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028 おネエのための護身術講座

二話目投下。


 そんなこんなで、午後なんだけれど。



「ねぇ、あんた、本気でやる気あるの?」



 ガリが腕を組んで呆れ顔で私の方を見てくるの。

 なんでって? それは、私達の着ている服が不満みたいなのよ。

 私は形から入る主義だから、やっぱり練習で鬼教官から教わるといったら、これしかないと思ったのよ。



「……だいぶ懐かしいネタを掘り起こしてきたよね~。でも、ちょっと楽しいよ~」



 ケリーが楽しそうにはにかみながら自分の服を見ているんだけど、私達が着ているのはキャビンアテンダントの制服よ。え、なんで体術の練習にそんな服を着るんだって? ……だからぁ、それは鬼教官にきつい指導を受けながらもめげずに、決め台詞は「私はドジでノロマな亀の頭です!」ってめそめそしながらも頑張るから同情を誘うでしょう? そうすれば、辛い練習でもギャラリーが応援してくれると思ったのよぉ~。


 え、お前らみたいなおネエを誰が応援するかですって?

 ……おネエを舐めたら悶えるわよ。


 ま、なんだかんだと文句を言いながらも、本音の所では着たくて仕方なかったのがガリよね。このコスチュームを出したら真っ先に袖を通してツッコミを入れたもの。


 で、構わず講義は始まったわ。

 まずは準備運動から開始したんだけれど、思いのほかパンプスにタイトスカートってきついわね。……モデルがくねくねする理由をちょっと理解出来ちゃったわ。てっきり私はアレで媚を売って男を引き付ける高等テクニックとか思っていたけれど、これ普通にくねるわね。でも、傍から見たらおネエ三人がくねくねして動いているのよ? 自分で言うのもなんだけど……凄い絵面よね。


 ラジオ体操をして、基礎柔軟として二人一組……私とケリーしかいないけれど……で体を押したり色々と動いたんだけれど、私とケリーだと凸凹も良いところなのよ。身長差15センチは大きいわよね。でも、それも何とかこなした後は本講座になったんだけれど、私とガリで技のデモをすることになったのよ。



「それでは準備運動はそれくらいにして、これから護身術をまず教えることにするわ。これは猿でもたぶん分かると思うから、あんた達の場末のおネエでも猿並みの知恵と筋力があれば出来ると思うの」

「ちょっとー、私達猿並み!?」

「……もう猿並みの若さも無い私達を買被り過ぎよ~」



 頬を両手で覆って悩まし気に言うケリーの反応は、喜んでいるのか自虐なのかさっぱりわからないけれど、私達を猿同然に扱うガリ教官の恐怖の講義の始まりよ。厳しいぃ!

 ガリったら、最初に私がガリの腕を掴むように誘導されたからそうしたら、流れるように捻られて痛いったらありゃしないの。でも、これはよく見る後ろ手に腕を固めるアレよね。まずはこれの練習。

 私とケリーで暫くこの練習をした後、次の段階と言って足払いされたの。


 勿論私は当然倒れるわよね。

 そこをガリのヒールで金的攻撃よ!



「ちょ、ちょっと、何してくれちゃってるのよ!!!使い物にならなくなったらどうしてくれるのよ!」



 私が股間を押さえて立ち上がって猛抗議すると、冷ややかな目で哀れな者を見る目のガリ。



「そもそも使う気ないでしょ……とにかく、か弱いおネエが屈強な男を相手に勝つったらこれでしょう?」

「ま、間違ってないと思うけれど、初っ端からお下品よ。誰が見ているとも知れないじゃないの」

「大丈夫、ここにいるのは場末のおネエ三人だけだから」



 というわけで、足払いからのハイヒール金的の流れをまたまた練習よ。……確かに流れるように出来るようになったけれども、こんなものが魔物に役立つのかしら。いいえ……ダメ!疑問を抱いちゃダメよね!何もないよりは絶対マシに違いないわ。


 次の練習は肩幅に開いて、利き足の反対側の足をちょっと前に出す様に言われたわ。そして、両手は「いやん、ちょっと」って感じに拒否ってる様にしなを作って前に出すの。で、目線は相手の目を見ずにぼんやり全体を見渡すような視線にする様に言われたわ。でも……実演してみせてくれるガリのポーズがねぇ。



「キモ!」

「ちょ!何よ!あんた達の為に説明しているんじゃない!ったく。で、これが初歩的な護身の構えよ。ガッチリした構えは身構えてしまう分固くなってしまうでしょう? だから、自然体に近いゆったりとした動きでいることが大事よ。そうすれば素早く反応出来ると思うの。この構えから相手の動きを見て腕を掴まれそうになったら、さっきの様に腕を固めに入ってみたり、間合いを見て足払いをして金的攻撃をしたりって感じに流れていくの。良いかしら?」

「「はい、ガリ教官!!」」

「……」



 私とケリーは元気よく返事をして早速その構えをしたわ。

 あまりに綺麗に挨拶が揃った事に小言を言う気も失せた様ね。

 その後はお互いに一連の動作の練習をしてみたの。

 確かに楽に構えている方が相手の動きを観察するのに適しているわね。そして、手の位置がどう動いても良いようなあいまいな感じでいるのが掴みやすいのかしら。この一連の動作が決まった時の爽快感は得難いものよ。

 この動作練習を私達は一時間ほど頑張ったわ。



「今日の所はこの辺で終了よ。たぶん、慣れないことをしているから明日筋肉痛になると思うの。そこら辺も考慮して無理せずカッチリ進めていこうと思っているわ」

「「はい!!有難うございました!!!」」



 その瞬間、アレが来たの。

 月ものじゃないわよ?

 え、はしたないって? 今更?



 新たなスキルを獲得しました。

 体 術 LV,1



 一応この練習は無駄ではなかった様ね。

 その後、汗だくで見るに堪えない汚物と化したキャビンアテンダントもとい年増のおネエ三人は、家に着替えに戻ったのは言うまでもないわ。



 いつものファンタジーな服に着替えた私達は、それぞれで分かれて行動することになったわ。

 ガリは森の中に入っていったし、ケリーは山の方へ歩いて行ったの。


 私はパトラッシュと一緒に下流のポンポン群生地の方へ向かったわ。

 一応毎日のノルマとしてポンポン一袋をゲットするのよ。……こういう地道な努力のお陰で日々の生活の質が向上しているんだから。

 いつも通り女を捨てて猛烈な勢いでポンポンをぶちぶちと毟ってやったわよ。なんかこの運動も慣れがきたというか、いつもより早く動けるようになってきたのよね。蟹股でぶちぶちしている格好に慣れるってちょっとお下品かもしれないけれど、足腰が丈夫になったってことだから、老後も安心よね?



「ふぅ、これでノルマ達成よ」



 私は腰に手を当てて汗をさわやかに拭ってやったわ。

 傍から見たらきっと私の周りにぼかしが入ってキラキラに見えていると思うのよ。

 え、ぼかしが入るのは皺隠しですって?

 ……大女優を敵に回しても知らないわよ。


 日の丸の日本手ぬぐいを首に掛けて、さて、今日の課題よ。

 お昼に話を聞いたケリーの「空属性」の話について、私なりに検証してみる必要があると思うの。


 ケリーは空属性のことを「時間と空間」を扱う属性だと言っていたわよね。

 私の予想ではこれらは別々のものだと考えていたのだけれど、実際は合体していたってことになるわね。で、どうやってケリーはこれを入手することが出来たのかだけれど、あの子、風属性に適性が有るのか呑み込みが非常に速くて高度に進化させていたのよね。逆に私は風の応用が上手く行かなくてサッパリなんだけれど、たぶん、風は空間と関係していると思うの。だって、空間に吹かしている力が風ですもの。

 例えば、あの子なら風の力を狭い範囲に圧縮して強化して飛ばすとか考えてもおかしくないと思うの。その場合、風を閉じ込めるフィールドが必要になる。この時に空間が関係してくると思うのよ。


 というわけで、キョーコさん実践よ!


 早速作ったキョーベンを右手に持って、先っちょの宝石に魔力を集めるようにイメージして風を作り出すわ。イメージとしてはつむじ風かしら。それを空間に座標を描く様に想像して、正面に四角い仕切りのある空間をセットする。その中に風を送り込んで閉じ込めるイメージでどんどん注ぎ込んでいくわ。

 当然、圧力が上昇して風が飛び出そうとするけれど、空間に真空の断裂を作り出して強固に隔絶するように集中する。すると上手い具合に圧力が内部に籠っていく。ボール状に吹き荒れる風の玉を打ち出すターゲットを指定するわ。


 場所は……あの山の麓にしようかしら。

 場所を決めたら打ち出す方向の蓋を開けるイメージで解放する!



「えい!」



 その瞬間、前方から強烈な風が巻き起こったかと思うと、轟轟と音を立てて消え、思わずびくつくほどの爆音を響かせて前方の山に衝突したわ。麓では沢山の岩石が飛散して土煙を上げていたの。少し遅れて衝撃波が私の足元にまで伝わってくる。



「す、すごぉ……」



 新たなスキルを獲得しました。

 空属性 LV,1


 

 やっぱり来た。

 私の推測は正しかった。



「うんうん………って、ちょ、な!?」



 ゴゴゴォォォ!!!



 確かに推測は正しかったけれど、こんな副産物が起こるなんて想像もしていなかったわよ。

 前方の抉られた山の上の方から猛烈な勢いで広範囲に渡る雪崩がこちらに向かって押し寄せてきたわ。

 速度が尋常じゃないわね。暖かい所に衝撃波を受けて残雪が丸ごと滑り落ちてきている感じね。

 不味ったわ。雪国の人間には有るまじき失態ね。

 


「パトラッシュ!!」

「応!行くぞ主!」



 威勢よく呼応すると、パトラッシュが私を乗せて軽やかに走り出す。でも、雪崩の範囲が広すぎてこちらのスピードで上手く出られるか分からない!?


 どうしよう、どうしよう、どうしよう。

 何か考えなくちゃ、何か考えなくちゃ、何か考えなくちゃ!


 そう思ってもこんなテンパっていたら思いつくものも思いつかない。だからと何かしないと確実に飲み込まれる。


 火の魔法で焼く? ……焼け石に水よね。

 氷魔法でデカいツララを立ててもへし折られるだろうし、土魔法も一緒。

 風魔法で押し切れるなら苦労しないわよね。

 そこに全力疾走するパトラッシュから焦りを含んだ声で話しかけられる。



「主、間に合わぬ!」



 悩んでも仕方ない!

 私は一か八か試してみたわ。



「座標設定、範囲指定、区画確立……」



 私の視界を覆う様な雪崩がやってきた。

ガリ先生の護身術講座でした。皆さん参考になりました?

キョーコもケリーもしっかり学んで体術スキルを獲得です。

キョーコは日課のポンポン狩りの後に空魔法を試しました。

そうしたらBGMにドリフの全員集合のオチに流れるアレな状況が展開です。

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