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スキル融合と帝都急変

 野戦病院で治療後、ようやく一息つけたので俺は覚えた…というよりも、閃いたと言った方が正しいかもしれないな。『スキル融合』を使ってみる。以前から、MPの消費に悩まされていたので、MP回復(小)とMP回復(中)を選択し『スキル融合』を試してみる。




―――――『MP回復(小)+MP回復(中)=MP回復(大)になりますがよろしいですか?』――――――




 頭の中でメッセージが流れてきた。GMのウィンドウ画面を見ればログにしっかりと表記されている。もちろん、はい。を選ぶ。




――――MP回復(小)とMP回復(中)を融合し、MP回復(大)を習得しました。――――




 スキル欄を確認してみるとMP回復(小)(中)が消えて、MP回復(大)が現れていた。これなら少しはMP問題は改善できるだろう。続いて、HPMP回復(小)と(中)を融合させてみようとしたが、再使用時間が12時間とでた。連続ではスキルの融合は出来ないみたいだな。12時間後に今度はさっきの二つを混ぜて(大)にしよう。


 俺がスキルの融合を数日かけながらおこなっている頃、軍は帝国に向けて再編成と

捕虜達はラーフの街で復興作業をさせていた。

 一部の兵士達は王国に就きたいと志願してきたので、欠員が出た所や、ハヤトとジロウの部隊に組み込んだ。タツマもこちらに付いてくれると助かったのだが、今の時点ではこちらに付くつもりはないと断言されたので、要人用の部屋に軟禁してある。アイツの実力なら簡単に出られるだろうから、余り意味はないんだがな。


 決戦から三日後、まだ再編成に時間がかかるとジロウから聞き、俺は魔力が枯渇気味で体調を崩したヨーコの元を訪れた。

どうやらゴーレム達の修復はヨーコの魔力を使うらしく、頭が大きく欠けたギガントゴーレムと、ダミーゴーレム。さらに、新しく手に入れたエクスマイザーの燃料が魔力に変わったようでその補充に大幅に魔力を使い、決戦後からずっとヨーコは治療室のベッドでダウンしていた。アデルが魔力補給を使っても、直ぐに魔力を式に吸われて枯渇寸前になっている。これは自然回復に任せるしかないみたいだな。


「ぅー………」


 思った以上にきつそうだ。俺も魔力が尽きかけた事が何度もあったから気持ちは解るが常時、魔力切れ寸前な状態は心身ともに堪えるだろう。


「大丈夫か?」


「んー…ダメっぽい。ごめんなさいね。私も回復手伝えたら良かったんだけど…」


「今のままじゃダメだろ。それに、ヨーコは十分戦闘で活躍してくれたからな。今はじっくりやすんでくれ」


「はーい…」


 ベッドできつそうに寝ているヨーコの頭を撫でてやると、目を細めて心地よさそうにしていた。金髪はサラサラで、触っていると気持ちいい。ゆっくりと撫でていると、ヨーコは「すー…」と落ち着いた寝息を立てて眠ってしまった。起こすのは悪いからこのまま寝かしておこう。






 治療室から出ると何やら騒がしい。何かが起きたのは間違いないようだ。王子の方に出向いてみようと足を進めていたらパドルから念話が入ってきた。


≪お館様!お館様聞こえますか!大変ですぜ!!≫


≪聞こえてるぞ。慌てなくていい、何が起きた?≫


 いつも冷静な兄のパドルが慌てながら念話を送ってきた。こっちも何か大きな問題が起きたのかもしれない。


≪それがですね、アラン伯爵様の頼みで海から帝国の動きを見てくれないかと言われて、王国の軍船と一緒に帝国近海まで来てたんすけど…。なんか帝国から逃げるように漁船や商船、さらには軍船まで全速力で走ってやして≫


 軍船だけなら何処かに出撃したのかもしれないが、漁船や商船まで急いで離れてるということは変だな。


≪あの馬鹿でかいフリゲート艦でさえ、俺達を無視して走ってやした。それで伯爵から借りた望遠鏡で、帝国を遠くから覗いたら…帝国中が茨で覆われて城があった場所には見た事がないほど大きな樹が…!街中には植物っぽいモンスターで溢れてやした。一般人も兵士も大勢やられちまってる感じです≫


≪大きな樹だと…?≫


 大きな樹という事で俺はバリーの事が思い浮かんだ。あいつの身体も樹で構成されていた。帝国でヤバい事態が起きてるみたいだな。もしかして、今こっちで起きてる騒ぎもそれか…?


≪多分、こっちでもその騒ぎが丁度伝わってきたところだ。お前らは海から監視を続けつつ、無理しない程度に行ける距離まで進んでくれ。海までモンスターが進んでくるなら直ぐに退けよ≫


≪わかりやした!バルバロッサ船長にお伝えしやす。後、難民の救助もやっておきやすね!≫


 俺の考えがよく解っている部下で助かるな。言わずとも動いてくれるのは楽であり、これからも大切にしたくなる。


≪ああ。それじゃ念話を切るぞ。念を押すが、無理だけはするなよ≫


≪わかりやした!≫


 パドルとの念話を切ると、俺は足早に作戦本部へと向かった。そこには既に、ハヤトやアデル、ジロウもいた。そして、手錠が付いていたがタツマも席についていた。


「マサキか、ちょうど呼びに行こうと思っていたところだ。帝国が大変なことになっている」


「ああ。俺の方もパドルから連絡が入った。城に巨大な樹が生えていて、街中にはモンスターが溢れていると。多くの船が帝国から離れる姿を確認してある」


「それは本当か!?」


 声がするほうを見ればタツマが椅子から立ち上がり、険しい表情で俺のほうを見ていた。


「今、聞いたばかりの情報だ。間違いないだろう。こっちではどうなっている?」


「こちらも同じだ。戦闘が終わり、情報収集の為に斥候を帝国へ放っていたんだが、先ほど念話で同様の事を告げた直後、連絡が途絶えてしまった」


 パドル達は海に居たから大丈夫だったみたいだが、陸地にいた斥候は犠牲になったのかもしれない。斥候というからには足が速い者が選ばれるはずだが…不意を受けたか、または逃げる暇もなくやられてしまったのか…。


「帝国に巨大な樹が生えていた事についてだが、タツマ。城にそのような樹は生えているか?」


「そのような物はない。その辺りに生えている普通の樹ぐらいしかないぞ」


 王子の質問に淡々とタツマはイスに座り直して答えているが、今にも帝国の様子を知りたくて仕方がないようにうずうずしている。ここで捕虜になっていなければ、今すぐにでも向かいそうな勢いだ。俺は帝国には嫌な思い出しかないが、タツマは何か帝国に大切なものがあるような。そんな感じがする。


「ここで話をしていても仕方がないですね。軍はまだ再編成が終わってません。少数精鋭で帝国を見に行ったほうがいいかもしれませんね」


 ジロウの言葉に全員が頷く。ラーフの街と同じで急を要する事態だ。折角、帝国と決着を付けられると思ったのだがな…決着どころではなくなったか。






 少数精鋭のメンバーは一刻も速く向かえるメンバーとして俺とアデル、飛竜に乗れる王子。飛竜の同乗者としてハヤトとタツマが選ばれた。ジロウはアスタと共に軍を再編成してから帝国に向かうらしい。しかし、タツマまで連れて行って大丈夫なのだろうかと思って聞いてみたが、ハヤト曰く。


「こいつは帝国に惚れてる姫さんがいんだよ。だからこそ、今まで張り切って帝国についていたみたいなんだがなぁ…帝国もこうなっちまっては姫さんもヤバい。だから、裏切る心配は皆無だろうぜ」


「…余計な事はいわなくていいだろうが!」


 なるほど、惚れた女の為か。だから、さっきからうずうずしてたのか。裏切る心配がないなら連れて行っても問題ないな。ヨーコは連れていけないだろうが…植物に関するならば詳しい春香は連れて行きたい。秋葉の遠距離攻撃や多数の重火器も欲しいところだが、俺が連れていくにしても移動力が落ちる。飛竜も定員オーバーだ。……仕方ない。裏技を使うか。


「レオン王子、今まで伝えていなかったが…俺には人を運ぶ裏ワザみたいなのがある。これを使えば飛竜の体力も温存出来てより速くいけるだろう」


 俺は作戦司令室でとある裏技の事を伝えると、全員が驚いたが実践してみせると効果のほどを納得してくれた。これでも人数制限はあるが、少人数なら問題はない。速く向かおう。


 俺は空を飛びながら、スキル融合で作ったスキルをいれて組み直す。今のスキルはこれだ。


パッシブスキル

魔力上昇(大)(ドルイド)

MP自動回復(大)(スキル融合)

HPMP自動回復(大)(スキル融合)

武神の心得(近接能力上昇(大)+身体能力上昇(特大))

気配感知能力上昇(大)(アサシン)

攻撃範囲拡大 (ブレイブフェンサー)


アクティブスキル

トリプルインパクト(竜騎士)

ドリルバンカー(竜騎士)

波動剣(ロードパラディン、ハイナイト)

六道千塵 (ブレイブフェンサー)



 トリプルインパクトは3回連続で突きを入れるスキルだ。これだけだといたって普通の攻撃スキルだが、防御無視ダメージのドリルバンカーと組み合わせると、スキル融合で『ドリルバンカー・インパクト』と言う複合スキルが発生した。今まで、リヴァイアサンやバリーのような強敵には波動剣が通りづらいが、これならば単体に深く貫く3連攻撃が出来る。



 俺と王子が、二人で空を飛びながら帝国目指して向かっていると、城があった場所に大樹がそびえたっていた。地上の方でモンスター同士の戦いが起きている様子がみえた。片方はパドルが伝えてくれた茨が付いた植物人間のようなモンスターだ。相手をしてるのは頭が犬の…コボルトの集団だな。


「……ハイコボルトでさえ苦戦か。数が多すぎるな」


 隣で王子がぼそりと呟くのが聞こえた。冒険者でも苦戦するハイコボルト。それが苦戦する理由は、圧倒的な物量で攻めてきている植物人間だ。倒しても倒してもまだ数がいる。しかも、相手は植物だ。疲れや痛みを知らない。見ているうちに徐々にコボルト側が押されていく。


 俺は手を植物人間に向けて、わずかな魔力でホーミング式のフレイムジャベリンを放ち、ハイコボルト達の支援をする。ハイコボルト達は何が起きたのか分からずにいたが、目の前の敵が倒れた事に気づいて体勢を立て直し攻勢にかかった。これで少しはなんとかなるだろう。後はあいつらの頑張り次第だ。


「一応、魔法は有効みたいですね。再生は無いようです」


「そうか。そろそろ帝国の入口が見える。敵がいないところを探して降りるぞ」


「分かりました」


 王子は俺を咎めることなく、見逃してくれた。…俺の目にはハイコボルト達の中に、小さな子供コボルトが映った。だからこそ、少しだけ手を貸した。今は彼らの実力で生き延びてほしい。




 俺と王子は敵が少ない場所を見つけると、飛竜のブレスとホーミング式フレイムジャベリンで敵を一掃。安全を確認すると『ルーム』の魔法を使いドアを作り出す。


「ようやく着いたみたいだな」


 ドアを開けて出てきたのはアデル、如月姉妹、ハヤトとタツマだった。裏技というのは、ルームを使った移動だ。このルームはどこから入っても、移動先でルームを使えばその場に出る事ができる。これを利用して集団の移動を可能にした。これならば移動により疲れなどがなくなり、万全の状態で戦うことが出来る。


「春香。ここから樹が見えるが、あれがなにか分からないか?」


「ん〜〜…そうですねぇ……。もうちょっとサンプルというかー……植物のモンスターさんの情報も欲しいですねぇ……。ただぁ……まともな植物じゃないってことは間違いないみたいですよぉ」


 城を貫いてる時点で普通じゃないのは明らかだが、いつもの、のんびりとした声の割に表情はなにか嫌なものを見たといった困った表情をしている。


「サンプルか。……向こうからやってきたようだ。蹴散らしながら街に進むぞ!」


 マップを見ると徐々に敵のマーカーが俺達のほうに向かってきていた。このままだと外にいる奴らが群がってくるか。さっさと街中に入って生存者を見つけよう。


今回の装備スキルです。()の中身は本来覚えるジョブとなってます。


パッシブスキル

魔力上昇(大)(ドルイド)

MP自動回復(大)(該当なし:スキル融合)

HPMP自動回復(大)(該当なし」スキル融合)

武神の心得(該当なし:スキル融合)近接能力上昇(大)+身体能力上昇(特大))

気配感知能力上昇(大)(アサシン)

攻撃範囲拡大 (ブレイブフェンサー)


アクティブスキル

トリプルインパクト(竜騎士)

ドリルバンカー(竜騎士)

波動剣(ロードパラディン、ハイナイト)

六道千塵 (ブレイブフェンサー)


複合スキル

ドリルバンカー・インパクト

波動の太刀

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