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006 大は小を兼ねる?

怒涛の同日二話目投下です。

 気を取り直して、私も錬金術練習を再び開始したわよ。

 傷薬の作成は簡単なもので、両手に違う種類ではなく、両方にクレディルとフォルボーを置いた場合でも上手く行ったので、材料の個数が揃っていれば上手く行くっぽい。

 あと、作成するときに顆粒状とか念じながらやると、デフォルトの軟膏状じゃない形でも出来るっぽいの。液状にも出来たからイメージ次第で完成形に変化が生じる様ね。

 薬の作り方が分かった所で、私は試しに物を作れないか試してみたの。

 地面を掘って土をこんもり盛って、その上に手をかざして陶器になれとやってみたら、イメージした白い梅皿が出来上がったのよ。なんで梅皿とか思われるかもしれないけれど、私の中のとっさに浮かんだ皿がそれだったの。伊達に昔絵を描いていたわけじゃないわ!

 で、梅皿に先程作っていた傷薬の軟膏乗せておいたわ。

 これでちょっとは使いやすくなるでしょう?

 その後は、石から石器を作れば少しは良い感じになるんではないかと思い、石から包丁を作るイメージでやってみたら、形はほぼそのものだけど石という謎の物ができたわ。

 そんな時に唐突に来たの。



 スキルレベルが上がりました。

 錬金術 1 → 2

 錬金術の心得を解放しました。



 心得よ? 心得。

 何が違うというのかしら。

 とりあえず、石から先程同様に包丁を作るイメージでやってみたの。

 そうしたら石製のものではなくて、金属質の刃の付いた包丁が出来上がったのよ。

 思わず鑑定してみたわ。



 鑑定結果

 「包丁」 鉄、ニッケル、錫を含んだ包丁。



 なんか金属入ってるわ。

 いや、金属入っただけじゃないのよ。周囲にあった岩がごっそり光って消えたのよ。

 あ、ただ、その代わりにやたら大量に砂が周囲に出来たんだけど。

 え、何を言っているのか分からないって?


 そうよ。

 私も訳が分からないのよ。



「ねぇ、二人とも、私包丁を作ったのよ!作業に便利だからあげるわ!」



 私は二人を呼んで、作った石の包丁をケリーに、鉄の包丁をガリに渡したわ。

 二人はしげしげと見つめると、ケリーがしゃがんで草を唐突に刈ったの。

 それはもう気持ち良いくらいに綺麗にすっぱり切れたのを見て、私も我ながら驚いたわ。

 それを見たガリも鉄の包丁を使ってちょっと太い茎の草を刈ったの。

 それも切れ味抜群で、引っかかる感じもなく綺麗な切れ味よ。

 こんな素晴らしい切れ味なのに、2本でタダよ!

 今ならもう一本ついて来るとか、金利手数料は断腸の思いで無料とか無いけれど、お得感は半端なくないかしら?



「これは凄いわね。でも、これが出来るなら、武器とかも作れないかしら。例えば剣とかあれば、枝よりは良いはずでしょう?」

「あら、そうね。でもね、さっき包丁を作った時に分かったんだけど、包丁作るのにこの辺に持ってきた石が全部消えちゃったのよ。つまり、包丁を作るのにそれだけの物質を消費したってことでしょう? その代わりと言ってはなんだけど、砂は沢山あるんだけど」

「それって~、石の中の鉄分とか必要な素材以外は砂として残ったんだと思うよ~」



 ケリーの言葉に確かにそう言われてみればそうかも。

 私なんかどうやってこの大量の砂を利用しようかと砂場をイメージしていたけど、そもそも砂場を作るために包丁を作ったわけじゃないものね。

 でも、どうせ考えたんなら、有効活用法を優先しようかしら。



「ねぇ、この砂を利用して何か作れないかしら」

「砂? ……そうねぇ、この量じゃあまり作れないでしょうけど、レンガとか考えてみたらどうかしら」

「レンガねぇ。レンガ作るなら鍋とかを先の方が良いと思わない?」

「あぁ、それ良いよ~。私それ作って欲しいなぁ~」



 というわけで、ケリーの案を採用。

 あらやだ、なんだかケリーに誘導されっぱなしだわ。

 でも、この子はやたらに頭は回る子なのよね。

 元々頭いい子だし。


 私は歩いて近場にある大きな岩に向かったわ。

 これ、たぶん氷河で押されて残された岩だと思うんだけど、すんごくデカいの。

 高さは私の背丈よりちょっと上くらいだから2メートルくらいはありそうね。横幅も同じくらいあるかしら。奥行は1メートル半くらいかしらね。

 私はそいつに両手をついて、剣を思い浮かべることにしたわ。

 ガリ専用の剣だけど、どうしようかなぁ。折角だから専用ってことで、ガリにしか鞘から抜けない主を選ぶ剣とか格好良いかも。あ、私も抜けないとつまんないから、私も抜ける許可有りで。んでもって、宝石とか付いてたり、剣が透き通る様に綺麗な感じかしら。まぁ、折角だからちょっと格好いいイメージで頑張ってみたんだけど、それがまずかったのかしらねぇ。

 手をついてやり始めた瞬間からごっそりと私の中から何かが大量に吸い取られていくように感じたの。それでも踏ん張って頑張ったわよ。


 男は度胸、男は根性、男は我慢よ!


 額から脂汗が流れる様な感じがして気持ち悪いったらありゃしないけれど、こんな途中でやめるわけにいかないじゃない。岩もほんのり光っているのは見えているの。たぶん効果が出ていることは間違いないんだけど、デカ過ぎたかしら。


 いえいえ、大は小を兼ねるっていうでしょう?

 大きくて困ることは無いわよ。

 え? 

 大き過ぎるのは痛いって?

 何が?

 どこが?



「どこがっていうのょおおおおおお!!!!」



 その瞬間、カッと光ったの。

 青白い閃光が走ったと思った瞬間、私は思わず目を閉じちゃったわ。

 そうしたら、どさどさという音がしたのよ。

 目を開けたら大量の砂の山が前に出来ていて、その上に目的の物が刺さっていたわ。

 それは銀色に輝いていて、青い宝石が嵌った剣よ。

 今回は鞘もイメージしていたから、綺麗な装飾が施された鞘も完成していたの。

 同時に目前にウィンドウが開いたわ。



 スキルレベルが上がりました。

 錬金術 2 → 3

 錬金術の物質還元を獲得しました。


 スキルレベルが上がりました。

 錬金術 3 → 4

 錬金術の基礎を修了しました。


 スキルレベルが上がりました。

 錬金術 4 → 5

 錬金術の応用知識を解放しました。


 スキルレベルが上がりました。

 錬金術 5 → 6

 希少物質変換を獲得しました。


 スキルレベルが上がりました。

 錬金術 6 → 7

 錬金術の魔法物質合成を獲得しました。



 ……一気に5レベルも上がっちゃった。

 同時に私はその場にへたり込んで、そのままバタンと突っ伏したわ。



 きゅうぅぅ。

何事も大は小を兼ねるんです。……え、何の話?


キョーコさんは頑張り屋さんなんです。

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