T01 ミシマ チヒロ
閑話的なネタです。
僕は三島千紘、13歳。
中学二年生だ。
ある日僕は学校のトイレで小便をしていたら、急に下がスースーしだしたかと思うと、まだ出している途中でパニクッている間に便器の中に吸い込まれた。
丸出しのまま謎の空間に放り込まれた僕だけど、その空間にいる間に僕に話しかけてくる声がしたんだ。
「あなたを勇者として召喚します」
唐突に何を言っているんだ!?
つか、僕、小便中なんだけれど!
その辺まき散らしまくってるんだけれど、そこはスルーなの!?
「何を言ってるの」
それでも問わずにはいられなかった。
ここが普通じゃないことは分かるから。
もはや垂れ流しでスッキリした気分で僕は聞いたよ。
「勇者には全ての言葉を理解できる力を与えます。その他に何をあなたは望みますか?」
「え!?」
言葉は兎も角として、他に?
「それは何個でも?」
「いいえ、一つだけです」
「一つ……」
勇者っていうからには、僕の向かう先には魔王が居るのかな。
どんな力が有ったら良いんだろう。
「じゃぁ、僕は……」
「……ですね。良いでしょう。その力を与えます。さぁ、外に出ますよ」
あ、待って、チャックするから。
僕がモノを仕舞ってズボンのチャックを上げると、ポンと弾ける様な感覚が生じて視界が真っ白になった。
ドシン
「痛っ!!」
見事に床に放り出された僕は、強かに石の床に尻もちをついた。
めちゃくちゃ痛い。
「いててて……ここは?」
そこには沢山の人が僕の周りにいて、皆が僕の事を注目している様子だった。
着ている服は西洋の重そうな鎧を着た人が殆どだけれど、そこに綺麗なドレスを着て頭にティアラ乗せてる金髪碧眼のお姫様っぽい人が一人いて、その人がゆっくりと僕に近付いて来る。
「勇者様、ようこそお越しくださいました。私はラインツベルン皇帝、ザスキア・ラインツベルンです。貴方のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
彼女はそう言って手を差し出した。
僕がその手に触れると、彼女はゆっくりと立ち上がるのを助けてくれた。
「有難うございます。僕の名は、チヒロ・ミシマです」
彼女は僕の名を聞いてほっとした様な表情を浮かべる。
「その名前は、確かに勇者様の世界の名。良かった。無事に召喚の儀式は成功したようですね。あ、あなたにとっては突然の出来事なのですよね。申し訳ないけれど、私と共に世界を救うのに協力して下さいますか?」
この流れはもしかしなくても、異世界転移って奴なんだとは思うんだけれど、どう見ても僕みたいな非力な少年が世界を救うだなんて、幾らチートが有ったとしても非現実的だと思う。
だからというか、僕は正直に話した。
「……僕で良いんですか? その、僕は戦ったことも無いから役には立たないかと……」
「大丈夫です。私がしっかりとあなたをサポートさせて頂きますから」
彼女はそう言って笑顔で頷いた。
その顔を見ていると、こっちも嫌とも言えず、何よりこんな美人に頼まれることなんて無いし、神様が何か力を与えるとか言っていたし……大丈夫かなとか、漠然と思っていた。
「協力します」
僕は彼女の頼みに同意した。
こうして、僕の異世界生活は始まった。
三匹のおネエ本編の合間にたまに入れようかなと思います。




