2話 「秘密」
「至…」
うわ言みたいに名前を呼ぶ
「どうした?」
隣に寝てるお兄様が
私の髪を撫でながら優しくされて
溶けてしまいそう
好きが溢れるの
苦しい、苦しい、もっと…求めて、求めてよ
「愛してる」
少し手が止まったのを知らないふりをする、
目の奥がじんわりと熱くなる
何も言われてないのに、
この関係に満足しているはずなのに
終わりが見えるようで
目から雨が降るの
「すき…愛してるの…すき…至…なんで、なんで私達は兄妹なの?」
「そういう運命なんだよ、泣くなよ、美咲の泣き顔なんて見たくないよ」
苦しそうに笑わないでよ
迷惑かけてるよね
私…
だけど辛いの、
今更かもしれない、この気持ちに気づかなきゃ良かったのに
「ねぇ、今日だけでいいから今日だけずっと好きって言って?愛してるって…嘘でもいいの」
馬鹿みたいなお願いをしてるってわかってる
「言わない」
「なんで?」
やっぱり私のこと嫌いなの?
「言っても傷つくだろ」
…図星
目からさっき止めてくれたはずの雨が降り出す
「私…わたしは…至のこと嫌い…」
初めて嘘をついた
嗚呼貴方にそんな顔させたくないのに
ごめんなさい、
わたしは
私はまた逃げる…
呆然とした至を横目に私は部屋から飛び出した
行く先なんてないのに