表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第III章 グレイズの三匹
104/157

094 メイリンの散歩 中編

メイリン視点が続きます。



※昨夜寝落ち寸前で投下したので、文章が変な状態でしたから加筆修正しています。

 ご覧になる方は前の話を先に読み直していただいてからの方が良いと思います。

 お店の中に入った私は内装を見て驚いたの。

 クリーム色に塗られた床は、魚のうろこ状の塗り痕がわざと残してあってアクセントになっているの。入って正面にカウンターが設けられていて、その向こうにキッチンで働く人が見えているわ。そのキッチンもとっても清潔で綺麗な印象を受ける整然としたもので、皆が白い服を着ているのよ? 料理が何かの拍子に跳ねたりしたら汚れが目立っちゃいそうに思うけど、大丈夫なのかしら。

 カウンターの左手に小さく通路が設けられていて、奥に繋がっている様ね。

 手前には5つのテーブル席が並んでいて、外とは違って円いテーブルになっているわ。

 席の数は外と同じ4脚だけど、テーブルのサイズが外よりすこし大きいから、多い人数になっても椅子を増やせば対応出来そうかしら。でも、なぜかテーブル一つ分くらいのスペースが左側の壁側に出来ているの。あそこにもう一つテーブルを置けば良いでしょうにね。

 白木の丸テーブルには何処かの民族文様の織物が敷物として使われているから、外の印象とは違うけど、これはこれで不思議とおしゃれに見えるわ。テーブルの中央には花瓶が置かれていて、これはグレイズの安物陶器市に有りそうなものだけれど、こうして使うと印象が違うものね。不思議。

 

「お客様、当店は見ての通り狭いため、相席をお願いしておりますが宜しいですか?」


 確かにそうでもしないと座れそうにない程埋まっているから仕方ない。

 私達は入って手前の通りが見える窓側の席に案内され相席したの。

 こちらの席には老夫婦らしい二人が座っていたわ。

 二人の前にお茶だけが載っていたから、もう食事は済んでいる様ね。



「お席失礼します」

「えぇ、こちらこそ、どうそどうぞ」



 ご婦人の方が穏やかな笑顔で同意してくれたわ。

 私は会釈をすると、フェンが椅子を出してくれるのを待ったわ。

 フェンは静かに椅子を引いて私の背後に立つと、私が座るのを待ったわ。

 私が椅子に座ると、彼も自分の席を引いて座ったの。

 席に着くと、先程の案内してくれた金髪のお兄さんがガラスのコップに水を入れて持って来たわ。まだ私はオーダーしていないけれど、どうして?



「こちらは、ウェルカムドリンクです。メニューをどうぞ」



 彼は私とフェンに水を置いてメニューを差し出したの。

 私は受け取り様に尋ねたわ。



「あの、この水、まだ私達何も頼んでいないのだけど……?」

「ウェルカムドリンクは無料です。遠慮なくどうぞ」

「そうですか。では遠慮無く頂くわ」

「お決まりになりましたら、そちらのベルをお使いください」



 彼はテーブル中央にあるベルを指したわ。

 小さな金色のベルは新品の様でとってもピカピカ。



「有難う」



 私がそう答えると笑顔で会釈を返して、彼は戻っていったわ。

 メニューを見ると、薄い木の板に彫刻されていて、そのくぼみに墨が塗られているの。だから木の板だけどとっても見易い。……こういう使い方もあるのね。

 メニューにはランチメニューとあって、先程の店の外で見たバーガーの他に、サンドウィッチやホットドッグというものもあったの。最初のは兎も角、あとの二つはどんな料理なのかしら。

 飲み物は色々あるけれど、普通のティーの他にハーブティやベリーティにミルクティなんてものもあるわね。お茶の種類が豊富なのが不思議。

 夜のメニューにはパスタ料理の名前が書かれているから、もしかしたら、この店ってオームラ会頭の言っていたお店のままなのかも。……だったら良いんだけど。

 私はサンドウィッチも気になったから、バーガーと悩んだけどそっちにしたの。

 フェンはバーガーを迷わず選んでいたわ。

 それにしても、ウェルカムドリンクは無料と言っていたけれど、値段を見る限りは料金に含まれると解釈した方が良いかしら。まぁ、出て来た水も綺麗だし、ガラスのコップで出してくれる程なんだから、十分元は取れる内容だとは思うけれど。

 フェンがベルを鳴らすと先程の金髪のお兄さんが来たから、私はサンドウィッチとベリーティを頼んだの。フェンの方は迷わずストレートティーとバーガーを頼んでいたわ。

 彼がオーダーして会釈し去ると、その数分後に奥から楽器を持った人達が現れたわ。この人達は確かオームラ会頭が育てていた楽師さん達だったかしら。彼らがお店の中で先程不自然に空いていたスペースに集まったのを見て、ここで演奏するんだと気付いたわ。

 素敵、外だけじゃなく中でも音楽を聴けるのね。


 楽師さん達はゆったり目の曲を弾き始めたわ。

 部族の音楽のメドレーになっていて、周辺部族や遠い国の曲とかも入っているみたいね。私も知らない曲ばかりだから、どこかの村の音楽も集めているのかしら。


「お嬢さんがたは、どちらからいらしたんですかな」


 旦那さんが穏やかな顔で話し掛けてきたわ。

 品の良いおじ様の服装を見るに、それなりの暮らしをされている方なんだと思う。



「私達は東方より行商で参りました」

「ほぉ、東方ですか。東方では最近きな臭い話を聞くようですが、道中どうでした?」

「何度か魔物に襲われることもありましたが、見ての通り無事です」

「そうでしたか。いやはや、魔物の出没が増えているのは何処でも同じ様ですな。うちの方も魔物の被害には困っていましてな。ギルドに支払う額が増える一方です。とはいえ、それを渋って命を失っては元も子もない」



 穏やかなお顔をされているのに、随分と物騒なお話を振られちゃった。

 どういうことかしら。

 フェンを見て私の立場を判断したということかな。



「そうですね」



 微笑んで返したものの、この後に続ける言葉が見当たらないわ。

 この人はこの話を振って何を引き出そうと考えたのかしら。

 そんなことを思っていると、隣のご婦人が旦那さんの方を向いて眉間に皺を寄せているわ。



「もう、あなたったら。こういう席なんですから商売の話はよしてください。折角楽しく食事を楽しみにしている方に失礼ですよ」



 旦那さんは奥さんに叱られて、頭を掻いて申し訳ないと私に謝っているわ。

 奥さん、もっと言っちゃって良いですよ。



「そうそう、お嬢さん。先日のバザーは行かれました?」

「え? いえ。その日は用事で行けませんでしたが、何かありまして?」

「はい。先日のバザーは東地区がとっても賑やかでしたの。中でも一番奥でお店を構えていたポプリのお店は色々と興味深いものがありました」

「まぁ、どの様にです?」

「これを見て」



 彼女は胸元に見えるネックレスを私に外して見せてくれたの。

 それは木彫で作られたもので、見たことも無い掘方で中が彫り込まれているとても精巧な作りよ。青い顔料で塗装された柄が涼し気で掘り込みの中に埋め込まれた石は赤く仄かな光を放っている。……これって、魔石かしら。小さいけれど高い魔力が込められている証である光が宿っているから、相当高度な魔導士が力を込めたのかしら。



「素晴らしいものですね。これ程の出来でしたら、何処に出しても恥ずかしくない出来だと思います」

「そう思うでしょう? でも、これは銀貨五枚でしたのよ」

「え?」



 私は思わず目が点になってしまったわ。

 これ程高度な技術が込められているものが銀貨五枚?

 金貨数枚でも十分に売れそうなものよ? それは確かにご婦人が仰る通り興味深い話だと思う。



「これを販売されていた方はお水を無料で配ったり、投げナイフの曲芸を無料で披露したりと面白い余興を催されていて、無料で配布されていた水がまたとても冷たくて旨かったのだが、まさかここでこれに出会えるとはなぁ。お嬢さん方は運が良い」



 先程怒られてしゅんとしていた旦那さんが、得意顔で話しかけてきたわ。

 奥さんも今度は眉間に皺が寄っていないから大丈夫みたいね。



「もしかして、そのお店の方が、このお店をされているということですか?」

「えぇ。そのまさかです。料理も絶品でした。これは暫く通いたい店になりましたよ」



 そんな話をしていたら、先程下がった金髪のお兄さんが料理をワゴンに乗せて運んでくるのが見えたわ。



「お待たせしました。サンドウィッチのお客様は?」

「私です」

「どうぞ」



 彼は私の前にサンドウィッチを置くと、円く薄い気の板を置いて、その上にガラスのティーカップに入った赤いお茶を置いたわ。そして、フェンの方にもバーガーとハーブティを私と同様に置くと「ごゆっくりお召し上がりください」と会釈をして戻っていったの。

 遂に現れたサンドウィッチという名の料理は、三角形のパン切れに料理を挟んだものの様ね。中に挟まれたものは幾つか種類があるけれど、彩りが考えられていて見た目にも綺麗。

 赤と緑と黄色のサンドされた物の味が何なのか気になるわ。


店の中に入ると、店の外の雰囲気と違うどころか、他の店の雰囲気ともがらりと違うのに驚くメイリン。使われているものは割と安く手に入りそうな物も多いのにも関わらず、店の雰囲気がチープにならないところに感心しています。

そして、オーダーして出来た料理にワクワクの彼女です。


続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ