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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第III章 グレイズの三匹
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082 仮登録

ギルドでの話の続きです。

 階段を上がり二階に行くと、上ってすぐ右手に上へ行く階段があり、その向こうに廊下が伸びているわ。廊下は窓から日の光が入ってそこそこ明るいわね。手前から奥まで三つドアが有るけれど、下のマスターは奥の受付という話だったから、一番奥の部屋に入ったの。

 奥の部屋も窓から光が取り入れられているから思ったより明るいわね。

 中央に応接椅子があって、奥にカウンターと更に奥に続くドアが見えるわ。

 カウンター後ろに見える壁には、たぶんギルドの紋章なのだと思うけど、葉っぱの絵が描かれたレリーフが飾られているわ。この距離でこの大きさだもの、よくある壁掛け時計の四倍くらいの大きさは有るんじゃないかしら。

 カウンターの方に近付くとベルが置かれていたから、それをチリチリと鳴らしたの。そうしたら程なく係りの人らしき女性が入ってきたわね。

 その方は赤い髪の水商売風の雰囲気のある女性で、年齢で言えば40代くらいいってそうな感じ。黒い衣装に身を包み、金のネックレスとかブレスレットを付けているわね。でも、それらのアクセサリーからは何か魔力が滲み出ているようよ。たぶん、こんな装備をしているんですもの、この人も冒険者とかなのでしょう。



「ようこそ冒険者ギルドへ。こちらでは登録を承っています。登録されるのはそちらの坊やですか?」

「いえ、二人ともです」

「え、貴方はお持ちではないの?」

「はい」

「分かりました。どうぞ、そちらにお掛け下さい」



 彼女はそう告げるとカウンターから必要な道具を一式持って、私達を応接椅子の方へ促したわ。彼女はテーブルの上にそれら一式を置くと、自己紹介を始めたの。



「私はグレイズ冒険者ギルドで事務局員をしております、ジルケ・ブーアメスターと申します。ギルドへの登録は簡単な手続きで完了できますので、楽になさって聴いて下さい」



 彼女の説明では、登録料として銀貨5枚を支払うと紙を差し出してきたの。そちらにはギルド登録に関するルールの記載が有って、彼女はその条項を一つ一つ丁寧に説明すると、最後に署名欄のところを示して彼女が持ってきたペンでサインする様に言われたわ。

 私がまず自分の名前をこの世界の言葉に訳して本名の渡海聖トカイキヨシからキョウ・トカイと書いたの。サインが終わると私の名前のサインが蒼白く光り出してその光が紙全体を光らせたかと思うと、理科の実験でやった水素爆発のポンって音がして白い煙が出たのよ。

 煙が散った後に出てきたのは一枚の透明なカード。

 免許証サイズくらいかしら?

 割と馴染みのある大きさよ。

 彼女がそれを持つように促すからそれに触れると、カードにうっすら描かれた葉っぱが緑色に変わったわ。そして、カードの縁が赤く縁どりされたの。

 その変化を見た瞬間、ジルケさんの目が明らかに大きく見開いていたわね。

 まぁ、普通の人よりは力が強いって出ちゃってるんでしょう。



「……あの、一つお尋ねしますが、トカイ様は初めてのご登録なのですよね?」

「えぇ」

「その、以前に登録されたことがあり、今回は紛失したための再登録をご希望……ということではございませんか?」

「いいえ。私が登録するのはこちらでするのが初めてです」

「左様ですか。では、引き続き坊ちゃんの方に移らせていただきますね。書面の説明は同じですので、こちらにご本人による署名をお願いします。もしお書きになれない場合は、お父様が手を添えて……あの、失礼ですが、親子でお間違いございませんよね?」



 あら、今更それ聞いちゃう?

 微妙に焦っている様な落ち着かない雰囲気の彼女。

 自分でハッとして気付いて他人だったら失礼かしらとか思ったのかしら。

 見た目的にはパトラッシュくらいの子が居てもおかしくないと思うのだけど、彼女には気持ちもう少し若く見えているってことなのかも。

 あらやだ、嬉しい。



「はい、親子で間違いありません」



 彼女は私の答えにホッとした様子だったわね。

 パトラッシュは自分で文字も書けるから自分でサインさせたわ。

 パトラッシュ・トカイって書きなさいって教えたら、その通りに書いてくれたの。

 そうしたらちゃんと発光してカードに変化したわよ。

 パトラッシュがそれに触れると、葉っぱが黄色に変色して黒い縁取りが入ったわ。

 彼女はそれにも驚いた様子で見ていたわね。



「……あの、お子様も他での登録は……?」

「はい、有りませんよ」



 私が笑顔で答えると、ですよね~っと苦笑いしつつ次の説明に入ったわ。

 このカードは仮登録証で、一か月以内に何らかの任務をこなさないと本登録にならないってことと、課題となる任務は私の場合赤なので赤クラスの任務一つか、黒クラスの任務三つをこなすことが必要だそうなんだけれど、仮に依頼が赤黒いずれのランクも必要数が期間中に無かった場合は、その時点である最高ランクをクリアしていることを元に本登録としてくれるそうなの。

 依頼については一階の階段の反対側の壁に色々と張り紙がされているそうで、そこにカードの縁どりの色に対応したギルドロゴの葉っぱのスタンプが押されているから、それを参考に依頼を受けて欲しいと言われたわ。

 とりあえず一階で依頼を見て、受けたいものがあればマスターに言えば良い様ね。

 依頼の紙には依頼番号が振られているそうなので、赤の何番って感じに話せば依頼について条件とかを説明して登録事務を請け負ってくれるらしいの。

 まぁ、依頼をこなしてここに戻って報告すれば初回はオッケーってことね。


 私達は彼女に丁寧にお礼を告げて部屋を後にしたわ。そして、下に降りてみたらちょっと空気が変わっていたの。

 どう変わったって?

 それはなんというか、よそよそしいというか、しんと静まり返っているというか……まぁ、普通にドン引きされたままって感じかしら。変な奴が寄ってくるよりは良いと思うわ。

 私達が依頼の紙が掲示されている方に向かうと、これまた十戒で海を割ったような勢いで道が開かれたのよ。……ここまであからさまだと私も苦笑したわ。


 依頼の紙はA4サイズくらいの羊皮紙にインクで色々と書き込まれていて、説明にあった通り色のついたスタンプが押されているわね。

 私の赤はどこだ~って探して見てみたけれど、左から右の端まで見ても見当たらなかったわ。あらら、赤依頼は無いのね。では黒黒黒~って感じで見ていたら、右の端に黒いスタンプの依頼が一つ出ていたわ。

 うーん、一気に三つこなして本登録と行きたかったけれど、これは一か月間ギリギリまで分からないっぽいわねぇ。思っていたより面倒だわぁ。

 まぁ、この依頼一つでもクリアすれば、パトラッシュの方は本登録確定かしら。

 あ、依頼を終える前にインディも連れてこないといけないのよね。

 全く手間だわ。


 依頼の内容については地下水道で発生した魔物の退治についてで、神出鬼没の魔物が地下水道に最近発生しており、整備関係者が多数殺害される被害が発生していて、それを討伐するために第一陣として茶色クラスの冒険者グループが対応したけど全滅。

 第二陣とし茶色より上の青クラスの冒険者グループが向かうも全滅。

 黒クラスの冒険者グループが現在グレイズに不在のため対応に苦慮とあるわね。

 報酬は金貨20枚で依頼主は冒険者ギルドグレイズ支部となっていたわ。

 依頼番号は黒の4番ね。


 それにしても、黒の冒険者って居ないのかしら。

 もし黒クラスの魔物が多数やってきたらグレイズはどうなっちゃうのかしら?

 こんな地下水道の魔物ですら退治できないのに、ここにそれ以上の魔物とかが現れたりしたら……何か他に奥の手でもあるのかしらねぇ。



「マスター、黒の4番の依頼を受けたいんだけれど」

「く、黒の4番!? あー、はい。わ、分かりました。カードのご提示をお願いします」



 私とパトラッシュがカードを見せると、マスターは目が飛び出るんじゃないかという勢いでがん見していたわ。そして、カードをしかと受け取ると奥に置いてある水晶玉に黒の4番と唱えてそれを当てたの。そうしたらカードが触れた瞬間に水晶玉が一瞬光ったのよ。それが終わったらカードを持って戻ってきたわ。



「これで依頼は登録されました。成功時は二階の報酬窓口で申告し、討伐の証明となる物証をご提示になれば報酬が得られます。一か月以内に討伐が出来なかった場合や討伐に失敗した場合でも、何らかの情報を得られた場合は報酬を得ることが出来ることもあります。では、ご武運を」

「はい、有難うございます」



 私はにこにこ笑顔でカードを受け取ってカウンターを離れたわ。

 振り返って周囲の冒険者達の様子を見たら、なんだか更に引いている様な印象なんだけれど、どうしちゃったの?


 ……まぁ、ここの人達は最初からこんな感じよね。

 考えても仕方ないか。


 私達は冒険者ギルドを後にしたわ。

ギルドでの登録を済ませた二人。

仮登録とはいえ赤と黒の二人にギルドに居る人々は驚いています。

ランクの説明が有っても実際の数値的な違いがわからないキョーコは実感が有りません。

勿論、チンピラを退けるくらいの力を持っていることは自覚しているのですが。


ギルドの仮登録を終えた二人は街を歩くことにしました。

次はお散歩です。

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