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011 時間

 日も暮れつつある頃には家の用意も料理の方も出来たわ。

 パトラッシュのための簡易犬小屋も木の下に用意してもらったの。簡単にウッドデッキを作って、丁度私たちの小屋の下に作った感じ。小屋にはなっていないのだけど、私達の家が屋根替わりね。さすがにパトラッシュの体格が乗れるほど上は余裕が無さそうだから仕方ないわね。


 一応、水甕としても利用しているバスタブは場所を犬小屋の隣に持ってきて、そこに木の柵で覆いをしてみたわ。直接地面に触れないようにすのこ状の板を敷いてあるから綺麗なものよ。

 風呂場作りは3人で頑張ったのよ。バスタブも流石に三人で持たないと移動できなかったし。水に戻したバスタブ内の水を再び板氷に戻して移動して、それからバスタブを移動して、再び氷を入れて水に戻すって作業だったわ。

 水甕については滑車式エレベーターの所に設置したの。下すのをトレーにするかバケツにするかで便利に使えるようにしていて、普段は甕の水を上げる形で利用出来るわ。



「流石に疲れたわねぇ」

「そうよ。考えてみたら私達徹夜した様なものよ。年も年なのに頑張ったわよねぇ~。自分を褒めてあげたいわ~」



 私とガリの言葉に無反応にケリーは鍋の中身を木のお玉で各自の皿に盛っていく。

 ケリーってこう見えて調理師免許も持っているくらいなのよね。商売出来る腕が有るのよ。

 昔バイト先で働いていて調理場やっていた時に取らされたとか言っていたけど、取れちゃうあんたが何者よって思ったものだわ。



「さぁ、おっさん達出来たわよ~」

「あら、何よ、あんたも立派なおっさんでしょう?」

「これでもあなた方より年下ですよ~」

「ちょっと、気ぃ悪いわぁ~」



 そう言いながらも皿を受け取る私達。

 それを文句も言わずに見守るケリー。

 なんだかんだと付き合い長いものね。



「「「いっただきまーす」」」



 三人で同時に合掌して唱和する。

 私はガリが作ってくれた木のスプーンで掬って口に入れたの。

 そうしたら、思わず目を見開いたわ。



「お、美味しい~」

「ほんと美味しいわねぇ。流石ケリー」

「うふふ、褒めて良いぞよ~」

「いやいや、お世辞抜きで美味しいわ。どうなってるの。岩塩だけでしょう?」

「そうなんだけど、意外にここら辺ってハーブ類も多かったから~、ハーブ使ってみたんだよ~。そうしたら良い感じに肉の臭みも出ずに済んだよ~」

「ほえぇ~。鑑定レベルどんだけ上がったのよ?」

「鑑定は今6まで来てるよ~。4で遠方鑑定で、5で用途詳細が出て、6で名称詳細が解禁されるよ~。ここらはラズウルド山脈っていう場所らしいよ~」

「そうなの? 名前まで知っちゃうと、本当に違う世界に来た感が増すわねぇ」

「ちなみに食べている兎っぽいアレはアルミレージっていう奴だよ。某国民的RPGに出てきた眠る魔法使うアレだよ~」

「え、マジだったの!?」



 想像はしていたけど、本当にそうだと思うと何とも言えないわね。……でも、美味しいから許す。

 その後暫くはスープに舌鼓を打ち、食後はケリーの取ってきた木の実を食べたわ。

 木の実はちょっと渋みが有るけど甘い味。リンゴっぽい味だけど、大きさはナナカマドくらいかしら。

 スープは大人三人といっても、食が太いわけでもないから半分くらいまだ残っているので、明日の朝食べるのに十分かしら。


 夜も更けて囲炉裏の火がぼんやりと部屋を照らしているわ。

 流石に疲れすぎて風呂に入る気にもならず、枯草ベッドの上にそれぞれが横になったわ。断熱材も無い粗末な壁だけど、壁と屋根が有るだけでも随分と違うもので、囲炉裏の火が良い感じに温もりを伝えてくれるわ。


 食後の満腹感と疲れもあって、いつの間にやらその日は眠ってしまった。




 翌朝




 私が目を覚ました時にはガリが起きていたわ。

 ガリは窓を開けて空気の入れ替えをしていたの。

 朝の風はひんやりとしている。

 囲炉裏の火は絶やされていないところを見ると、ガリかケリーが不寝番でもしてくれたのかしら。

 あら、私何も考えずに寝ていたわ。



「おはよう、ガリ。あなたが火を守ってくれたの?」

「おはよう。俺もしたけど、頑張ってくれたのはケリーだ。だから寝かしといてやろうよ」

「そうね。っていうか、言葉遣いが素よ」

「ははは、そうね。気を抜くと素に戻るのよ」

「そうだったの。まぁ、私も普段の暮らしだと封印しているけれど」

「それより、ステータス見たか? 一晩寝たら色々と回復してたよ。俺なんて木ばっか切り倒していたらレベルアップして3になってるんだけど、HPも結構削られていてさ、寝る頃には100切ってたくらいだから」

「まぁ、そんなに? ちょっと待って、私もガッツリ色々と減ってたから見てみるわ」

「うん」



 私がステータスを呼び出すと、確かに回復してる!



 キョーコ 

 年齢 37 LV,1 職業:錬金術師

 HP120

 MP380

 LP8

 

 AT15

 DF11

 MA23

 MD36

 SP10

 LU50


 スキル

 錬金術 LV,7

 鑑定眼 LV,3

 画 力 LV,10

 調理術 LV,5

 裁 縫 LV,7

 工 芸 LV,8

 調 教 LV,9


 称号:お姉



 LPって回復するものなのね。

 一晩で2回復するとすれば、二晩あれば全回復するわけね。

 時間にして8時間くらいかしら。だとしたら4時間で1回復?


 あ、そうだ。時計よ。


 今何時かしら。そう思って腕時計を見たら夜中の3時。

 ん? どういうこと、時計は動いているわよね。

 止まっているわけじゃないとして……あ、そうか。


 ここの世界に来た時点で時間なんて狂っていて当然だわ。


 あっちで夜中の3時にメックに入って、こっちが朝だったわけだから、少なくとも時間差は5時間近くあるはずなのよ。とすると、この時計に5時間プラスしたら丁度良いのかしら。……つまり8時くらい?

 私はこの世界の時間の概算ということで5時間追加して8時とすることにしたの。実際問題この世界の一日が何時間なのかは分からないけれど、昨日の日の暮れ方を考えたらほぼ同じくらいだと思うのよ。



「ねぇ、ガリ。時計についてなんだけど、あなたの時計は今何時って出てる?」

「時計? あ、そういえば付けていたな。普段スマホで見てたから忘れてた。どれどれ……あぁ、今3時って出てるぞ」

「そう、一緒ね。でも、それでこの明るさはおかしいでしょ? でもよく考えてみて、私達がメックに入った時間が今だとしたら、丁度一日経過しているのよ。で、この世界に来た時は朝だったわけじゃない? 単純計算で私は5時間追加しようと思うんだけど、どうかしら?」

「キョーコがそうするなら、私も統一する。確かにその方が分かり易いし。スマホの時計は向こう時間のままにしておけば良いし」

「そうね。それが良いわ。んじゃ、ケリーが起きたらケリーにもそうするように伝えとくわ」

「了解。そういうのはキョーコに任せるわ」



 彼はそう言って家を出て行ったわ。

 顔でも洗いに行くのかしら。

 あ、顔を洗うなら、アレを試すべきよね!



「ちょっとー、待ってー。私も行くわ~」



 私はガリを追って家を出たわ。

 家を出ると一瞬寒さにブルッたけど、極寒の北の大地からすればマシよマシ。

 私は縄梯子を下ろして下に降りたわ。

 下ではガリが剣で巻き割りを始めていたの。



「どうした~? 何か用が有るの?」

「まぁ、朝から早速精が出るわね。それより、風呂よ風呂。湯を沸かそうと思うの」

「え、あのバスタブいっぱいの水を? どうやって」

「それは試してみないと分からないけど、ちょっと待っててね」



 私は風呂場に向かったわ。

 木の扉を開けて靴を脱いで中に入っていくと、昨日と同じように水の張られたバスタブがそのまま。

 私はバスタブのもとに行くと、水面に手をついたわ。そしてイメージしていく。すると、それはゆっくりと熱せられてふんわりと湯気が立ち上り始めた。しばらく続けていると、良い感じにちょっと熱めのお湯が出来たわ。

 ステータスを確認すると、MPが10程減っているわね。加熱するという状態変化はMPを余計に消費するのかしら。それでもお湯を簡単に用意できるということは大きいわね。



「出来たわ~!ガリ、来て~~!」



 ガリが走ってやって来たわ。

 彼はバスタブを見て目をまん丸にしてたの。



「昨日はあんたが一番頑張ったでしょう? 一番風呂の栄誉はあんたにくれてやるわ!」

「い、良いのか? マジで? うれしー!超うれしいわ」

「ただ、問題は拭くものが無いのよね。今すぐは難しいから、湯冷めするかもだけど自然乾燥かしら」

「ハンカチで代用するから何とかなるわ。でも、用意できるなら用意して欲しいアイテムね」

「なるほど、了解。今日の目標はタオルとか繊維製品にしてみるわ。じゃ、ごゆっくり」



 私はそう言って風呂場を後にしたわ。

 私が出た後は、彼が服を脱ぐ音が聞こえたかと思うと、用意した風呂桶でお湯を汲んで掛け湯しているのが聞こえたわ。



 ふふ、ごゆっくり。

お風呂が沸きました。

しかし、タオルが有りません。


ケリーの話からラズウルド山脈という地名を聞いて、改めて異世界に来たと実感する三人。でも、何とか屋根のある生活が出来て一安心です。

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