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パワーストーン

少々投稿時間が遅れましたが何とか水曜中には上げることが出来ました。

歯医者が混み過ぎてた……。

 屋台の通りを抜けると、各種ギルドが軒を連ねる大通りに出た。この通りには様々な店が立ち並んでおり、アタミで生活している人達はここで生活に必要な物を購入している。


 このアタミで一番活気がある通りで、朝の時間帯が少し過ぎた今では大勢の人が店を訪れ、買い物をしたり、立ち話を楽しんだりしている。


 ここには他領から貴族も来ている。というか今、目の前にから歩いてきてる。

 後ろには執事が控えていて、腕に手提げ袋、手にはクローバーの鉢植えを大事そうに持っている。

 その貴族は俺に気付く事なく、素通りし別の店に入った。あの店は宝石の原石を扱う店だ。店先に『パワーストーンあります』の看板を出していて、冒険者や貴族が大勢訪れる人気店だ。


「マサキの狙い通りにクローバーや原石が売れていくな。最初、話を聞いたときは売れるとは思っていなかったが、こうも売れるとはな」


「貴族でも冒険者でも縁起を担いだり、不思議なパワーを求めたりするのはいつの時代でも同じだったからな」


「屋敷にも置いてあるな。加工された宝石もいいものだが、未加工な水晶の塊というのはなかなか見られないものだから、真新しく感じる」


 宝石を加工する技術はこの世界でもあるようだが、加工をされていない原石でも置いておくだけでパワーを浄化するとか書かれると興味を引かれる人が居る。

 屋敷に訪れてきた来客が興味深そうに水晶の塊を見ていて、触ってもいいですかと聞かれたこともある。触れる機会もないもんな。

 実際、浄化の効果があるかは知らないが、プラシーボ効果でも良しとする。思い込みの力は案外侮れない。


 パワーストーンの説明は俺が一時期ハマっていたので殆ど記入して提示してある。

 欲しいものがあれば取り寄せなども可能にさせたお蔭で、近隣の鉱山や零細だった装飾店の売り上げが凄まじく伸びたと作業員や店員に涙ながらに喜ばれた。



 雑貨屋で売り出している四葉のクローバーは、幸運をもたらすというキャッチフレーズを付けて売り出す様にアドバイスをした。手軽に|1フラン(100円)から|5フラン(500円)までなので飛ぶように売れる。


 こうして考えるとやってるのが領主じゃなくて、商売人な気がするが気にしない。物が売れるのは良い事だ。


 装飾店や雑貨屋も活気があるが、一番活気があるのが冒険者ギルドだ。ここは役所も兼ねていて住民登録や就職案内窓口、相談窓口などがある。相談の内容次第でギルドに依頼という形になったりする場合もある。代表的なのはモンスター討伐や特定の素材の採取だ。


 冒険者ギルドを覗き込むと、多くの冒険者たちが掲示板を覗き込んでいる。

 アタミの近くには古代のダンジョンがあるらしく、そこのモンスター素材が建築素材になるので掲示板では多くの依頼が張り出されていた。

 俺も欲しい素材があったので依頼に出そうとは考えたが、自分でダンジョンに行くのも面白そうだ。ファンタジーなダンジョンは憧れる。


「そういえば、マサキ。冒険者カードは作ったのか?」


「冒険者カード?」


「ああ。冒険者ギルドで依頼を受ける時に必要なカードだ。身分を証明するのにも使えるから作っておくほうがいいだろう。……特にマサキの場合は、仮の身分が必要だろう?」


 依頼を受けるには冒険者カードが必要なのか。出す場合はそういったものが必要ないが受ける場合のみは必要になっているんだな。


「あ〜……確かに。伯爵として色んな所回るわけにもいかないしな……」


 領地を貰ったが、姿を消した異世界人達、それにパヴァリアという単語を調べなければいけない。放置しておくと碌なことにならないだろう。その際には伯爵としての身分が邪魔になることもある。

 外見はある程度ごまかせるにしても仮の身分証明があるに越したことはない。


「冒険者ギルドは横のつながりが大きい。それこそ大陸を渡る程にな。作っておいて損は無いだろう。私もヨーコも偽名で作っているぞ」


「それなら作っておくのもいいか……。今日は楽しむことがメインだから後日にしよう」


「そうか? 分かった」


 さっきから視線を感じるんだよ。外とギルドの中から。

 アデルの手を握り、冒険者ギルドの前を横切ろうとすると、冒険者のパーティーとすれ違った。女性だけで組まれたパーティーだ。


 血生臭い鉄と汗が入り混じった匂い、ダンジョン帰り特有の匂いだ。

 それより俺は気になるものが目に付いた。その中で一番良さそうな鎧を身に着けた女性の大斧だ。


(確かあれって……、フライドラゴンアクスだよな? 色も装飾も殆ど同じだ)


 そう。彼女が背中に背負っていた大斧はブリタリアオンラインで見たことあるユニーク武器だ。プレイヤー時代、知り合いが愛用していた武器で、よく投げていたのでよく覚えている。念のために『鑑定』を使ってみよう。


フライドラゴンアクス:翼竜の翼で作られた斧。所有者を選び、どのような事があろうとも、主と認められた者の手に必ず戻ってくる

レア度:ユニーク 攻撃力50 STR+10 特殊能力:ブーメラン(投擲してもなくならない)


「貴殿、何か私に用か?」


あ、気づかれたか。見過ぎたようだ。


「あ、いやすまんすまん。ちょっとその武器が珍しくて、つい見つめてしまった」


「ははっ。私ではなく武器にだったか。これは南方の獣王国で実に面白い人から譲ってもらった武器だ。投げても手元に戻ってくるという不思議な武器でな。コレのお蔭でダンジョンの攻略も進んだよ」


「なるほど。南の面白い人……。すまないが、その人の外見について聞いてみてもいいか?」


 斧で面白い人と来るととある人物が頭に過った。確か3年ほど前に急にログインが無くなったあの人だ。まさかな……。


「そうだな。髪は君と同じ黒髪で、髪型はツインテール。頭に綺麗な赤い羽飾りをしていたよ。服装は金色の毛皮を羽織っていたね。あの毛皮が取れる敵を教えてほしいと頼んだが断られたよ」


 黒髪ツインテール……オフ会で会った時はその髪型だった。

 綺麗な赤い羽根飾りに金色の毛皮。昔。強引に連れまわされたフィールドボスのレアドロップ品に心当たりがある。鳳凰の尾羽に鵺の毛皮がそれだろう。

 確証は持てないがここまで共通点が揃うと、あの元ギルドメンバーの人としか思えない。もしかして、こっちに来てるのか?


「まさかその人に会うつもりなのか? もしそうならやめたほうがいい。今の獣王国は帝国の滅亡で混乱している。時期を開けてからいかないと君のような体では死ぬのが目に見えてるよ」


 見た目で判断していると痛い目を見ると言いたいが、今の格好はただの一般市民にしか見えないから仕方ないか。


「そうか。落ち着いたら向かうとしよう。引きとめてすまなかった」


「別にいいさ。あそこにいるナンパ目的で待ち構えてるアホどもに比べたらね」


 親指を後ろに向け冒険者ギルドのカウンターで陣取っている男達を指差す。なるほど。

 女性達だけのパーティーだとこういう奴らが付きまといそうだ。


「それでは、私たちはこれで失礼するよ。君もデートをしているのなら、武器に目を取られずに彼女に目をやるといい」


 フライドラゴンアクスを持った女性は笑いながら冒険者ギルドの中に入っていった。


「マサキ、彼女が持っていた武器に何か心当たりがあるのか?」


「ああ……ここではなんだ。ちょっと場所を移そう。丁度この先に足湯があるからそこで」


「分かった」


 アデルの手を握りながら、足湯がある休憩所まで向かう。昼間近くなっているのに、足湯には大勢の人が詰めかけていた。

 その中には見慣れた槍を背負った男、タツマがいた。昼前の休憩か早めの休憩か?

 デカい槍が目立って人が少ないし、同郷なら話に巻き込んだほうが説明が省けそうだ。


「よう。タツマ、休憩か?」


「マサキか。ああ。昼食を早めに取って休憩時間だ。マサキは今日、休みのようだが俺に何か用か?」


「用というか、耳に入れておこうと思ってな」


 タツマが座っている近くの席にアデルと一緒に腰を掛けて、靴を脱いで足湯に浸かると先ほどの女性の話をタツマにした。


「獣王国か……。マサキ、その斧について本当にブリタリアオンラインの武器で間違いないのか?」


「ああ。あの斧はな、外見や効果を見るに間違いなく、ブリタリアオンラインのフライドラゴンアクスだ。念のために鑑定もしたが、ネームもフライドラゴンアクスと出ていた」


「マサキ、さっきの女性の斧がどうかしたのか?投げても戻ってくるのは面白い特殊能力で強い武器だというのは分かるのだが……」


「可能性の一つだが……、俺の知り合いかもしれん。3年前に連絡が取れなくなった人だ。装備品の共通点が多すぎるから多分、間違いないと思う」


「だから詳しく聞いてたのか……。良かった」


「良かったって何が?」


 じっとアデルの目を見つめると、人差し指を合わせながら少し顔を赤くして逸らした。くそっ可愛い。


「やけに熱心に聞いていたから、もしかしてあの女性に心移りをしたのかと」


「そんなわけがないだろう。こんなに美人な嫁さんがいるのにするわけがない」


「そ……そうか。それなら本当に良かった」


 俺にはもったない程出来た嫁さんなのに、浮気なぞするものか。


「おい、お前ら。公衆の場でイチャつくのは大概にしろ。俺が居るのを忘れてないか」


 タツマが片手に顎を乗せながらこっちを睨み付けていた。あ、やべ。忘れてた。

 ついつい幸せに浸ってしまう。こういうのは家でやるべきだな。反省。


「そういえば、タツマ。この間、休みを貰って王国に行っていたようだが、姫さんはどうだった?」


「ああ。まだ眠り続けたままだ。マサキから貰ったハイエリクサーを飲ませてみたが、効果が無かった。担当医の話だと精神的な負荷が大きくかかっているのかもしれないと言われた。すまない、貴重な薬を無駄遣いしてしまって」


 そうか。ダメだったか。生産スキルでも作れない貴重な薬だったが。わずかな望みにかけたいタツマの気持ちもよくわかる。回復薬でダメという事だけ判明しただけまだマシだろう。


「気にするな。望みがあるなら色々試すべきだ。……早く起きるといいな」


「ああ。そうだな。さてと、そろそろ休憩時間が終わるから俺は行くがマサキ、時間があったら秋葉の所に訪ねてやってくれ。例の物が完成したみたいだぞ」


「本当か!? 分かった」


 そうか。あれが完成したのか。素材の代用品が見つかったのだろう。早速行くか。


「マサキ、例の物とはなんだ?」


「あ〜、報告書にはまだ上げてなかったな。馬の代用品を考えてたんだよ」


「馬の代用品か? そのようなものがあるのか?」


「ああ。自転車と言ってな。人力で走る乗り物だ」


先日のTRPGは、日曜はログホラ、月曜と火曜はトライワイトガンスモークで楽しんできました。やっぱり楽しいですね。今度はクトゥルフもやってみたいものです。

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