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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第III章 グレイズの三匹
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078 会議 前編

引き続きガリ視点です。



 会場は東方商業組合ビルの最上階。このビルはこの世界では珍しい五階建てで、一階が入会受付等各種窓口で、二階が商談用小会議室、三階が催事会場で、四階がオフィス、五階が今回の会場って訳。

 東方商業組合と言っても一つに纏まっているって訳でもなくて、全部で四つの大商会グループが小さな商店を取り纏めていて、クンルーさんのクーロン商会の他に、イディ・カーンのカーン商会、アイリン・ローランのローラン商会、サイゾー・オームラのオームラ商会があって、組合長であったサイゾー・オームラの急死により、急遽緊急招集という事になったと。


 クンルーさんはたまたまグレイズに向かっていたからこの会合に間に合ったけれど、もし向かっていなかったら参加は出来なかったそうで、次期組合長選出の選挙に関われない状況となった場合、グレイズでの立場はとても劣勢に立たされる事になったかもしれないそう。

 今回急死したオームラ商会は、ナンバー2となる後継者が本国にいるために参加出来ない状況にあり、これまで西と東を両輪として稼いで来たオームラ商会の退潮傾向は決定的な話となる。

 

 それにしてもオームラ商会って名前、日本人っぽい姓だけど、それっぽい国があるのかしら。だとしたら最悪戻れなかったら東方に向かえば懐かしい文化に出会えるってことじゃないかしら?

 あらやだ、ちょっと気になるじゃない。

 

 あたし達が入った時には既に他の商会の代表が来ていたわ。

 円卓には5つの席が有って、あたし達の席は入り口入って対面側で、左隣にはインドっぽいターバンを巻いた色黒で飴色の瞳に青い髭を生やしたイディ・カーンが座り、彼の後ろにはグレイズの冒険者ギルドではナンバー3と言われる青ランクのカシム・ハザールって男。

 この子は浅黒い肌に青め茶髪の結構なイケメンなんだけど、殆ど姿を見せないし、現れても寡黙で人付き合いが好きなタイプじゃないらしいから謎の子ね。


 右隣はアイリン・ローランね。この会合で唯一の女性で、年齢的には30代に入ったくらいじゃないかしら。切れ長な目に黒い瞳と艶々な黒髪を長く伸ばしてリボンで束ねているわね。そのリボンも黒いから随分と引き締まった印象よ。

 その後ろに立つのはギルドでナンバー4と言われるパイ・ロンって男。辮髪に半裸の厳ついおっさん。辮髪がピンクなのがとっても目立つけど、彼の雰囲気からしたら違和感ない辺り、色々な意味で怖いおっさんよ。

 なんでこんなおっさんを連れているのかと思うけれど、これくらい厳つくないと魔除けにならないってことかしら。


 で、ローランの隣はオームラ商会の代理人。

 ヨウ・カトーっていう見た感じ高校生くらいの年齢の男の子。

 あどけない顔でこの場には場違いって印象だけれど、代表を送らないわけにもいかず仕方なく出てくる立場になったのがこの子って感じかしら。その後ろには誰も立ってない辺り、彼を殺しても誰も得をしないということを象徴しているかのような話ね。

 そして、その彼の隣でイディの隣でもある席に座るのがキンバリー・ドーンズっていうギルドの現ナンバー2よ。橙色の髪はハリネズミの様に尖っていて、それを後ろに流す様にしているわ。肌は色白で瞳は金、髪型からすると随分理知的な顔付きをしているのが印象的かしら。

 彼は本来オームラ商会のカトー君の後ろに控えるべき立場の筈だけれど、どういうことかしら?

 私が椅子を引いてクンルーさんを座らせると、開かれていたドアが使用人によって閉められたわ。部屋の隅で控えていた給仕の使用人達が出席者のもとにお茶を入れたカップを置いていく。お茶出しが終わると彼らも静かに外に出て行ったわ。



「では、グレイズ商業ギルド東方商業組合代表役員会議を執り行う」



 クンルーさんの声で開催となったわ。

 この場ではクンルーさんが一番在籍年数が長い役員だから、規約上の議事進行役はクンルーさんというわけ。ただ、今回の会議は組合長急逝による臨時役員会となるので、前組合長が本来の議長役となることから、オームラ商会側の人間が議事進行を行う形ね。

 その進行役はどうやらあの高校生くらいの坊ちゃんではなくて、キンバリーの様ね。

 彼が立ち上がって一礼して話し始めたわ。



「この度はお忙しい中、我が商会代表の急逝に伴う臨時会への参加を心より感謝いたします。我が商会の代表オームラが当社のものに殺害されるという失態をお見せすることとなったのは、護衛として有るまじき事態と反省するところでありますが、下手人についての心当たりは付いております故、現在捜索中であります」


 彼はそう話すと一礼して着席した。

 彼が着席したのを見ると、イディが挙手したわ。

 キンバリーはイディの方を見て頷き「どうぞ、イディさん」と発言を許可した。

 イディは咳ばらいをすると、勿体ぶる様に話し始めたわ。



「確か、わしの記憶が正しければ、あれは3年程前の話か。オームラ殿の護衛としてついていたガストンが暗殺を企てたとして、其の方とグウェインが捜索していたな。結局見つからなかった様だが、今回の仕業も奴の仕業か?」

「いいえ。ガストンの仕業ではありません。今回は前回私と共に捜索に参加したグウェインが犯行を行ったものと思われます」



 その言葉にアイリンが目を見開いて驚く。そして、挙手した。

 キンバリーは頷いて彼女の発言を許可したわ。



「あの生真面目なグウェインが何故その様な犯行を行ったというのだ。何かの間違いであろう」

「いいえ、現場には私も同席していました。彼は私の見ている前でオームラ会頭を殺害し逃走したのです」

「……そんな、馬鹿な」

「おー、おー、姉ちゃん。そんなにグウェインのことがお気に入りなのかい」


 イディがいやらしそうな目つきで彼女を囃し立てているわね。

 こういう小物はあたし嫌い。

 アイリンもイディの方を鋭く睨んだわ。

 そうしたらイディの方が視線を逸らしたのよ? 小物よねぇ。

 そこにキンバリーが間に入る様に発言したわ。



「アイリンさんの信じられない気持ちは無理もありません。実際私も目を疑った程です。しかし、奴は私の前から逃亡しました。彼がここにいないこと……それが事実です」

「くっ………」



 アイリンさんはキンバリーの発言にも納得していない様子で悔しそうね。

 彼女には状況を伺う何か根拠があるのかしら。

 キンバリーの言う通りだとすれば、確かにこの場にグウェインが居ないという事実だけを見ても状況証拠としては分からないでもない。でも、グウェインという人だと言う特定をするには無理があると思う。

 だって、その場にその人が居たという証人が彼以外に居ないんでしょう? それに、仮に誰かが居たとしても、グウェインという人が居たとは限らないじゃない。


 私はそっとその疑問をクンルーさんに告げたわ。

 クンルーさんは視線は逸らさずに聞き終えると挙手して発言を求める。

 

「キンバリー、君に問う。そのグウェインは本当にグウェインだったのだろうか? つまり、その日君以外に彼が居たという証拠が有っての話なのかね?」


 キンバリーはその話に頷いたわ。

 そして一呼吸おいてから、彼の手元に置いてある大きなファイルみたいな本を手に取って私達に見せたわ。



「これは傭兵団の勤務記録です。当日の側近リストがこちらの極秘扱いの資料集に挟められています。どうぞご覧ください」



 そう話してキンバリーは隣のアイリンのもとに立ってその本を持っていくと、該当の部分を開いて見せた。彼女はその記載情報を見て静かに目を閉じて頷いた。



「……確かに」



 彼女は諦めた様にその記載情報を見終えると沈黙した。

 キンバリーは順に席を回って勤務記録を見せていく。

 確かに彼の言う通りにその日の護衛にはグウェインの名前が記載されていた。

 勤務記録を見せ終わると、彼はドアの方に向かい使用人に何か合図をする。そして、部屋の外に一瞬出た彼は、その手に一振りの剣を持っていた。



「「「「!?」」」」



 彼が剣を持って来たことで周囲に緊張が走る。

 あたしも剣の柄に手を触れていたわ。

会議が始まりました。

議題は組合長殺害事件に関する話。

下手人がグウェインという話で纏まり掛けたところで、キンバリーが武器を出してきました。

周囲に緊張が走ります。


続きます。



※本日は投下が遅くなり申し訳ありません。

 色々と忙しくしておりまして、夕方まで時間が取れませんでした。

 今後しばらくはこんな感じに不安定な投下が続くと思います。

 ……とか言っていたら、正常に投下出来たりすることも。

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