強くなると聞いてるわ」

 クリスが教えてくれた。


 だから、アンだけデカい訳か……。


「わかった。

 それじゃあ、行ってくる」

 そう言ってゴブリンの群れの中に降りる。

「気をつけて」

 と言うクリスの声が背後から聞こえる。


 身長一メートル強程度のゴブリンが数万を率いると六倍はありそうなゴブリンキングになる訳か。


 つまり七メートル近くのゴブリンキングの前に立ち、見上げて思う。


 デカいなぁ。

 でもなぁ、あいつの大きさには負ける。


 多数の中に現れた異物に周囲に居たゴブリンが襲ってきた。

 俺は教わった型を繋ぎ、流れるようにゴブリンの中を駆け抜ける。

 剣先から出るカマイタチで帯のようにゴブリンが切り裂かれた。


 なんかこっちのほうがカッコいいな。


 自然と笑いながら、次々に現れるゴブリンを切り捨てた。


 半年前は、魔物を殺したら吐いていたんだがなぁ……。


 少し過去を振り返り、再び笑ってしまう。


「ウォーー!」

 と叫ぶ声が聞こえると、急にゴブリンが襲ってこなくなった。

 俺を睨み付けるゴブリンキング。

 犬歯をむき出し俺に敵意を表す。


 悪い、その程度の威圧ならあいつより弱い。


 俺が空を見上げると白いドラゴンが舞っていた。

 ゴブリンキングは傍らにあるこん棒を引き抜き俺に向かう。

 歩く度に揺れる地面。


 とは言えドラゴンゾンビよりは軽いよな。


 叩きつけてきたこん棒をオリハルコンの長剣で払った。

 根元辺りで切れる。

 ゴブリンキングは柄だけになったこん棒を見て驚いていた。

 そしてその柄を俺に投げると両手でつかみかかってくる。


 その腕をスッとかわし、丁度俺の胸あたりにあるゴブリンキングの左ふくらはぎを上段から切り付けた。

「ぐぁぁぁ……」

 とゴブリンキングが叫ぶ声がすると、切り口から血が噴き出す。


 完全には切れなかったか……。


 怒りのこもった視線を感じて回避すると、俺が居る場所にこん棒のような腕が通り過ぎる。

 それを躱し、左腕を切りつけた。

 腕が切れ、勢いであらぬ方向へ飛んでいくのが見えた。

 切れた腕で体重を支え立ち上がろうとするゴブリンキング。

 後ろに回り込み右アキレス腱を切った。

 踏ん張りが利かなくなった足のせいか地面に這いつくばる。


 すると、ゴブリンキングに手下のゴブリン達が群がった。


 助けに来た?

 違う。


 そして、ゴブリンキングのその体を食べ始める。

 

 共食いか……。


 強い者の魔力を得て強くなろうとしてるのかね?

 このゴブリンキングが強かったから統制がとれていたのか?

 強い者だから従っていた?

 空腹による共食い。

 共食いすることで別のゴブリンの魔力が強いゴブリンに溜まる。

 そして、強いゴブリン同士が共食いをしてさらに強くなる。

 推測だが、数が多いほど共食いが頻発し、その頂点に居るゴブリンが強くなるって訳かね?



 暫くすると、ゴブリンキングの骨が転がるだけになった。


 その肉を食らったゴブリンは魔力を得て強くなったのだろうが、ゴブリンキングには劣る。

 周囲に何も無い状況なら、三十ミリガトリング砲の登場。

 高速移動で大きいゴブリンから小さなゴブリンまで周囲にいたゴブリンを倒し切った。


 ゴブリンの死体だらけの平原を眺めていると、

「相変わらずね」

「そうだのう。

 (われ)など比にならぬ」

 クリスとリードラが空から言ってきた。

「仕方ないな。

 バケモノに近いお前らが言う『バケモノ』だからな」


 レーダーを見ると数十匹ほどの集団が十ほど残るのみ。

 魔物の帯が見えないという事は大量発生は終わったようだ。


「ゴブリンはどうしたほうがいいんだ?」

「これだけのゴブリンの死体があると、腐敗による病気の可能性が出てくるわね。

 焼いて灰にすればいいと思うけど……数が多すぎる

 埋めるのもねぇ……」

「埋めたらゾンビになるとかは?」

「それは無いわね、

 ゾンビは死霊使いが死体に魔法陣を書いて作るの。

 ここに居るゴブリンを全部ゾンビにできるのはマサヨシかアイナぐらいじゃない?」


 若干アイナもバケモノ認定されているようで……。


「じゃあ、残敵を掃討しつつガヤニの街に戻ってマナを回収しようか」

 俺がリードラの背に乗ると、クリスもそれに続く。

 その後、レーダーを使って周辺のゴブリンを殺しガヤニの街に戻るのだった。


 俺たちがガヤニの街の近くに行くと」

(ぬし)よ私が言うのも何ですが、本当にバケモノですね」

 と言ってマナが飛んできた。

「この土地にあのゴブリン達を埋め込めるか?」

「埋めればいいので?

 でしたら、(ぬし)の魔力を貸してもらえれば可能です」

「じゃあ、頼むよ」

 マナの体が輝き、ゴブリンの死体が消える。

「はい、できました」

「確かに、マナもバケモノだな」

「いえいえ、(ぬし)には負けますよ」

「私からすれば、マサヨシもマナも、ついでにリードラもバケモノよ」

 クリスが呟く。

(われ)を入れんで欲しいのう」

 苦笑いのリードラが言った。


「んー、オセーレはイングリッドと一緒に行くか?」

「そうね、少し疲れちゃった」

「じゃのう。

 空は楽しかった。

 マサヨシは空を飛ばしてくれた。

 思う存分暴れさせてくれた。

 だから、風呂に入りたいのう。

 そして、少し昼寝かの?」

「昼寝って言う昼寝なら俺も歓迎だ」


 結局フォランカのゴブリンの死体を埋めオウルの屋敷に戻る。

「さあ、一緒に寝ようか」

 そう言う俺を見てリードラとクリスがクスリと笑った。

「洗うてくれるのだろ?」

「私もね」

 ニヤニヤと俺を追い詰める。

「風呂ぐらい一人で入れよ!」

「「嫌だ!」」

「ハア……」


 風呂に入ってから昼寝……。

 結局二人も疲れ切っていたが……疲れる昼寝って何だ?


 頭を掻きながら横になる二人を見る俺が居た。


読んでいただきありがとうございます。

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