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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第III章 グレイズの三匹
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083 散歩

二人で町を歩いています。

 ギルドを後にした私達は少し街を散歩することにしたわ。

 久々の街らしい街を歩いていると思うと、なんだかウキウキしてくるわね。



「父さん、あれは何なのだ? あの様に大きな川は見たことがないのだ!?」

「パトラッシュ、あれは海よ」

「海?」

「えぇ。川が流れ着く場所。それが海よ。海に帰った水はやがて雲となってまた山に降ってラズウルドとかに戻っていくのよ」

「そうだったのか~~~」



 目を輝かせて驚いている可愛いパトラッシュに、思わずほっこりしちゃう私。べたな話だと思ったりするものだけれど、小さな子を持つってこういう楽しみがあるのよね。


 坂を下りながら海を目指す私達。

 道は馬車が降りられるようにくねるように走るスロープの道と、まっすぐに伸びる階段の二つがあるの。徒歩なら階段を一直線に降りていけば下までは早いと思うけれど、これを上ると思ったら億劫な段数ね。スロープの馬車通りが踊り場的に何度か挟まれるから、踏み外して下までノンストップで落ちるということは無さそうだけれど。

 馬車通りに沿って緩やかに下りながら街並みが続いていて、白塗りの建物の壁が日の光を浴びて一層白く際立っているわ。

 青い空のもとに白壁の続く街並みに、しっかりと石畳で舗装された道には色のついた敷石が花火のような模様を描いていてカラフルよ。

 写真とかで見たモロッコとかニースだとかコートダジュールだとか、海の向こうにあるという都市の姿を思い浮かべる街並みだけれど、あれらはみんな実際に見たものじゃないから、インパクトではグレイズの方が圧倒的に上よね。しかも、歩いている人の中にはこれまで肌の色や髪の色が違うのは見たことがあったけれど、獣耳や尻尾を付けている人もいるのよ?

 流石にケモナーじゃなくても興奮すると思わない?



「父さん、視線が怪しいのである」

「なによ、珍しいものは気になるでしょう? あなたの海みたいに」

「ふむ、なるほど。分かる気がするが、何か腑に落ちないのである」

「気のせいよ、気のせい」



 道行く人を横目に見つつ私達はまずは階段ではなくスロープ状の坂を歩いたわ。山の手の一等地っぽくこの辺は立派なお宅が沢山ね。門構えも綺麗で大きな庭を持ったお宅や、テラス付きの住宅が見えるわ。

 こういうところは世界が違ってもやっぱりお金持ちとか裕福な人のエリアなのね。眺望も良いし、街並みも綺麗で歩いている人も品の良い人が多いかしら。私達みたいな冒険者風の格好の人もいるにはいるけれど、仕立ての良い真っ新な感じの服を着ている人が殆どかしら。高級住宅地エリアを堪能したところでパトラッシュが飽きたようで、微妙にちんたらと歩き始めたのよね。



「パトラッシュ、しっかり歩きなさいな」

「とーさん。つまらんのだぁ~」

「もう、そんなだらだらと歩いてないで、しっかり歩く」

「えぇ~~~」

「えーじゃないわよ。もう、仕方ないわねぇ。さぁ、手を繋いで」



 私が手を差し出すと、パトラッシュは笑顔で私の手を握ったわ。

 まったく、この子ったら本当に幼児化激しいんだから。

 ゆっくり歩いていることも出来そうもないと感じた私は、見物は後日にするとして、明日のバザー会場の下見に向かうことにしたわ。


 バザーは一番下から一つ手前のマーケット通り沿いに展開されていて、この階段を降りた先が大きな広場になっているんだけど、そこを東西に伸ばす様に大通りが続いていて商店が軒を連ねる中、道の中央に地方からやって来た旅商人達の仮設売店が設営されるわ。


 バザーは週に一度の闇の日に行われるのだけど、闇の日って私達の世界の感覚で言えば土曜日ね。一週間は火、水、土、風、光、闇、安息日って感じに流れていて、闇の日は光の安息日に挟まれることで力が抑えられているみたいな感覚だそうだわ。

 元々この世界の神話では、火、水、土、風、光、闇の6つの属性を司る魔物に苦しめられた過去があって、それらを手懐けて打ち倒した勇者を遣わした神を尊ぶ安息日として七日目が定められたという感じだそうなの。つまり、属性を司る日も魔物と関係していて、唯一七日目のみが平和の一日って感覚のようね。

 属性を司る日はそれぞれの属性に対する加護が強まるそうで、世の中には加護といった形で属性にまつわる何らかの力を生まれ持っている人がいるそうなんだけど、そういう人にとっては曜日次第で能力に増減が生じるってことになるわね。


 私みたいに全ての属性を扱う人は世の中には稀でしょうから、属性の加護というものがどういった形で働くのかはサッパリわからないのだけどね。


 闇の日にバザーが開かれるようになったのは、闇の日が生活習慣的に人出が少なくなりがちなことに注目して、闇の日のテコ入れ策として始められたのがきっかけだそうよ。宗教的な意味で闇の日に歩くのは縁起が良くないとされることもあって、人々は割と引きこもりがちになってしまうそうなんだけれど、こうして催し物を開催することで人通りを呼び込み、商店街の活性化と物流の活性化の両得を狙っているそうよ。


 バザーの会場は結構広いわね。

 中央の広場は馬車乗り場として使われるから、基本的には東西の通りの真ん中のみが私達の様な地方出身者の借りるところね。スペースは現代の私達で言えば、運動会の本部席テントみたいな感覚かしら。結構大きめのスペースが中央に二つ置ける様な感じなので、私達は今年は二つ借りる予定よ。二つ借りることで分断される通りの両方の客を相手に出来る感じね。

 いつもは一つだけ借りるそうなんだけれど、折角だから二つ借りてガッチリと儲けようと言う目論みよ。


 設営場所をみていたら、東側の通りの端にシャイン達が見えたの。

 私は手を振って呼んだわ。


「シャイン、もう手続きは終わったの?」

「キョウさん!? はい、終わりました!!!」

「じゃぁ、何をしているの?」

「借りた場所の確認です!」



 私達がシャインの元に行くと、シャイン達の場所は通りの一番最後だったわ。

 ……流石最安値に拘ったからだと思うけど、なかなかの難所をあてがわれたわね。

 とりあえず、私はその場所に浄化の魔法をスペース全体に掛けといわた。

 翌日荒らされてごみの山とかになっていたら嫌ですものね。


 まぁ、見てなさい。

 私は絶対に売り切って見せるわ。

 せっかく作ったんですもの。

 売るなら売り切らなきゃ!

ちょっとした観光気分で散歩した二人。

しかし、パトラッシュはすぐに飽きて駄々っ子モード。

仕方なく手を繋いだら上機嫌になりました。

港付近のマーケットストリートでシャイン達と合流しました。

明日のスペースを確認したキョーコは明日に備えます。

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