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第118話 ガヤニ襲撃

 街道沿いに飛ぶのだが、やはり村に人気が無い。

 レーダーにも何も映らない。

 ただ、レーダーのレンジの端に赤い帯ができていた。

 奥に何かが要るってことだろう。


「結局何が起こっているんだ?」

 俺が呟くと。

「ゴブリンの大量発生ね。

 ゴブリン単体だとランクの低い冒険者でもどうにかなるんだけど、依頼としては人気が無いのよね。

 だから放置させる傾向にある。

 でも、ゴブリンの増加率はすさまじいの。

 五匹ほどを二か月放置していたら百匹単位で増えていたという話も聞くわ。

 一年単位で放置したんじゃないかしら。

 慌てて討伐に出しても数の力で蹂躙される。

 森の中で食べられるものをすべて食べ尽くして村を襲い、それでも足りなくて街を襲った。

 よく聞く話ね」


「蝗害」という言葉が思い浮かぶ。


「ゴブリンなど、(われ)も食べんしな」

「いやクリス、リードラ、落ち着き過ぎだろう。

 ガヤニの街がヤバいってこと?」

「多分……」


 あー、ダメじゃん。


 しばらく飛ぶと、レーダーのレンジ内に帯が現れる。

 本拠地と思われるあたりから、ガヤニの街まで魔物を表す光点の帯が続く。


 こ、フォランカより数が多いぞ?

 万単位じゃないか?


 そして、ガヤニに群がるゴブリンの群れが見えた。

「どうするの?」

 クリスが聞く。

「ゴブリンの帯には結構な距離があるな

 帯の中央で燃料気化爆弾の魔法を使って敵を分断。

 街側のゴブリンを殲滅してから、本拠地に乗り込む。

 そんな流れにしよう」

「あの魔法を使うのか、わかったのだ。

 ではどこへ飛べばいい?」

「あそこの辺だな」

 町から十キロほど離れた場所。

 そこが帯の中心である。


 リードラは方向を変えその場所に向かった。

 可燃性ガスを高圧にして一気に膨張させた後に点火をイメージ。

 それを帯の中央上空十メートルほどに置く。

「魔法の準備はできた、逃げるぞ」

 すると、リードラが翼を畳み高速で飛び始める。

 安全な距離を離れたところで魔法を発動させた。


 ピカッと光った後、衝撃波の白い雲が地を這う。

 そして黒い雲を巻き込んだ大きなきのこ雲が出来上がった。

 遅れて「ドーン」という音が聞こえる。

 街までの光の帯は中央部で大きく消えていた。


「私、こんな大規模魔法初めて見た」

 クリスが唖然とする。

(われ)は既に見ておるがな」

「仕方ないじゃない、あの時私は寝てたんだから」

「我は一緒に行ったからの」

 ちょっと優越感に浸るリードラ。

 ちょっと機嫌が悪いクリス。

「はいはい、このあとの事もあるんだから……。

 マナは街の上で防衛に専念」

「りょうかーい!」

 そう言うと俺から離れガヤニの街の上へ向かう。

「クリスはリードラと一緒。

 上空からの攻撃ね」

「何でよ!

 私だって戦える。

 パルティーモで見たでしょ?」

「んー、負ける気はしないけど、怪我されたり捕まったら嫌だから。

 数も比較にならないぐらい多いしね。

 リードラとクリスで居れば安心できる。

 クリスは上空からでも攻撃ができるからな」

「守られるってこと?」

「そういうこと。

 嫌か?」

「んー、許す」

(われ)もか?」

 「一人よりは二人のほうがいいだろう?

 二人とも俺よりは弱いからね」


 街に近づきリードラから降りた。

 俺から離れたリードラとクリスは上空から爆撃機のようにゴブリンへ攻撃をする。


 両手にマシンガンで高速移動だろうか?

 スタ〇ダストメモリーのドムトローペン。

 でも、俺、〇ムっぽくなくなったなぁ。

 イメージはVRの〇ムジン?

 いや、〇ファームドは確かサブマシンガン。

 でもあれは歩いていたんだよなぁ。

 トンファーなんて武器も無いし。

 個人的にはラ〇デンが好きだったなぁ。

 自分の体を見て考える。

 痩せて悩む俺もどうかしている。

 あっ、エン〇レスワルツのヘビーアームズ〇は痩せてたな。

 だから両手マシンガンはやめて30㎜ガトリング砲に変更。

 うん納得。


 魔力の弾をばらまき、面でゴブリンを倒す。

 自然回復量よりも魔力消費量が少ないのか弾が途切れる心配がない。

 魔力の弾も大きいのか、体の小さいゴブリンの体が爆ぜた。

 流れ弾のいくつか外壁に当たった。

 威力が強すぎるのか、結構な深さまで穴が開く。


 こりゃいかんね。


 例の未来から来たサイボーグが出てくる第二弾で出てきたチェーンガンをイメージした。

 ゴブリン自体への威力は減ったが、壁への影響は減る。

 俺は街の周りを走りながらゴブリンを殲滅していった。

 たった一人の俺だが、危機感を感じ始めたのかゴブリン達が俺を狙い始めた。


 まあ、その方が助かるんだけどね。

 動かなくて済むし……。


 次々と倒されるゴブリンに業を煮やしたのか、デカいゴブリンが現れる。


 フォランカレベルかね。


 ただ、俺の身長の二倍ぐらいあるデカいゴブリンは五匹。

 数の多さに余裕があるのかニヤニヤしている。


 ここがメインでフォランカはついでだったのかね?

 おっと舐められてるね。


 家宝のオリハルコンの剣を構え一気に距離を詰めた。

「ドン」と音がする。


 あっ、音速超えた。


 急に現れた俺に驚くゴブリン達。

 正面に居たデカいゴブリンに遠慮せずオリハルコンの剣を叩き込む。

 すると、デカいゴブリンが真っ二つに割れた。


 ん?大体腹から股間にかけて剣を振っただけだぞ?


 疑問に思い軽く剣を振る。

 すると、隣に居たゴブリンの脛が切れた。


 おっカマイタチ?

 じゃあ……。


 残ったデカいゴブリンへ向け剣を振ると、音もなく首と胴が別になった。


 ゴブリン達が俺から離れるように逃げ始める。

 そのゴブリンをブレスとファイアーボールが襲っていた。

 街の周りからはゴブリンは去り、マナが俺の下へ戻ってきた。

「お疲れさん」

「あれ凄いね。

 魔力使わずにエアスラッシュなんて……」

「エアスラッシュって言うんだ」

「ええ、魔力を使って真空による衝撃波を放つ。

 (ぬし)のほうが威力はあるけどね。

 気をつけてね、無意識に出る物だから、簡単に傷をつけてしまうから」

「わかった、気をつけるよ」


 レーダーを見ると赤い帯がなくなり、ある一点に集まって丸くなっている。

 そこがゴブリンの巣なのだろう。


 俺の上でリードラがホバリングする。

「マサヨシ、あとはどうするの?」

 クリスが聞いてきた。

「ゴブリンの巣を叩いて終わりかな?」

「このままいくのだろ?」

 リードラの口角が上がる。

「ああ、そのつもり。

 説明も面倒臭いし、早く帰ってフィナの食事を食べたい。

 結局昼メシも食ってないしなぁ」

「そうね、名誉よりもフィナの食事」

「だな」

 三人の意見はまとまった。


 再び俺はリードラに乗ると、ゴブリンの巣があると思われる場所へ向かった。


読んでいただきありがとうございます。

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