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大親分として

気づいたら大親分になりました。どうしてこうなった。


「おい、バルバロッサ。大親分ってどういうことだ?」


「へいっ!俺らはマサキの旦那に命を助けられたも当然。更にはあの城での脱出、魔法の腕を見込んで大親分と勝手ながらさせて頂きやした!」


本当に勝手だな。こいつもう下っ端のような感じになってやがる…。

牢屋主から一気に海賊の大親分ってなんだよ。


「俺は海の事とか全然知らないぞ?正直素人だ。海のベテランであるお前ら海賊が俺を大親分としていいのか?」


「構いません!海の事は俺らに任せてくださって大親分はどーんと俺達を使って下さい!!正直なところ…俺らも誰か頼らないと海賊はやっていけねぇ状態だったんです。帝国との戦いで俺らの仲間にも大きな被害が出て何人も亡くなって…」


バルバロッサはごつい顔を俯け悔しそうな表情をしていた。

これだけ慕われてたんだ。仲間を大事にしてたんだろう。


とにかく今は早く動こう。もう10分もない。

「そうか…大親分は置いといて直ぐに出発するぞ。お前ら装備は大丈夫か?」


残り少ない時間でも出来る事はやっておこう。

俺も装備を整え直す。汚れたフォーマルスーツのままじゃ見た目も悪いだろう。俺が選んだのはGM限定装備だ。


頭装備:ヴァルキリーの魂(MP消費3分の1カット、INT+40)

鎧:スルトの誇り(HP+10%上昇、STR+50)

腕:ロキの奇策(攻撃速度上昇、魔法詠唱速度上昇、DEX+40)

脚:グレイプニルの蹄鉄(AGI+40、移動速度上昇)


装備を変えた途端にステータスがおかしいほどに上がっていく。

見た目も豪華。豪華すぎるってか、光って目立ちすぎる!迷彩の装備も付けよう。


迷彩装備:蒼龍のクローク

貴重な蒼竜の皮をなめして作られたクローク。装備を隠すのにも使え同時に魔法攻撃力を上昇させる貴重品。 レア:SR 特殊効果:魔法攻撃力上昇(小)


青色で少し鱗が見えるが、GM装備よりマシか。髪は出しててもヴァルキリーの魂は迷彩のお蔭で発光が抑えられてるから助かるな。


「大親分がさっきなんか光った気がするんすけど…」


「気のせいだ。お前らは装備に不備はないか?俺の手持ちで良ければ少し融通するぞ」


注目されると面倒だ。このまま押し通す。


「へい…実はいうと剣がもうぼろぼろで…弓も少し心もとない次第で…」


「剣と弓か…使い古しがあるな。少し待っていろ」


手持ちにあったのはミスリルソードと俺だけにしか扱えないレア武器が多数だ。これだけじゃダメだな。ルームに移動しよう。


『ルーム』


強く念じれば目の前に大きなドアが現れる。部下達はそれを驚きながら見ている。

俺はそれを気にせずに中に入ると懐かしい光景が目の前に広がった。

柔らかいソファーや家具、暖炉。水道。コラボで手に入れた家具アイテムなど設置してある。


今はこれを使う暇はない。大事なのは道具だ。設置された家具に後ろ髪を引かれつつもルームに設置してある道具入れを探る。

中から部下達が使えそうな道具を幾つか取り出す、回復力が低いがポーション類もだ。無いよりある方が良い。



ルームから出ると部下達は驚きながら見ている。


「大親分、さっきのは一体なんですかい?」


「後でお前らにも使わせる予定だ。もう時間がない。お前らこれで大丈夫か?」


気づけばもう残り5分だ。急ごう。

俺はルームから取り出してきた回復アイテム。ハンドレッドソードやミスリルナイフ、エルダーワイバーンボウ、白樺の杖など低レベル用のレベル上げに使っていた武具で使えそうなものを床に並べた。

死なせないようにする為に防具は全員分良いのを用意した。


「こ…こんな良い物をいいんですかい?それにこれ…ミスリル製じゃないっすか!」

「こっちは飛竜製の弓…!?冒険者でも持ってる奴は少ないものだ…!」


全員驚きながら指示通りに使えそうなものを装備していく。戦力の底上げは大事だ。

魔法が使える奴が何人いるか解らなかったから3本ほど杖を置いたが、2本持って行った。この海賊団では魔法使いが二人。近接をやれる奴が5人。

弓が一人。バランスは悪くはないか。

全員が装備をし終えると海賊とは思えない姿に仕上がった。

俺がよく見慣れたプレイヤー達冒険者の団体。その姿にそっくりだ。


時間を気にしていると、火炎の剣を手に持ったバルバロッサの弟が声を掛けてきた。

こいつは炎が出る剣が気に入ったようだな。気合といえばいいのか。強く念じたら火が出たと喜んでた。


「大親分。出港の準備が出来ました!いつでも出れます!」


エプロンをつけたままだが、お前はそのまま行くつもりなのだろうか。

その下にチェインメイルを付けているが、エプロンにも防御性能もあるかもしれないから今は気にしないでおこう。


「お前の名は?」


「はい!バルバロッサの兄貴の弟。ローハスと言います!」


兄貴と違って丁寧だな。返事も良くて兄貴とは別の良い印象がある。




「大親分として初の号令をかける!!ローハス!バルバロッサ!!出港だ!行先は北!何があろうと速度を緩めるな!」


「「「「アイアイサーー!!!」」」」




大きな声と共に錨が引き上げられ洞穴から出港する。

それと同時に大きな爆発音が軍港から聞こえる。俺の設置した『時限式ボマー』が見事決まってくれたようだ。

連鎖して爆発したようで、いくつもの爆発音が聞こえる。

油もあったのは覚えてるが、あれにも引火したかもしれない。

軍港は一般人立ち入り禁止だったから恐らく一般人の被害は出ていないだろう…。そう願いたい。

死人が出たかもしれないがこれは戦争だ。海賊団と帝国の戦争。

帝国は侵略し命を略奪しているのだ。逆に命を奪われる覚悟が無いとは言わせない。

俺も…こうなってからはこの世界で命のやり取りをしなければならないだろうと気を引き締めた。しっかりと殺す覚悟を。




部下の奴等も音の方が気になるらしく顔は向いてるが、手の動きは止まっていない。

杖を持つ奴は何をしてる?…よく観察してみれば風が動いてるのが解った。

風の魔法を使い帆を動かしてるのだろう。

一気に速度を上げて帝国から離れる。

今頃は軍港は大騒ぎになってるはずだ。同時に俺達が居た牢屋も飯の時間だ。

脱獄が発覚する頃だろう。

城と軍港の両方で騒ぎになればこの船の事に気づく奴は少ないはず。





爆発音を背に俺達は帝国を離れるのであった。誰にも気づかれる事なく。





帝国はこの日を境に海戦で大きな痛手を負うのであった。それがたった一人の手によるとは誰も思いもせず、帝国が内通者を疑う一手となって疑いを掛けられた者が数人除隊させられた。

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