第109話 暗闇への対策。
誤字脱字が多く、ご迷惑をお掛けしております。
夕食を終え自分の部屋で少し考えていた。
ダンジョンの三十階以降周囲が暗く、俺とリードラ、マールはいいのだが、クリス、アイナ、には辛い。
ライトの魔法で少々は見えても、視界が確保されないというのは不安だと思う。
ということで、魔道具を作ることにした。
「マナ、手伝って欲しいんだがいいか?」
「ん?いいわよ?」
スッと、マナが出てくる。
「お前、この銀貨使って銀線作れるか?」
俺は銀貨を五枚ほど取り出しマナの前に置いた。
「作れるわよ。
どのくらいの太さ?」
「このくらいかなぁ」
俺は親指と人差し指で五ミリほどの隙間を作った。
マナは銀貨の上で手をかざし、銀線を加工する。
すると、銀貨が直径五ミリほどの一本の銀線に変わった。
「やるねぇ」
「当然!」
胸を張るマナ。
「じゃあ、この銀線でこの位の円を四つ作ってくれないか?」
俺は再び親指と人差し指で直径四センチメートルほどの円を作る。
「いいわよ」
そう言うとマナは真円を四つ作った。
「後はっと……」
「主?
私はあなたと契約してるから、あなたが考えたことを知ることができる。
あなたの許可があればだけど……。
口で言うのが難しいのなら、主の想像したものを見せて」
「ああ、見てもらえるか?
眼鏡って言うんだが……こんな感じだ」
俺はレンズの部分が丸い銀の眼鏡をイメージした。
「わかった。
でも、人によって顔の形は変わるから合わせる必要があるわね」
「そうだな。
耳にかかる蔓の部分や鼻当ての部分はあとで調整するとして、一応の形を作ってくれないか?」
「ちょっと待ってね。
いくつ作ればいい?
この感じだと二つだけど」
「そう、二つお願いします」
と俺は言った。
マナが手をかざすと、見たことのあるメガネができる。
ちゃんとヒンジがあり、蔓の部分も仕舞えるようになっていた。
おっと、ヒンジはネジで止まっている。
凄い精度。
鼻当ては、眼鏡と繋がる部分が柔らかく、曲げる角度で調整できるようになっていた。
「凄いな。
さすがマナ!
硬くて透明な物って無いか?」
「水晶かしら?」
「水晶ねぇ……」
俺は収納カバンのリストを確認する。
おお、あったねぇ。
取り出すと拳大の水晶。
「これでこの眼鏡に合う丸い板を作ってくれるか?
こんな感じで」
俺は円形の度のないガラス板をイメージした。
「わかったわ。
四枚でいいわね」
そう言うと、水晶が小さくなり、四枚の水晶の板ができる。
「後はその眼鏡って奴に水晶の板をはめ込めばいいのね」
「ああ」
眼鏡のイメージを知ったマナは、段取りよく進めていく。
「出来上がりね」
「ああ、思った通りのモノだ。
ありがとな」
「だったら、フィナにお菓子追加してもらって。
大盛でもいいわ」
「わかった、頼んでおこう」
「じゃあ楽しみにしてる」
そう言うとマナは俺の中に戻った。
俺は、ノクトビジョンをイメージして出来上がった眼鏡に必要以上の魔力を使い魔法をかける。
急な明るさの変化でも目に入る光の量は変わらないようにしておく。
「できたかな?」
部屋を出て、廊下を覗く。
丁度良く通りかかったアイナに、
「ちょっと部屋に来てもらえないか?」
と言うと、
「えっ、私を?」
と、おかしな返事。
イヤイヤ、抱くとかそう言うのじゃないから。
部屋に入り、
「これをつけてもらえないか?」
と、眼鏡を差し出した。
アイナは受け取るが、
「私目が悪くないわよ?」
と言う。
「んー暗い所でも周りが見える眼鏡。
度は入っていないよ。
ダンジョンでは周りが見え辛そうだったからな。
魔道具を作ってみた」
アイナは眼鏡をつける。
「ん、知的な感じだね」
「何も変わらない」
と、アイナは首をかしげていた。
「窓から外を見てみてよ」
アイナは窓に近寄り、外を見た。
「えっ、外は真っ暗なはずなのに、昼間みたいに見える!」
と言って驚く。
「そういう魔道具
ダンジョンで魔物が見づらそうだっただろ?
で? かけ心地は?
銀だから少し重いかもしれないが……」
「うん、少し鼻の辺りが狭いかも」
俺はアイナに近づくと眼鏡を取り、鼻当てを調整した。
何度かのやり取りの後、
「あ、違和感なくなった」
「ダンジョンに入る時はつけてもらおうか」
「わかった」
クリスにも眼鏡を渡し、それぞれ調整を行った。
これで、闇の対策はできたかな。
さて、フィナの所に行って、明日のマナのおやつ増量を依頼してこよう。
読んでいただき、ありがとうございました。