第107話 下層へ向かおう7(四十階ボス攻略)
誤字脱字が多く、ご迷惑をおかけしております。
相変わらず真っ暗な世界、魔物は黄色の三本角のサイクロプス。接敵と同時に家宝の剣で一刀にて切り伏せる。
アイナもマールも一対一でサイクロプスを倒していった。
クリスも危なげない。
リードラは……サイクロプスの腹を殴ると穴が開いていた。
リードラすごっ……。
未踏の地とは言えやることは変わらない。
魔物を切って宝箱を回収するのみ。
何故かは分からないが、やっとダークエルフの剣という種族指定の武器の入った宝箱が見つかる。
「これは、マールのかな? あと、欲を言えばクリスのも欲しい」
その後の宝箱にはオリハルコンやミスリルの剣が入っているらしいが魔法がかかっている物ではなかった。お金の額も増加中……と言ってもクリスの開錠能力次第である。
結局苦もなく四十階のボス部屋まで到着する。
マップに映るのは光点一つ。ここも一体との戦闘になるようだ。
扉を開け中に入ると予想通りの魔物が居た、サイクロプスの上位種のメス。
名前はわからない。
茶色い皮膚のボディービルダーのようなムキムキの体にビキニっぽい服、動くたびに筋肉がピクピクと動く。
武器は身長ほどある大剣。
「んー趣味じゃない。
興奮しない。もう少し柔らかい部分があってもいいよね」
と俺が呟くと。
リードラが胸を強調する。
「胸は好きだけど、やっぱりバランスは重要だぞ?
大きければいいってわけでもない」
「本当かの?」
リードラがジト目で俺を見る。
「いや、本当だぞ……多分……。
だってアイナもかわいいしな」
「旦那様、まさか幼い方が……」
マールの目が厳しい。
「それは無い」
「マールだって綺麗だぞ?
魔力酔いの時に見せてもらったしな」
マールの顔が赤くなる。
「要は、あの体じゃダメだってこと」
そんな話をしていると、無視されているのにイライラしたのかサイクロプス(メス)が俺を目掛けて走ってきた。
鍛えられているせいか動きがいい。
大剣を振り上げ俺に切りつけてきたので試しに家宝の剣で受けてみた。
見たことのない火花が散るが俺はすんなり受け止める。
「ベコン」とおわん型に地面が凹んだ。
「うーん、こんなもんか……あの筋肉だったからちょっと期待したけどそうでも無い」
言葉が理解できたのかサイクロプス(メス)は甲高い叫び声をあげながら半狂乱に俺に切りつけてきた。しかし、俺は簡単にそれを捌く。
あれ?
女性陣が離れて俺を見ていた。
「旦那様頑張れー!」
「マサヨシ頑張れー!」
「やっちゃうのよー!」
「主ならすぐだ」
応援の黄色い声援が飛ぶ。
はあ……いつも思うが心配ぐらいしろよ……
上段からの大振りの攻撃を避けるとサイクロプス(メス)はつんのめった。
がら空きになった足首を叩き切ると、踏ん張りが利かなくなりサイクロプスが倒れる。
「それじゃ殺っちゃってください」
と言うと、いつも通り何となくアイナとマールがさっと飛び出し、サイクロプス(メス)を倒した。
切断面からは大量の血が噴き出し辺りは血の海になる。
しかし、この肉も美味いのかねぇ。
前回のオーククイーンは美味いって聞いたけど。
このサイクロプスの感じじゃ赤身の筋張った肉でしかなさそうだ。
肉の質が良ければいいけど……
体の前に前回と同じく金色の宝箱が出てくる。
「また金箱ね」
そう言ってクリスが近寄ってくる。
レアものかね?
宝箱を収納カバンに入れると精霊のレイピアの表示が出た。
「精霊のレイピアって?」
俺はクリスに聞いてみた。
「精霊装備?
最高級よ!
切れ味、強度共に最高レベル。
あっ、風の精霊が付いている。
本当は私が欲しいけど、私に付いている精霊は炎だし、クラウス様に渡したほうがいいかもね。
家宝のオリハルコンの大剣はあなたが使っているから、腰が寂しそう」
と興奮したのか大きな声でクリスが言う。
「わかった。
義父さんに相談してみるよ。
ありがとな」
頭を撫でると、クリスは目を細めた。
「じゃあ、サイクロプス(メス)も回収してと……ついでにあの大剣もいただくか」
剣を回収した。
おっと、これもオリハルコンの大剣か……。
火花が散ったのも頷ける。
よく見ると、家宝の剣が少し欠けていた。
時計を見るもうすぐアラームが鳴って家に帰る時間。
「さて、そろそろ帰るかね?」
と俺が言うと、
「マサヨシ、私は強くなった?」
「私も強くなれたでしょうか?」
俺を見るアイナとマール。
「強くなったと思うぞ。
でないと、サイクロプスのような魔物に勝てるわけがないだろうに。
それに、ボスを倒しても魔力に酔わなくなったしな」
「良かった」
「はい」
アイナとマールが嬉しそうに笑っていた。
「さて、次のボスは母様じゃの」
リードラが言う。
「そうだな、約束のために頑張るかね」
「ええ、そうね。
その後私たちを抱いてくれるんでしょ?」
クリスがにやけていた。
「んー、成人した者だけだけどね」
と俺は濁す。
「私は?」
アイナが詰め寄る。
「アイナは未成年だからしない」
「フィナ姉ちゃんは?」
「フィナは俺の心が折れそうだからしない。
せめて、十六歳からにしてくれ。
前の世界は成人が二十で、結婚可能年齢は十六だったんだ。
それ基準だな。
多めに見て十四だろう……」
「うー、まだ四年ある」
アイナが拗ねた。
「四年でいい女になればいいだろ?
みんな歳を取るんだ。
アイナが一番若く綺麗なる」
「でも、エルフやドラゴン、ダークエルフには年齢基準では勝てないような気がする」
クリス、リードラ、マールを見ながらアイナは言った。
「そうだなぁ、俺が言うのもなんだが、長寿種ってある意味バケモノだからな」
「あなたに言われたくない!」
クリスに突っ込まれた。
だから「俺が言うのも何だが」と、付けただろうに……。
「まあ大丈夫、アイナは年齢相応の美人になるよ」
「本当?」
「ああ、俺のほうからちゃんと『結婚してください』って言うよ」
と俺が言うと、アイナの頬が少し赤くなり、
「待ってるね」
と言った。
そして、そんな話をしている俺とアイナを、クリス、リードラ、マールは暖かい目で見ていた。
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