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新しい首輪

『牢屋生活三日目』


 昨日の夜に来た奴は夜の担当のようだ、飯を貰った後、兵士にチェックを付けてから、スキルを使い黒パンと野菜スープを変換してみると、今度は五穀パンと鳥ガラスープだった。基準が解らん。

 夜になると外が騒がしくなり、格子窓から外を覗いてみると兵士達が楽しそうに騒ぐ声が聞こえる。戦争で随分と儲けたようだ。人を殺し、捕まえた金でよく騒げるものだと思うが、戦争はこういうものだ。俺の居た世界では長く平和ボケが続いて戦争と言っても実感は出来ない。

それでも過去の戦争の酷さが多く伝えられる。


今の俺は戦争どころではない。騒ぎの声が聞こえる中、直ぐに眠りについてしまった。


朝になり、朝の警備兵から


「少し早起きにしてみたが、朝の空気は澄んでいていつもより清々しく感じたな。今日の飯だ」

「ああ。人が集まればその分だけ塵とか舞うしな」


 数少ない会話を交わしつつ警備兵が居なくなるとスキルを使用。白いパンと上質になった薄塩野菜スープを堪能して食事を終わらせる。

薄すぎる野菜スープとちゃんとした野菜スープの違いが大きすぎるな。


食事を終えてスキルと手持ちのアイテム、GM設定を使ってどうやってここを脱出するかを考えていた所にコツコツと足音が多数聞こえてくる。


とっさに出していたアイテム数点をアイテムボックスに仕舞い、健康的に見えないように壁の汚れを顔や手に付けて偽装工作をしておく。

昨日の夜の警備兵に貧相な食事だったのに明らかに、顔艶が良く怪しまれたからだ。薄暗かったのが幸いして、その時は気のせいだろうと思われたが今は明るい。何か疑いを掛けられない為にも出来る事をやっておこう。


「おい、開けるが無駄な抵抗はするなよ。もしそんな様子を見せた途端その首が飛ぶと思え」


偉そうな高圧的な声に、壁に寄りかかり、ぐったりとした様子で顔を向けて首だけ頷きながら扉を開ける様子を見ている。扉はガチャリと大きく音を立てて開けられ、抵抗する気力が無いように見せて入ってくる兵士をみる。


警備兵とは違い少し上質そうな鎧を着こんだ兵士だ。剣も良さそうだが余りジロジロと見ていると殴られるな。無敵は付けてないから痛いのは受けないに越したことはない。

 兵士は後ろにいるローブの奴から新しい首輪を受け取ると、俺の首に付け始めた。



新しい首輪よー。バチィ!首輪は崩れ落ちた。



「チッ。これもダメではないか!お前らちゃんとやってるのか!」

「ハッ!全力を尽くしておりますが、これでもダメとはなるともう少し質のいい素材でなければ…」


素材の問題じゃないんだよな。言わないけどよ。兵士は憎たらしそうに俺を壁に叩き付けて鉄格子の外へ戻っていく。


「げほっ…!」

「何でこの俺がこんなことをしなければならないのだっ!早く使えない奴なぞ殺してしまえば良いものを…!」

「今までになかった事ですので…はい…。仮にこの者が暴れるような事があれば私どもや警備兵では打ち倒される危険性も…」

「だったら早くコレを従属するようにしろ!解ったか!!早くいけ!!」


兵士はローブの奴らに怒鳴り散らす。何処の世界でもパワハラはいるんだな。彼奴らも無駄な努力かわいそうだ。

 壁にぶつけられた俺は背中の衝撃で蹲りながら兵士が立ち去るのを待ち…、当然ながらこいつにもフードの奴らにもマップでチェックを付けておく。特に兵士に関しては色を変えて区別だ。


チェックを終えるとパッシブスキルの中でHPMP自動回復をセットし、体力の回復を行う。


「ってぇ…思いっきりぶつけやがって…。しかし…明るくても気づかれなかったか」


偽装は上手くいったようだ。美味い飯を食いたいが為に、スキルを活用していたがこんな弊害が出るとは思わなかった。

 本当なら風呂にも入りたい。ルームの魔法さえ使えれば、個人のルームに風呂は設置してあるので入り放題だが、綺麗になっていたら、流石に怪しまれる。


 顔の汚れを腕で拭い、汚れを薄くすると先ほど崩れ落ちた首輪が目に入った。真ん中で千切れており使い物にならないみたいだが、結構頑丈そうな首輪だな。

千切れた部分を糸で補強すれば偽の首輪として使えるか?一応取っておこう。


千切れた首輪:魔法が掛かっていたようだが抵抗力が強すぎて弾かれ千切れた首輪。魔法も解けており今のままでは使い物にならない。レア:C-


パンとか食事と違ってこういうのまでレア度はあるのか。マイナスなのは千切れたからだな。首輪をアイテムボックスの中に仕舞うと今まで使っていなかったGM設定を使う。


(ステルス)


強く心で念じると自らの身体が半透明になる。

成功だ。


GM限定能力「ステルス」

普段人前に表さないようにするために一番使用頻度が高い能力だ。

生命感知、体温感知、聴覚感知、嗅覚やあらゆる感知を受け付けない某蛇もドッキリな能力だ。ダンボールも要らない。



壁に触ってみるが通り抜けることが出来ず、鉄格子もダメだった。

諦めて解除しようとすると牢屋の隅に動く物を見つける。


チッチチッチ。


(ネズミか…こんな不衛生な場所だ。居てもおかしくは…)


ネズミと思ってみているととあることに気付いた。こいつとステルスを共有できないか?

ステルスになった途端、出てきたということは、こいつは俺の存在に気付いてないはず。

ネズミに向かい普通に近づいてみても、逃げる様子を見せない事から今の俺は居ない事になっているはずだ。


ゆっくりと手をネズミに伸ばし捕まえると直ぐにステルスが解除される。


攻撃やこういう捕獲などのアクションを起こすと、ステルスは解除されるようだ。驚くネズミを余所に、再度ステルスを使うと今度はネズミも一緒に半透明になる。

試しにジャンプをしてみよう。着地してもステルスは解除されない。次に手に持ったネズミを鉄格子の外に逃がしてみる。ネズミはステルスが解除され、何が起こったのか解ってないようでキョロキョロとし、走り去っていく。


ステルスを解除して、壁に寄りかかりなおして熟考する。


「ステルスは使えるな。掴めば共有されるが、余り大きなサイズでも行けるのかは期待しない方がいいか。出来れば幸運として…」


ステルスな乗り物とかあったら恐怖だよな。この場合、恐怖を与えるのは俺だけどよ。


「今は三日目…残り四日あると考えて……」


脱出するために使うパッシブスキル、アクティブスキルを今のうちに組んでおこう。

速いかもしれないがこういうのは早い方が後々良いのが思い浮かぶかもしれない。


移動速度増加(中)

身体能力上昇(特大)

近接戦闘能力上昇(大)

隠密性能上昇(大)

MP自動回復(中)

HPMP自動回復(中)



無音撃

疾風の如く

波動剣

時限式ボマー


半々で組んでみたがこんなものだろうか。

移動速度を重視して隠密性能を上げた。忍者だなこれは。


ボマーは名前の通り爆弾だ。違うのはモンスターを使った生体爆弾だな。

攪乱や搖動にも使えるしMPがある限り多数設置できるのが大きな利点だ。

GMな俺にとってはMPの回復手段なぞ幾らでもある。


無音撃は素手での装甲無視ダメージだ。音が出ないから気づかせずに倒すのに良い。


疾風の如くはさらに移動速度を引き上げるアクティブスキルだ。

クエストをマラソンする時にはよく使われるスキルだな。


拳から気弾が出そうな名前のスキルは波動剣と書いてオーバーソードと読む。

剣の先からオーラが出て攻撃範囲を引き上げると同時に攻撃力を上げる騎士系統のアクティブスキルだ。元のMMOでは見た目もあって人気のスキルだったな。俺も多用していた。



設定画面と睨めっこしながら、スキルを組んでいるとコツコツと足音が聞こえてきた。時間を見てみたら夕食の時間のようだな。


「動くなよ、飯だ」


 相変わらず無愛想に告げる警備兵。何時もならさっさと元の場所に戻るんだが、今日は何故かじっとこっちを見ている。


「………」

「…何だ?」


流石にじーっとみられていると、スキルも使えないし食事がしにくい。


「明後日だ」

「は?」


 明後日?何のことだ?


「明後日にまで貴様の従属が決まらなければ処刑される。精々従属の首輪が付けられる事を祈るんだな」

(なんだと!?明後日ってまだ余裕が四日あるのになぜ…!?)


 驚く様子を見せる俺を余所に、夜の警備兵は立ち去って行った。


 今日のスキルで変換したパンとスープは沢庵入りのパンと野菜入りの和風スープだった。

基準が謎すぎる…!しかも微妙に合わない。



今のスキル一覧と本来使えるジョブです。


パッシブスキル

移動速度増加(中)(ハイシーフ)

身体能力上昇(特大)(グラップラー)

近接戦闘能力上昇(大)(ダークロードナイト)

隠密性能上昇(大)(アサシン)

MP自動回復(中)(マジックフェンサー)

HPMP自動回復(中)(ロードパラディン)


アクティブスキル

無音撃 (アサシン)

疾風の如く(アサシン)

波動剣(ロードパラディン、ハイナイト)

時限式ボマー(ハイアルケミスト)

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