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狂おしい程愛してる。  作者: 水月鏡花
1/3

1話 「密か」


_______

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美咲(ひいらぎみさき)



高校生


(ひいらぎいたる)



柊家の跡取り


________






丁度、零時を指す時計


お兄様と私が逢える時間


いつでも逢えるけどこの時は違う


優しい私のお兄様ではなくて私だけの王子様(お兄様)


私は新しくお兄様の為に買ったネグリジェを着て


薄く香水を付ける


身だしなみを整えてソファに座って本を読んでいる


コンコンとノック音が聞こえ


優しい王子様(あなた)の声が聞こえる


「入ってもいいか?」


「大丈夫ですよ、お兄様」


ガチャと言う重みのある扉が開く音


「失礼するよ、美咲…会いたかった」


ぎゅっときつく抱き締められる


「お兄様…私も…」


口にお兄様の手が当てられる


「至…だろ?」


目を細めて笑うお兄…至


私はこの目が大好きだ


「いた…る…」


なんだか恥ずかしくなって目を逸らしてしまう


再びちらりと至の方を見ると


こちらを見つめている


当然視線が絡み


距離が近づいていく


キスが出来そうなほど近づいてくる


整った綺麗なお母様似の至の顔


「お母様達がこの事を知ったらなんて思うんでしょう?」


「どうだろうな…」


いつも焦らされる


本当はどう思ってるの?お兄様は私のことどう思ってるの?なんて聞けない


いつも私からのキス、だけど今日はしたくないの、


待つの、お兄様からのキスを…


求められたいから、求めた以上求めてほしいから


今の私はきっと物欲しそうな顔をしているだろう


「美咲」


そう私の名前を呼ばれるだけで胸が高まる


私にそっと唇を重ねる


目を閉じていつもキスをしているけど


今日は何故か目を開けてみた、


なんでだろうね


そんな気分だったの


「なにこっち見てんの、俺の顔になんかついてる?」


「何となく、見ただけ…」


「ねぇ、香水つけてる?すごい甘い香り」


「うん、付けた」


「俺この匂い好き」


首筋に顔を埋めるお兄様


顔を左右に動かして、首がむず痒い


急に首筋を舐められ、一瞬だけ痛みを感じる


「ったぁ…なにするの」


「跡、消えてたからつけ直したの」


「馬鹿…もし見つかったらどうするの?」


「そんなの見せつければいいんじゃない?いっそ言っちゃう?」


悪戯っ子の様に笑みを浮かべ


私に優しく問いかける


「言えたらとっくに言えてる…」


「それもそうか…」


頭をポンポンと叩かれる


いつも思う、なんで私とお兄様は兄妹なのかって


婚約者なら、堂々と出来たのに、


顔に出ていたのか


お兄様が私をまた抱きしめて


キスを落としてきた


俺はここにいるって言ってるように


「すき…」


「俺もだよ」


「愛してる」


「おれは美咲より愛してる」


重い女でごめんね、


縛らせて、これが私とお兄様(あなた)が繋がってると思えるの


でもね、もっとわがまま言いたいの


ドロドロと蜂蜜のように、甘く、あまく


一度味わったら…また求めてしまうの


欲が強くなってもっともっと










もっともっと





深く







底まで







あいしてほしいの



目を閉じながらそんなことを思う私は


兄様(あなた)に溺れているのね



小さく呟いた






「愛した分だけ愛して…」



お兄様に届きましたか?

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