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第10話 穴があったら酸欠だと思え。

「この扉は『一度行ったことがある場所で……』という前提が付くらしい。

 悪いけど門の外から移動だ」

 仕方ないので俺たちは門へ向かった。

 門番が居たので、ついでに仮の身分証を返しておく。

「おーい、あんた。

 仮の身分証返しに来たんだが、どこに返せば?」

「ああ、私が預かっておこう」

 門番が仮の身分証を回収してくれた。


 門を出ると少し街道から離れ、人通りが少ない場所に向かう。

「高速移動で現地に向かう。いい?」

 俺が言うと。

「ああ、あれね。

 いいわよ」

 すでに経験済みのクリスは楽しみなようだ。


 クリス、「ポッ」って感じで赤くなるんじゃない! 


「さて」

 クリスを抱き上げると、高速移動の魔法で浮上アンド移動開始する。

 再び時速九十キロメートルを味わってもらおう。

「相変わらずすごい速さね」

 苦笑いのクリスが居た。


 俺のレーダーには敵対するような光点が映っていない。

 あとは、ナビゲーションに従って、根城へ行く。

 直線距離で三十キロメートルほどだが、実際には一時間半程度で根城の洞窟が見える位置までたどり着いた。

 最後の数キロは隠れながら歩いた分、結構時間がかかってしまったが……。


 根城に着きレーダーで盗賊の数を確認すると、敵対表示の光点、つまり赤が二百三十一個表示されている。

 その数を数えてるとき、クリスが笑っていた。

 宙を見ながら、数を数える、結構間抜けだったようだ。


 レーダに、光点の数を表示できんのかね。

 って思ったら。普通に視界の端のほうへ数字が出た。

 実際は二百二十八人だったらしい。

 数え間違えているとは情けない。


「マサヨシ、どうやって、盗賊たちを討伐するの?」

 クリスが聞いてきた。

「ん? 根城の酸素を抜く」

「酸素って何?」

「俺らが生きていくのに必要な空気の成分。

 酸素を抜くことで、中に居る人間は死んでしまう。

 というか、酸素を吸って生きてるやつ全部だな」

 ただし、気になることが一つ。

「クリス、盗賊って人質とかとるんだよね」

「そう、身代金をとるために捕らえられている者も居るかもしれない」


 人質で標示しても、光点が出なかったかららそういうのは居ないようだ。

 誤認が怖いから、再度確認……ん、無いな。


 魔力を使い、洞窟の中の酸素を抜く。

 一応レーダーで監視していたが、十分もすれば二百以上あった光点が、数個以外すべて消えた。残った光点は櫓に居る奴……つまり見張りだ。

「はい、洞窟の中は終わり」

 ライフルを意識して構えて撃ち見張りは全て倒した。

 レーダーで探りを入れるが敵対を表す光点は現れない。


「さて、終わった。でも、洞窟に酸素を戻すまでは入ってはダメだ。

 死んでしまうからね」

 そう言うと俺は、洞窟内に酸素を戻す。満遍なく酸素を行き渡らせる感じで酸素を満たし、洞窟の入口に換気ファンをイメージして風の流れを作った。

「本当に終わったの?」

 クリスは信じられないようだ。

「うん終わった。

 この方法は目に見えないから怖いんだ。

 だからちゃんと除去した酸素を戻して、中に入れるようにしないと」

 と説明しておく。


 とりあえず、二十分ほど待機する。

 酸素濃度計をイメージしたら二十・九パーセント、異常無しだね。


「さてそれなら、中に入るかな。俺は死体をこの収納カバンに入れる。クリスは待ってていいぞ?」

 俺一人で盗賊の根城に行こうとした時、

「ちょっと待ってよ! 私は死体なんて見慣れているんだから手伝うわ」

 クリスが言う。

「それじゃ、二人で行こう」

 俺たちは根城へ向かった。


 おっと、酸素抜いたから照明のたいまつも消えたか。

 俺は指にライターをイメージして小さな灯を灯す、そしてたいまつを点火。周囲がぼんやり明るくなる。

 あー条件が違うから、マップに何も表示されていないか。

 死体のある場所を青い光点表示に変更すると、凄い数の光点が表示された。

「さあ、近くからやっていくぞ?」

 俺がそう言うと、

 コクリ

 クリスは頷いた。


 部屋に入っては松明を点け、転がっている死体をカバンに入れる。

 単純作業だが、それをずっと続けた。

 中には喉を掻きむしっているような死体もある。


 こりゃ滅入る奴だな。


「クリス、嫌じゃないか?」

 フリフリと首を振る。

「大丈夫。

 もっと酷い所見たことがあるし、マサヨシと居られるなら大丈夫」


 愛されてるなぁ。

 ちょっと嬉しい。


「ありがとな」

 そう言った後は二人で黙々と死体をカバンへ回収。

 しばらくするとレーダーに映る光点は消えた。


「これで、洞窟内の死体は回収できた。

 あとは、掘り出し物の回収だ。

 何かいいモノ無いかねぇ」

 と言いながら、宝物を緑の光点で表示させると三つほど光が現れる。

 お金を青い光点で表示させると、十ほど表示される。

 それが一つの部屋に固まっていた、


 そこが宝物庫か? 


「一か所、宝物とお金の反応が固まっている所がある。そこに行ってみよう」

「わかったわ!」

 俺とクリス二人で宝物庫らしき場所へ向かった。


 宝物庫らしき部屋に着き内部を確認すると、大中小の宝箱が一つずつと、硬貨が入った袋が10袋あった。


 わらしべ長者?


 クリスはそれを見て舌なめずりする。

「ねえ、開けていい?」

 開けたくて仕方ないのだろう、クリスはうずうずしている。

「待て! 罠があるかもしれない。というか外せるのか?」

「任せて!

 ステータスも上がってるから、このくらいなら問題ないと思う」

 クリスはピックのような物を持ち、鍵を開け始める。

 見事なもので、あっという間に鍵が開いた。


 宝箱の蓋を開ける。大と中には武器や防具が、小には指輪や宝石が入っていた。硬貨の袋も銀貨が入った物が六つ、金貨が入った物が三つ、白金貨が入った物が一つあった。

「クリス、盗賊の持ち物って、どうなるんだ?」

「討伐した者に与えられるわ。

 そこは魔物の時と一緒。

 通常は結構な数のパーティーが一緒に攻略するから分け前は少ないんだけど、私たちの場合は単独だから凄いわね」

「大金持ちだな」

 俺が呟くと、

「愛の巣が買える」

 と、クリスも呟いた。

「ん?

 愛の巣?」 

 と俺が聞くと、クリスは赤くなってフリーズする。

 そんなクリスを放置し、俺は手早く宝箱ごと収納カバンに入れた。


 意外とカバンの入口に近づけると、宝箱も入るもんだな。


 気づくと、カバンの中に入った武器や防具、指輪、宝石が種類や魔法の有無できっちり仕分けられていた。

 そのデータが頭に浮かぶようになっている。

 何なら死体も名前付きで仕分けられている。


 すっげー便利だな、このカバン。


 最初に奴隷商人から分捕った分も合わせると所持金が白金貨が七十三枚金貨が千六百三十六枚、銀貨が六千七百十五枚、銅貨が八十枚になった。九十五億三百十五万八千円也。少々の会社の売り上げ並みの所持金になってしまった。


 愛の巣かぁ。

 でもしばらくはこの世界を楽しみたいね。



読んでいただきありがとうございます。

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