第110話 下層へ向かおう9(さて、元嫁に会いに行こう)
誤字脱字が多く、ご迷惑をお掛けしております。
四十一階。
次のボスは元嫁の体。
多分、ボス部屋の前で待っているのだろう。
とりあえず、とダークエルフの剣が入った宝箱を出しクリスに開錠してもらった。
おお、ダークエルフの剣は黒塗りの二振りの短剣。
全体が目立たない黒一色……漆黒だった。
「マールに似合うかな?」
「マサヨシ様、手にしっくりくるいい短剣です。
ただ、何か付与されているかどうかまではわかりません」
「そうか、まあ使ってみて変だったら言ってよ」
呪われているようには表示されてなかったがねぇ。
「はい、わかりました。でもせっかくマサヨシ様に貰ったものです。使いこなしてみますね」
マールは短剣を愛おしそうに抱きかかえていた。
俺たちは四十一階に降りると夜目が利かなければ周囲がわからないぐらい暗い。
何も無ければアイナやクリスは、目の前にいる俺たちがうっすらと見えている程度じゃないだろうか。
しかし、眼鏡のお陰か、全てが見えているようだった。
「マサヨシ、コレ凄いわ」
「三十階より暗いはずなのに、昼間みたいに明るいよ」
と、クリスとアイナが答える。
ん、目的通り。
良かった良かった。
ふと、アイナの顔が厳しくなり、
「マサヨシ、ゴーストみたいなのが多い、気を付けて」
霊が見えるアイナが言った。
「おう、アイナありがとな」
レーダーで確認すると、色んな所に魔物を表す光点があった。
部屋をすり抜けるのがゴーストなんだろう。
アイナは霊的な気配を感じるのかしきりに周りを気にする。
「マサヨシ、ターンアンデッドしておく」
「おう、アイナよろしく」
呪文を唱える澄んだ小さな声が聞こえると赤い光点がほとんど消える。
どんだけだよ、聖女特性。
対アンデッド戦にはアイナは欠かせないな。
アンデッド系の魔物が多いのか?
ここのダンジョンマスターはリッチ。
ラスボス近くだといいんだがね。
アイナがターンアンデッドを唱えた後に残った魔物を狩るパターンで各階を攻略していく。
残るモンスターも五メートルあるような蝙蝠や十メートルぐらいあるフクロウ。
たまにバンパイア。
目は血走って狂ったように攻撃してくる人型の魔物、上に帰れなかった元冒険者の末路なのかもしれない。
ただ、俺が見るのは息絶えた魔物の姿ばかり。
足音とともに素早く誰かが飛びだし敵に向かう。
マールの漆黒の刀身は闇に紛れて見えず、魔物たちは避けられないでいるようだ。
マールが動くと魔物が倒れている状況が続く。
隣に来たマールに
「気に入った?」
俺が聞くと、
「はい、マサヨシ様にもらった剣。
最高です」
そう言ってマールは漆黒の刀身を眺めていた。
クリスは自分のレイピアに炎を纏わせ、魔物を切り伏せる。
「マールに負けないから」
と、張り合っていた。
黒と白……陰と陽、戦い方が違う。
でも二人とも強いねぇ。
アイナの魔力酔いが気になったが、特には問題ないようだ。
若い分成長が早いのだろう。
マールも同じくらしい。
アイナがスケルトン、ゴースト、ゾンビのようなアンデッドをターンアンデッドで潰し、残りをクリスとマール、たまにリードラが狩る。
俺の出番がない。
魔物を狩り終えると、宝箱回収という流れで効率よく下層へ向かう。
その時間、約二時間に一階。
お陰で三日経った昼前には俺たちはボス部屋の前に立っていた。
読んでいただき、ありがとうございました。