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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第Ⅱ章 人里に出た三匹
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058 村長への挨拶 前編

キョーコさん視点です。

 私達は野良仕事に出ると言って家を出たわ。

 村を出た辺りで人気が無くなったのを確認して、トランスルーを唱えて透明人間になったの。

 この魔法は二人ともしっかり覚えてるの。

 どうやら幻獣となった彼らは光の属性に適性があるようで、元々覚えていた闇魔法より扱いやすいとインディは話していたわ。

 トランスルーを使うと完全に透明になってしまう関係で、本来ならばお互いを見付けることが出来なくなるはずなんだけれど、私達には特別な繋がりを感じることが出来るので、お互いの気配を感じ取ることが出来るのよ。


 これは紋章の予想外の効能ね。


 意思疎通も元々パトラッシュとは思念で話していた様なのよ。

 まぁ、考えてみれば犬口でしゃべるなんて難しそうだものね。


 思念には指向性があって、意思疎通したい相手とのみ通じ合える様で、パトラッシュはこれまでは私達三人とチャンネルを合わせていたみたいな感じね。現在はそれを『紋章を持つ者同士』という括りで会話をしている感じかしら。

 パトラッシュが使える能力はインディも使えるし、勿論私にも共有される様で、いわば『念話』というスキルが働いている様ね。このスキルは元々はインディの持つ能力で、全てのダークウルフに遠隔で命令を与えたりするのに使っていて、これには『支配』のスキルが関係していたそうで、支配が機能しない念話には命令機能が備わらない様ね。


 この念話能力のおかげで私達は無言で内緒話が出来るわけだけれど、遠隔的に言葉を伝えられる範囲はホストの魔力に依存するらしくて、以前ホストだったインディはラズウルドエリア全域に伝えられた様だけれど、アレはインディの元々の能力にラズウルド地域の魔素の高さも影響していたそうだから、現在ホストとなった私が魔素アシスト無しに伝えられる範囲は限られる可能性が高そうね。

 とはいえ、少なくとも半径一キロも飛べば十分だとは思うけれど。


 私達はトランスルーを使いながらスキル共有の効果を確認した後、二人には畑の水やりを任せたり、周辺の採草をお願いしたりしたわ。もう少ししたらお昼時だから、昼食の材料にも使えそうなハーブとかを取って来る様に言ったら、パトラッシュが喜んで請け負っていたわね。


 インディの方は水源の洞窟の方へ行って、自分で色々と確かめたいことが有ると言っていたから自由にさせたわ。彼には今後の動きでも色々と動いてもらうことにもなりそうだから、彼なりに把握できるものを把握しておいてもらえれば、こちらとしても助かるから。

 個々で色々と作業をこなしていたら、あっと言う間に時間が過ぎたわ。

 私達は一緒に村に戻ると、帰りにラインさんとも合流したので、一緒に帰宅したの。



「ただいま戻りました」



 ジェシーちゃんが笑顔でお帰りと返してくれたわ。

 程なくしてルード君も戻って来たので、みんな揃ったところで昼食の用意をしたわ。

 

 この世界では昼食が無い様だから、ジェシーちゃん一家は驚いていたけれど、ご飯を食べるとみんな幸せそうな良い笑顔なのよねぇ。こっちが調子に乗っちゃうくらい。


 食後はジェシーちゃん一家に服を作ってあげたわ。

 聖魔法を付与してあるから、弱い魔物なら彼ら一家に近付くことさえ出来ないわね。

 これでとりあえず村の外に出ても安全は確保されるわ。


 昼食後、私はジェシーちゃんを伴って村長のお宅に出掛けたの。

 流石に村長に何の挨拶も無しに長期滞在というのも変だと思うから、一応は礼儀としてやっておく必要があるでしょう?



「あの、村長さんにお会いしたいのですが」

「おや、ジェシー。そちらの方は?」

「私の家のお客様です。この方が村長さんにご挨拶為さりたいということでしたので」

「そうか。しばし待っていてくれ」



 使用人が屋敷の中に入ったかと思うと、程なく出てきて私達を屋敷に招き入れたわ。

 応接間の前に連れていかれた私達は入る様に促されたので、地球の入室マナーで良いのかしらと思いつつ、ノックを二回して伺ったわ。そうしたら、中から「どうぞ」と低い声で返事が有ったから、まぁ、オッケーだったのねと納得して入室したの。


 私は微笑みを浮かべて会釈をして入ったわ。一応敵意は有りませんよを顔に描いたつもりだけれど、伝わったかしら。まぁ、伝わってなかったとしてもどうでもいいことだけれど。

 ジェシーちゃんは緊張して動きがちょっとロボットみたいね。……こういう場所は不慣れそうだものね。それでもこの子、字も理解しているし言葉も結構知っているのよね。計算とかも出来るようだし、やっぱり商人の娘なのかしらねぇ。そういう意味では良い拾いものだとは思っているのよ。

 元々は彼女らに近付いたのは水神関連でだけれど、調べてみれば私にとってのメリットが色々とあったからこその肩入れよ。何はともあれ、私は彼女の背に手を回してゆっくりと村長の座る応接椅子の前に立ったわ。



「どうぞ、お座りください」

「失礼します」



 彼が促してくれたから、私は返事を返してジェシーちゃんを先に座らせてから腰を下ろしたわ。

 彼の視線は彼女の背に当てている私の手に向けられているわね。

 あら、羨ましい?



「ジェシー、この方が君達の家に来た客人で良いのか」

「はい。村長様」



 村長の態度は無駄に尊大ね。

 まぁ、この態度は昨日今日始まった話じゃないけれど。

 透明人間の私ですら彼がこの態度を崩したのを見たことが無いくらい。

 いっそ完璧な程ね。



「そうか。お客人とやら、私に挨拶されたいということだが、どの様な用件だ。ただ滞在したいだけならば、何も改まって来ることでは無かろう」



 彼はそう言って私の顔を値踏みするように見ているわ。

 あまり気持ちの良いものではないけれど、あちらもこちら側の出方を伺っている様ね。

 私は営業時代の笑顔を張り付けて堂々と話したわ。



「仰る通り、その様に対処することも出来ましたが、私どもは東方より旅の行商をしておりまして、この度こちらの村を拠点に商売を始めようかと思いましてご挨拶に伺ったのです」

「ほぉ。そうでしたか。わが村は特段他村と変わりは無い村ですが、どこに興味を持たれたのです?」



 確かに何もないわね。

 私が相手をしてきた普通の自治体の長というものは、それでも取り繕ってオラが村の産品を売り込むものだと思うけれど、この人はまるで売り込む気が無い……というより、事実その気が無いのでしょうね。



「興味ですか。そうですねぇ、こちらのジェシーさんが優しかったからでは駄目でしょうか。見ず知らずの我々の様な旅人に宿を貸して下さった。私は彼女の恩に報いて彼女の家を拠点に商売をしてみようかと考えたのです。幸い、彼女も商人の娘さんだそうで、無知の人材ではないというのも理由として挙げられます。商売は信頼が命ですからね。信用のおける人材というものは得難いものです」



 私の物語を聞いても表情を動かしはしない。

 まぁ、期待はしていなかったけれど。

 彼は深く椅子に座ったまま上から目線で返してきたわ。



「……左様でしたか。我が村としては、村に住み、税を納めるのであれば構わない。まぁ尤も、問題を起こされた場合はその限りではないがね。それと予め伝えておく必要があるが、彼女は我が村の掟として生贄とされることが決まっている。君はそれでも構わんのかね?」



 予防線を張ってきた。

スキル共有の内容を確認したキョーコ達。

色々と新しい活用方法を見つけました。


ジェシーを伴って村長へ挨拶に向かいましたが、村長は上から目線。

そして、予防線を張られました。


後編に続きます。

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