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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第III章 グレイズの三匹
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084 バザー 1

バザーの準備が始まりました。


 バザー当日の朝は早いわ。

 宿の人は私達の起床時間に合わせて朝食の用意をしてくれるわけじゃないから、前日の夜に自前の皿と普段の倍の注文を出して、料理を用意してもらい、それを私のガレージに保存して朝食としたわ。

 食事が終わったら支度して会場に移動よ。

 既に沢山の馬車が出ていて、馬車の手動ブレーキを掛けながら坂を下りて行くわ。ブレーキレバーの板でそれぞれの後輪を制御するんだけど、この作業はライルとアレンがしていたわね。坂を下りている間中の話だからかなりの重労働だと思うわ。

 そうした努力のおかげで無事にマーケットストリートまで降りること出来たの。


 もう設営を開始している所も有るわ。

 沢山の行商人がそれぞれの店舗スペースに商品を陳列し始めてるわね。スペースの活用状況は様々で、しっかりとした陳列台としてテーブルやカウンターを置く所もあれば、地べたに敷物を敷いて商品を陳列する所も有るわ。

 私達のスペースの有る東側の橋に到着したんだけれど、他はみんな設営作業をしているのに、どうもうちのスペースの手前二つはまだ来ていないようね。


 まずはみんなで馬車の中の荷物を下ろしたの。

 積荷は木箱の中に入っていて、それが全部で10箱程有るわ。

 中身は衣料品と装飾品を中心に、木製食器等も有るわね。いずれもこれまでのポプリ村の産品と違う工夫がなされているの。装飾の刻まれた木彫品は透し彫りを入れさせて紋様を立体的に見せているし、木彫のアクセサリー類も様々な物を用意させたわ。


 馬車から積み荷を出したらシャインに宿に馬車を戻してもらい、私達は設営よ。

 私はガレージから大きめのテントを二つ出して、それをみんなで組み立てたわ。テントは私達のスペース一つ分を覆える大きさの物だから、二つでしっかりとカバーされる感じ。白い布で張られた屋根は魔法で防水効果をもたせて有るから、雨が降ってもしっかりと雨を弾いてくれるわ。白い布だから割と陽の光が透けるので、覆われても仄かに明るい感じね。

 テントの次はガラスのショーケースと姿見をそれぞれ二つずつ、そして陳列用に用意してもらった木製のオブジェね。ショーケースはカウンターを兼ねていて、その中に高価な一品物の装飾品を陳列する感じ。木箱も展示台として村の紋様の入った布を敷いてそこに木製のオブジェを設置して、ネックレスやブレスレットなどの男性用木彫装飾品を置いてあるわ。

 荒々しい雰囲気の中にも美を感じられる様な彩色の施された木彫品にはビーズサイズの魔石が嵌められているから、冒険者が装着して利用した場合は自身に付与した魔法効果を持続させる補助が働く魔法効果付き。

 当然、そんな魔法効果付きだから安く出来ないので、これまでのポプリ村の商品価格の倍の値段で出しているわ。まぁ、とは言っても銅貨5枚程度だったのが銀貨一枚になった程度なんだけれどね。実際、補助効果もビーズサイズの魔石じゃ申し訳程度だし。

 女性用装飾品にも今回はそうした効果がある物があって、新しく用意したコサージュやシュシュやバレッタに男性用とお揃いのネックレスやブレスレットといった木彫アクセサリーにも魔石ビーズは使われているの。


 ショーケースに入る一品物も実のところは他の量産品と殆ど変わらないんだけれど、私が特別に錬金で加工を加えた物なのよ。まぁ、ビーズも私が用意したラズウルドの屑魔石を練り直して作った均一の大きさのビーズだけど、それらとは品質も違う物を使っているから、値段もシャインから聞いた宝石の値段と同じくらいかそれ以上の金貨五枚以上の値付けがされているわ。

 どんな違いかって言われたら、例えばデザインは同じでも塗装に金を使っていたり、魔石が高純度で魔法付与済みだったりかしら。透し彫りの鷲っぽい鳥の木彫には木の透かしの中に魔石を入れてあって、それをミスリル銀で出来た鎖で頭から下げるネックレスなんだけど、風魔法の付与で空気抵抗を減らして敏捷に動ける様になる補助効果付きよ。

 あと、誰でも買える魔除けとして聖属性の魔法付与のビーズを入れてある御守袋も量産したわ。一応村の刺繍が入っているから村の宣伝にもなるし、小さいただの袋だから量産し易い上に安く出しても利益が出せるから、これを今回の最安値の銅貨五枚で出すことにしたの。効果があるのに安くて御手頃だから目玉商品かしら。


 これらを用意し終わったらプライスカードとして木札に価格を書いたものを商品の前に分かりやすく置いたわ。プライスカードの大きさはちょっと大きめの消しゴムサイズかしら。まぁ、あまり自己主張せず、それでいて明示的に価格が示されるという感じ。

 この世界のお店ってプライスカードが無くて、店主に聞かないと分からない言い値なのよ。だから見ただけでは価格を知ることが出来ないからちょっと怖いのよね。そこで価格を表示する事にしてみたの。ディスカウントしないけれどこれ以上にもならないよって分かれば手に取り易いでしょう?

 レジ係はシャインとインディよ。

 事前に算数のお勉強をしたところ、シャインは商人見習いだから大丈夫だったけど、アレンもライルも算数が壊滅的でね。パトラッシュも計算の仕方は知らなかったけれど、勉強が苦手というわけじゃないから勉強中で、インディは年の功と言うべきか知っていたから、今回のメンバーではこの二人がカウンターで金額計算する事になったわ。二人置いたのは男性用品と女性用品で陳列を分けたから、店は両サイドにカウンターがある感じね。

 商品の在庫数は全てカウントしてあるから、売れた数をカウントして引いていけば商品数と売り上げは分かるんだけど、それを私一人で全てやるにはきついから、手分けしてやれる体制は整えたつもり。

 これで何人客が来ようと対応は出来るはず!……と思っていたんだけれど、開店時間近くなっても隣のスペースにお店がこない。うちがポツンと離れ小島になっているわ。

 そこにトコトコとハゲ散らかしたおじ様がうちの隣にやってきて、看板を置いていったわ。何かしらと思ってみたら「空きスペース」って書いてある。それをもう一つの区画にも置いてるわ。

 え、ちょっと、何それ!私達のところ本当に離れ小島になっちゃうじゃないの。

 私は慌てておじ様の所に走ったわ。



「ちょっと、ちょっとーーー!それどういう事!!」



 私の勢いに目が飛び出る程驚くおじ様。



「な、なんですか貴方は!?」

「だから、その看板!空きスペースって何!」

「あぁ、こちらは見ての通りですよ。こんな所に来ようという人もなかなか居ませんから、今回も埋まらなかったんです。ですので分かりやすく表示を……」

「そんな事されたら、ウチが離れ小島じゃないの。誰か飛び入りで良いから埋めるとか出来ないの?」

「そんな方がいれば、わざわざこんな物を置きに来たりしませんよ。第一もう直ぐ始まりますから、今から探しても見つかりそうにありませんよ」

「……借り手が居ないのよね」

「は、はい。そうです」

「なら、その場所二つ私が借りる!」

「「「「「えぇええええ!?」」」」」



 私の言葉におじ様は勿論、他のみんなも驚きの声を上げたわ。



「だって借り手が居ないんでしょう? なら私が借りちゃいけない事はないでしょう?」

「そ、そうですが、宜しいのですか?」

「良いから貸して!事後承諾と言う形になるけど、お金も払うんだから良いでしょう? シャイン、この方と一緒に事務局へ手続きに行って!」

「は、はい!」



 おじ様とシャインが事務局へ向かったわ。

 パトラッシュが私のもとに来て心配そうに話し掛けてきたわ。



「父さん、大丈夫なのか?」

「大丈夫。こんな事があっても良い様に奥の手を用意してあるから」

「奥の手……?」



 パトラッシュが首を傾げている。

 私はそれを見て微笑みながらガレージを出したわ。

バザー会場の設営を始めたキョーコ達ですが、陳列が終わったところで隣のスペースが埋まりませんでした。そして、本当に空きスペースとなっている事を知ったキョーコは、そのスペースを借りると宣言したのでした。


続きます。

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