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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第Ⅱ章 人里に出た三匹
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060 商人キョウ

とりあえず、割と平和な日常(?)です。

 それから数日は農作業をして、ご近所付き合いもしながら村人達との交流を進めたわ。

 農園については結界のお陰で魔物も荒らせないし、悪意を持って近付く人間が居たとしても入れないから順調よ。


 水の他に癒しの魔法を応用した成長促進魔法も試してみたから、育ちは村周囲の物より良いわね。

 農業に魔法を活用するという考え方が有るのかわからないけれど、この世界でならば出来るわけだし、使わない手は無いと思うのよね。問題は魔法使いがどの程度いるのかという話になってくるのだけれど、そもそも普通の村人は魔法を使えるようになるのかは検証してみないと分からないことよね。


 インディが教えてくれた人間に関する知識がどの程度正確かは分からないけれど、人間が使う魔法は四属性に縛られているという話だし、その中で一つまたは二つ程度をマスターしている程度ということだから、私が称号に魔人と付いたのも納得かもしれないのよ。


 あ、ちなみに現在の私の称号は「魔人のおネエ」よ。

 ……もう、駆け出しとは言わせない。

 って、誰もそこに突っ込んではくれなさそうだけれど。


 インディとパトラッシュはルード君と仲良く遊ぶ姿が見られるようになったわ。でも、インディの話では村の子供達は示し合わせた様にルード君の家と関わろうとはしないそうなの。

 これは私も村人との付き合いの中で感じていたから、気のせいではなさそうね。

 問題はその音頭を誰がとっているかって話だけれど、まぁ、想像はついているかしら。


 村で生活している中で色々と気付いたこともあるわ。


 彼女の家に暮らし始めて気付いたのだけれど、どうも何らかの邪魔法が彼女の家に向けて放たれている様ね。

 それはとても微弱なものなのだけれど、長く受けていたら影響も出るかもしれないかしら。

 対象はたぶんお兄さんへ向けてだと思うけれど、彼は私の薬で元気に回復したし、服にも聖魔法の付与があるから影響は無いわね。

 試しに魔法を遮断するように聖魔法を付与した壁を内側に施してみたら、それ以来ピタリと止まったわね。効果が無いと反応を返したと考えれば、相手も何らかのアクションをこの次に起こしてきてもおかしくないかしら。

 一応備えてはいるけれど、過剰に対応しても仕方ないから様子見よ。


 私は水神祭に関する調査も進めたわ。


 水神祭が十年に一度になって百年近い時間が経過しているわけだけど、その間に対象となった村人の身元を詳しく確認していったら、どういうわけか行商人や新参の村人が対象になっているのよね。特に行商人の選定率は百パーセントって異常よ?

 行商人が魔物に襲われて、そのお宅が行商を生業としなくなり、そのお宅の人間が水神の生贄に選定される。そして、彼らが断絶したりすると新しい行商人が村へ定住して行商を請け負う。その請け負った行商人も魔物に襲われて廃業し、その家から水神への生贄が選ばれる。


 ……いくらなんでも、これがずっと続いているっておかしくないかしら?


 本来は「この村の人間」が対象と考えるべきところが、実際に生贄となっているのは新参の村人ばかり。これじゃあべこべというか、理不尽よね。まぁ、この村の村人であるという条件が設定されていたとしても、グレーとはいえ黒ではないけど。


 これを意図して行っているとして、どうやってそんなことが出来る人間がいるのかってところかしら。

 先程の邪属性魔法の件を考えても、魔法使いが係わっていることは間違いない。でも、村人を調べた限りは強力って言えるほどのステータスの住人はいない。魔法が使える住人もいるけれど、四属性のうちの限られた一つの属性のみを使用している感じで、私みたいに使っている気配はないし、そもそも邪属性の魔法を使える人間は皆無のはず。


 邪属性って人間が使えるものと思われてないじゃない。

 ……私は使ってるけれど、私を人間じゃないとカウントするなら、おネエは魔物だとでも言うのかしら?


 え、実際、お前魔人だろって?

 ……称号が勝手に言っているだけなんだからね!

 ぷんぷん。


 それにしても、注目しないと気が付かない様な生贄対象にも規則性があるって辺り、この村が抱える闇は深そうね。


 あ、そうそう、先日村長さんに住民として登録してもらってきたわ。

 税金や土地代も前払いして。ついでにジェシーちゃん達の後見人にもなったから、私が彼らの保護者という地位に就いた感じ。流石にお金も持参している以上、村長さんも拒否することは無かったわね。

 お金は村長さん宅にあった硬貨を参考に錬金して用意したわ。

 思ったよりは淡々とした感じで対応していたから、拒絶しているわけではない様ね。

 まさか、私達を次の生贄対象としてロックオンしたのかしら?

 有り得るだけに笑っちゃうわ。


 土地については、ジェシーちゃんのお宅の借賃と周辺の土地の分を支払ったの。

 驚いたことに、ジェシーちゃんの家はジェシーちゃんのものじゃなかったのよ。


 え、お前は何を言っているんだって?

 私も気付いた時には訳が分からなかったわよ。


 持ち主は村長さんで、抵当に入れて生活費を貰う、いわばリバースモーゲージみたいな条件になっていたの。


 流石に面食らったわ。


 だって、つまりジェシーちゃんが亡くなったら、家ごと無くなるって寸法でしょう?

 残された兄弟は仮に高額の弔慰金を貰っても、家を買い戻すために使わないと暮らせないのよ。

 ……これは本気でこの一家を村から排除する気満々だと思わない?

 

 家を買い取ってからは堂々と壁塗りをしたわ。いつまでもあばら家風の中だけまともも嫌だし。

 川で集めた大量の石灰をリヤカーに乗せて運んで、村はずれの私達の家に持っていく姿を見せて、これ見よがしに作業してやったの。漆喰の様に壁塗りをしたことで、木のあばら家がすっかり様変わり。

 これには近所の住民も興味を持ったようで、私が作り方を教えて、石灰を格安で販売したらいい感じに売れたから一商売だったわね。

 その際に石灰を収穫後に撒くと畑の疲れを癒すと教えてみたら、みんな興味を持ったみたい。


 敷地の境界を森で木を伐りだして柵で覆うことにしたの。

 お兄ちゃんに斧を持たせたら、張りきって切ってくれたわ。

 それを製材して、魔法で乾燥させて、どんどこと目新しい木の壁を作ったら、なかなか良い感じに仕上がったわ。


 完成祝いに激マズスープのレシピに、その辺に生えているハーブを混ぜたまだ食べられるスープをご近所に振る舞ったら、そこらのハーブでこんなに美味しくなるのかと驚いていたわね。

 で、実践した人が美味しくなったと喜んでいたかと思ったら、ハーブがあっという間に刈り尽されたのは笑うところかしら。

 うーん、情報の出し方はもう少し頭を捻る必要があるわね。

 

 商人としての宣伝もしたわよ。


 薬を売っているということが真実であると伝わる様に活動する機会をうかがっていたら、近所の老人が転んだ際に骨折したのよね。それで歩けなくなって困っているという話を聞いたから、うちの薬を使ったの。結果的に治るわよね? で、私の売る薬は本物だとお婆ちゃんを通して宣伝してもらったと。


 そうしたらうちも欲しいという人が現れるわよね?


 その時に現在は量を持ち合わせていないけれど、今年の収穫を迎えれば用意できるようになるから待って欲しいって説明して、私達の作っている農園事業について宣伝するの。そうすれば、私達が何を仕事として暮らしていこうとしているのか伝わるし、納得してもらえるでしょう?


 商売は信用が大事だから、損して得取れ感覚で先行投資が必要なものだけれど、私の場合は元手がタダ同然だから、その辺は素直にチートだと認めるわ。でも、同じものが有ったとしても、私のような考え方が出来なければ同じ結果になるとは限らないでしょう?

 この世界に私の考えと同じものが有るかどうかは分からないけれど、手応えは感じているわ。


 その後も水神関係の調査はしていったわよ。

 調査を進めていくうちに、村長が怪しいということまでは突き止めていたけれど、どうしてそうなっているのかという部分は謎のままだったの。でも、何度か村長宅に忍び込んで村長を監視している時に、彼が唐突に人払いをすると机を動かしたの。何かしらと思ってみていたら、机の下に四角い切欠きがあって、彼はそれを持ち上げて横に置いたの。その下には人が一人入れる程度の大きさの穴があって、梯子が付いていたわ。


 彼が入って行ったから、私もこっそりついて行ったのよ。

 そうしたら、まさかあんなところにねぇ。

 その日は確認にとどめて、後日改めて調査してようやく全貌が分かったわ。


 そして、そんな日々が過ぎ去り村の畑の全ての作付が終わる頃、遂にその時が来たわ。

 水神祭の日が。

商人という存在として印象付けるために活動するキョーコ。

損して得取れの精神で頑張りました。


そして、遂に水神祭の日がやってこようとしています。

次は水神祭のお話です。


※本日の投下時間はいつもより大幅に遅くなりました。

 待っていて下さった方には申し訳ありません。

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