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第1話 読んだことはあったが、人を助けて死にそうになると転移するらしい。

再び書き直します。

相変わらず誤字脱字が多いかと思いますがご指摘いただけると嬉しいです。

 「違和感半端ないね」

 自己分析してふと出た言葉。

 黒のスーツにネクタイ、ワイシャツを着て革靴を履いたおっさんが、カバンを持って丘の上に立つ。

 見る人が見たら仕事が嫌になって逃げてきた感じだ。


 ただ、空に見たことのない鳥が見たことのない動物を掴んで飛んでいるのを確認できた。

 時計を見ると十二時ちょうど。

 空を見上げると太陽がど真ん中。

 一応昼なのは間違いないらしい。


 インターネットが当たり前になり色々な人がその中に小説を書いている。

 暇つぶしにそういう小説、特にラノベ的なものをスマートフォンで読んでいた俺には、異世界転移というのは身近だった。  


 オッサンでも昔は〇ードス島とか、風の大〇とか、当時のファンタジー系の小説を読んでたわけで……。


 まさか自分が異世界転移するとは思わなかったよ……。



 俺の名前はマサヨシ。今は独身。分譲マンションに住み、それなりの会社でそれなりの仕事をし、それなりの給料をもらっていた。

 背、それなり?

 一メートル八十三センチ。

 ちょっとメタボな百五キロ。

 結婚はしたぞ?子供はいなかったけど。

 離婚したわけじゃないぞ?死別したんだ。

 老眼が進み、小さな文字はちょっと離さないと見えない。体も若いころのように動かなくなっていた。

 俺が嫁さんと出会ったのはアラフォーとは言われるが一応三十代の時だった。

「一生一人かな?」と思って買った俺のマンションのエントランスの前で泣く女性。

 こんなオッサンが若い女性に声をかけていいのかどうか、声をかけて不審者に思われないか悩んだ末に、部屋に誘った。

 当時、嫁さんは二十代後半、一回り差。

 別に嫁さんの事情を聞く気はなかったが、俺が「体を温めるように」とコーヒーを出したとき、ボソリボソリと自分から話を始める。


「あの時は聞いてほしかったのよ。

 誰にも言えなかったからね」

 と結婚した後に聞いた。


 その後、何となく放っておけなくなった。そのうち嫁さんもちょくちょく俺の家に来るようになり、そして体を通わすようになって結局結婚したって訳だ。

 それが俺の嫁さん、ミハル。


 帰ると誰かが居る生活、楽しかった!

 充実していた! 

 俺は嫁さんの尻に敷かれていたと思う。

 でもそれが嫌なわけじゃなかった。

 まあ俺自身がしっかりしてなかったしね。

「今日も頑張ってね!」って弁当を手に持った嫁さんに送り出されるのが嬉しかった。

 でもその生活が無くなる……嫁さんが病気になったのだ。

 あっという間だった。

 すべてを終わらせると、俺は一人になった。


 名前が名前だからって早く亡くなることは無いだろうに!


 ずっと後悔していたんだ。

 もっと早く気づけたら助かったんじゃないか?

 もっと一緒に居てやれたんじゃないか?

 日々後悔する生活。

 そんな生活が三年続いた。

 そのころには、嫁さんに任せていた料理、洗濯、掃除が当たり前のようにできるようになっていた。


 任せっぱなしだったんだけどな。


 ある日、仕事への出勤途中、信号無視で交差点に入ってきたトラックの前を歩く子供を見つけた。

「あっ、轢かれる」

 そう思ったときには、勝手に体が動いていた。

 子供を突き飛ばした後は俺が轢かれたようだ。

 痛みも感じなかった。


 人生半分終わっている奴よりも前途ある子供が生き残るほうがいいよな……。


 俺の前に血だまりが広がる。


 子供は泣いているが元気そうに見える。


 良かった……。


 そして、目の前が暗くなった。


 すべてが終わったと思った瞬間、チューブスライダーの中を進むような感じがした。


 プールじゃあるまいし……。


 とは思うが、遠くに見える光が見る間に大きく広がり、そしてまぶしさに目を細め、耐えられず手で目を覆う。

 しばらくして光が落ち着き、覆った手を外すと……俺は小高い丘の上に立っていた……。



 空気が気持ちいい!

 自然の中に立つのなんて久々だ!

 ……でいいのか?


 そして、頭を抱える俺。


 とりあえず確認が先決だ。

 人の姿や魔物の存在、そう言ものを確認しないといかん。

 要はどうすればいいのかわからん。

 その情報を仕入れるための何かが欲しい。


 遠くを見ると遠くで荷馬車が人型の何かに襲われているのが見えた。


 ファンタジーの世界ならば、魔物なんだろうな。

 とりあえずアレを何とかして情報を得ないといけない。

 三百メートル先ぐらいだろうか……。

 一応サラリーマンな俺だがスーツが鎧って訳じゃないだろう、書類が武器って訳じゃないだろう。

 そういや、ラノベの中じゃ『魔法はイメージ』って聞いたことがあるな。

 俺に使えるのかね?

 まずは右目を強化する……というかしたつもりになる。

 おぉ、目の前に居るようによく見える。

 やはり『魔法はイメージ』で問題なかったようだ。

 

 狙えば当たるかね?

 

 俺はライフルをイメージして魔物の頭に打ち込んだ。


 俺の前から何かが飛び出し、その魔物の頭に当たるのが見えた。

 頭が半分吹き飛び、中から白い脳の塊が落ちる。

 魔物の血は青かった。

「げっ、これはくるな」

 吐き気を催し吐きながらでも撃った。

 その馬車を助けなければ、俺には次の段階に行けないと思ったからだ。


 魔物は……八匹。あと、弓を持っている奴もいれて十一匹。

 対する荷馬車側は誰か一人倒れている。

 馬も動いていないな。

 荷馬車の上に檻があって、人っぽいのが居る。


 エルフの女性……。

 切れ長の目、長い耳、真っ白な肌。

 小説の挿絵や漫画の世界でしか見たことがない姿……。

 初めて見た。


 髪は編んであるが、それでも腰近くまである。

 エルフの女性はみすぼらしい服を着ているにもかかわらず想像以上に美しい。

 一瞬エルフに見とれてしまった。

 その間にゴブリンたちは檻の中からエルフの女性を引きずり出した。

 一匹は我慢ができないのか、早々にズボンを脱ぎだした。


 しかし、仲間が撃たれて死んでいるのに気づかないのか?


 そのズボンを脱いだ奴を狙う。

「ひゅっ」

 再び何かが出るのを感じた瞬間、魔物の頭が吹き飛ぶのが見えた。


 ただ助けようと、確実に一匹ずつ倒していく。

 さすがに気付いた魔物たちは周囲を見るが俺の姿は距離があってわからないようだ。

 撃ち続けて残り三匹になったところで魔物たちは武器を捨て逃げ出した。


 とりあえず彼女の確認に行くか……。


 俺は荷馬車のほうへ駆け足で近寄る。


 あれ? 体のキレがいつもと違う。

 素早い動きができる。

 メタボスプリンター? 

 頭蓋骨の中から白いものが飛び出した魔物が転がる中、俺は彼女に近づく。

 そんな中を歩いている俺は吐き気を催さなくなっていた。

 慣れというには早すぎる。

 俺は既にその時点でバケモノになっていたのかもしれない。


 俺が近づくと、エルフの女性は嫌々をしながら後ずさる。

 引きずり降ろされた際についたのか、色々なところに小さな擦り傷がついていた。

 白い肌の上を血が流れる。

 治療をしなきゃいけないはずなのに美しいエルフを観察してしまった。


 俺よりも小さいな。身長は170センチぐらい?

 小説とかだと、エルフって細いイメージだけどなぁ。

 結構肉付きいい?

 胸もあるよね。


 日本語が通じるんといいんだが……。


「ちょっとみせてくれる?」

 と俺が手を出すと、

「襲うつもり!」

 俺への敵対心を表に出して睨みつけるエルフ。


 通じたのは良かった。

 でも、エルフの気が強そうだ。


「んー、一応助けたつもりなんだが……」

 頭を掻きながら言うと、

「助けたってどうにもならないの、私には隷属の紋章が付いているんだから」

 既に何か諦めたようにエルフは言う。それでも、

「どうにもならないかどうかは、後から考えようや」

 俺はそう言って、強引にエルフの体を引っ張って引き寄せた。

「きゃっ」

 勢いよくエルフの体は俺の前に来る。


 ちょっと強引すぎたかなぁ。

 力加減を間違えたようだ……。


「すまん」

 と言った後、再び頭を掻きながら傷以外におかしい所は無いか確認する。

 素人目になるが小さな傷と打撲以外は何もないようだ。


「じゃあ、治癒魔法をかけるね」

「魔法はイメージ」だったよな。

「なおれー」って感じで彼女の体全体に魔法をかける。

 それでもエルフの傷は無くなった。


 本当は怖かったようだ。


 エルフの顔は真っ青。

 体も震えている。


 気が強そうでも襲われる寸前だったんだから仕方ないか……。


「もう大丈夫」

 俺は彼女の傍で彼女の頭を撫でた。

 彼女は安心したのか、落ち着いてきたようだった。


お読みいただきありがとうございました。

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