第103話 屋敷の管理人誕生。
誤字脱字が多く、ご迷惑をおかけしております。
「さて、お前らを放っておくわけにはいかない。
三人の名前を教えてもらおうか」
俺は三人に聞いた。
すると姉が、
「私はカリン」
そして指を差し、
「この子はラム。
そして、この子がロムになります」
年齢順に説明をする。
「自炊はできるか?」
「はい!」
自信のカリン。
「姉ちゃんのご飯はおいしいんだぞ!」
「だぞ!」
ラムとロムがガッツポーズで一歩前に出る。
「じゃあ、お前ら屋敷の管理人を頼む。
仕事は家の掃除と庭の管理」
「えっ、そんなに簡単に?」
カリンが驚いていた。
「この男は拾ったものは大切にするのよ」
カリーネのフォローが入る。
「わっ私を大切に?」
何を勘違いしているのやら……。
「格好のわりに甲斐性はあるしね」
それは褒めてないような……。
「じゃあ、引っ越しするぞ。
そういえば家賃とかの滞納は?」
「そっそれが……。
両親が居なくなってから、お金が無くて」
カリンが俯く。
「とりあえず、大家に滞納した家賃を払って、家の中の必要な物を回収しようか」
カリン姉弟の大家さんの所に行き、滞納していた家賃を払う。
もしもカリンの両親が戻ってきた場合は、屋敷にいる事を伝えてもらえるよう、家賃に色を付けておいた。
ギイ……と建付けの悪い玄関の扉を開けると、簡単なタンス、ベッド二つ、食事用のテーブル、他には何も無い。
「冒険者の実情って訳か。
冒険者って大変なんだな……」
カリーネがため息をつく。
「あなたは特別なの。
名を売ってパトロンのような貴族が付けばいいけど、名が売れなければ全部自腹だから。
この子たちには悪いけど、子供ができたら下ろす冒険者さえ居るの」
「カリーネは子供を育てるためにギルドに移ったんだよな。
えらいな。」
そう言って頭を撫でると、カリーネは赤くなっていた。
「たまたまギルドに空きがあっただけで……。
それに、そっそれされたら、盛りそうだからダメ」
「おおっと済まない」
カリン姉弟が俺たちを見ている。
カリン姉弟に、
「持って行くものをここに置いてくれ」
と、テーブルを指差すと、
「持って行くものは、あのタンスの中身ぐらいです。
中は私たちの服があるぐらい」
カリンが言った。
「タンスはカリンたちのモノだろ?」
「ええ、それは父さんが買った物。
重くて私たちには動かせなかったし、売りたくなかったから……」
「そうか、だったら、タンスごと持って行くか」
そう言って、タンスを収納カバンの中に入れると、
「「「えっ?」」」
っと、カリン姉弟は驚いていた。
「こんななりだけど、マサヨシは魔法使いなの。
こんなので驚いてちゃダメよ」
とカリーネが言った
それは褒めていない気がする……。
そのまま、ゼファードの屋敷に戻ると、
「えっえっえっえっ?
こんなに広いんですか?」
カリンを筆頭に驚いていた。
廊下を歩き、
「んーこの部屋でいいか?」
と扉を開けた。
この屋敷唯一の四人部屋。
一階にあるってことは使用人用なのかもしれない。
「えっえっえっえっ?
こんな綺麗な部屋でいいんですか?」
再び驚くカリン姉弟。
「悪いな、この部屋使用人用みたいなんだ。
あとはもっと綺麗な二人部屋とか一人部屋しかなくてな。
兄弟で住むならココだろうと思って勝手に選んだ。
えーっと、タンスはここに置いておくぞ」
カリン姉弟の服を見ると汚れている。
いつから風呂に入っていないのか臭い。
「後は……風呂に入って着替えるか」
と俺は言った。
「マサヨシ、本来風呂というのは湯屋に行ったりするの。
家風呂があっても薪や魔力が要るから三日や四日に一度なのよ?
でもお風呂に入ると気持ちいいからみんな当たり前になってるけど、あの屋敷が変なの」
「ふーん、だからって汚れてていいとは言えないだろ?
まあ何にしろ風呂に入ろう。
カリーネ、悪いんだが、一緒に三人を風呂に入れてもらえるか?」
「えっ、いいの?」
「いいというのは?」
「いや、私の裸を見ることになるけど……」
「何を勘違いしている?
俺は坊主たちを入れる。
カリーネはカリンを入れてくれるか?」
「あっ、そういうこと……」
そう納得したカリーネがちょっと残念そうにしていた。
大浴場は広すぎて時間がかかりそうだったので時間を考えて主人の部屋の風呂に湯を張った。
そしてラムとロムの体を洗う。
んー垢だらけ。
仕方ないか……。
風呂から出ると、風呂場には既にロムとラムの替えの服が準備されていた。
俺の服も畳まれている。
「姉ちゃん、すごく気持ちいいんだ。
あんなおっきなお風呂に初めて入ったよ」
小さなロムが興奮していた。
「姉ちゃん、簡単にお湯が出るよ。
お鍋で沸かさなくてもいいんだ」
風呂無しトイレ共同時代の必殺技……シンクでお風呂を実践していたのかね……。
ロムもラムもまだ体が小さいから可能だろうが、カリンはかなり狭かったんじゃないだろうか……。
俺たちが風呂を出ると、カリーネとカリンが風呂に入る。
「覗く?」
「覗かないよ。
別に見なくても布団に入る時見てるしな」
「残念」
そんな事を言いながらカリンを連れて風呂に入り、カリーネとカリンが再び出てくると、
別人のように綺麗になったなったカリンが現れた。
グレーの髪から覗く耳にお尻についている長い尻尾。
「この子は狼の獣人だったみたい
美人ね。」
「おお、確かに
でもカリーネには負けるかな?」
「もう……」
カリーネが赤くなる。
「さて、赤くなっているカリーネは放っておいて、今更だが自己紹介しておこう」
「放っておかないでよ!」
カリーネの突っ込みが入るが無視をして……。
「一応だが、俺はマサヨシ・マットソンという。
クラウス・マットソン子爵の息子だ。
義理だがね…….
俺はこの街でダンジョンの攻略を進めていて、そのための仮宿としてこの屋敷を買いました」
「あなたは貴族様だったので!
それでは、私は手付きに……」
「いやいや、違うから……。
話を戻すぞ。
それで、俺が魔道具を使えるのは見たよな」
コクリと頷く三人。
「それについてはマットソン子爵家以外の人には言って欲しくないんだ。
一部子爵家以外の者も知っているがそれは気にしなくていい。
わかったかな?」
「わかりました」
カリンは頷く。
そして、ラムとロムの方を振り向き、
「お前たちもいいわね?」
と聞くと、
「「うん、わかった」」
ラムとロムも頷いた。
「それじゃ、三人にはこの屋敷の管理人をしてもらう。
給料は……どのくらい?」
俺はカリーネを見る。
「そうね、カリンは銀貨十枚、弟たちは銀貨五枚でどうかしら」
「あとは、カリーネの案に……服は支給、食費も支給ってところかな」
「えっえっえっえっ?
破格です。
私たちのような歳の娘に払われるお金ではありません」
謙遜をするが、俺は実情を知っている。
「カリン、そこの大きな壺を持ってみて?」
おもむろに俺は言った。
「えっ、こんな大きな壺、私には持てません」
「いいから、壊れても怒ったりしないし、お金を払えとも言わない」
「そっそうですか……」
カリンはツボに手をかけ、ひょいと持ち上げた。
「あっ、軽い。
えっ、何で?」
キョトンとするカリン。
「ダメでしょマサヨシ、ちゃんと言わないと。
奴隷って言うのはね、契約者の能力で奴隷自身の能力が決まるの。
まったく変わらない事の方が多いの。
マサヨシはね身体能力はバケモノだから、その化け物じみた能力に近づいた訳」
カリーネが説明をする。
「それだけの力があれば。そこら辺に居る娘よりも給料を払う価値があると思うよ。
だから遠慮する必要はない」
と俺は言った。
自分の力を知ったせいか、
「マサヨシ様がそう言うのなら、わかりました」
こうして、三人姉弟の管理人が誕生するのだった。
読んでいただきありがとうございます。