獣王祭
ピピピピ! ピピピピ!
けたたましいアラーム音が鳴り響く。
今は、七時か……後十分……じゃない、起きないと。
眠気が残る目をこすり、欠伸をしながら身体を起こす。
ステータスウィンドウを開き目覚まし用のアラームを止め、ベッドから降りる。
ぐっと身体を伸ばすと関節がコキコキとなるが、倦怠感も疲れやコリも感じない。
どうやら完全に回復したようだ。
ステータス.も確認してみると、昨日まで微妙に減っていたステータスの全てが元の数値に戻っていた。
猫柄のパジャマから、暑さ対策に作った氷狐のジャケットとゴーストシャツ、そしてベージュ色のディアホーンズボンに着替える。
普段はコスチューム衣装で済ませるんだが、ここ最近は暑さも増してきたので新しく作ってみたんだ。GM装備でも暑さや寒さは防げないからな。
素材は氷狐の毛皮に、ブルースチール繊維と虹糸。白いシャツはウィンドゴーストの布と聖糸、ズボンの方はブラウンディアホーンのなめし皮を加工したものだ。
革細工スキルと裁縫スキルもそれなりに鍛えているし、スキル自体はGM権限で使えるので失敗することなく作れた。後、皮細工スキルが0.五。裁縫スキルが一上がった。
防御力もそこら辺の全身鎧よりは丈夫なので、このままの恰好で戦闘も出来るのが利点だな。
氷狐のジャケットには〈耐熱耐性〉〈フリージング・ソーン〉、ゴーストシャツには〈物理耐性〉〈魔法耐性〉、ディアホーンズボンは特にスキルは着いていないが、防御力が高く、通気性もいいのでこの暑さでも蒸れない。
氷狐のジャケットに付いている〈フリージング・ソーン〉は攻撃を受けた際、絶対零度の棘を放って自動で反撃するスキルだ。ダメージが微々たるものだが、極稀に追加効果で麻痺を与える事が出来る。
地味に嫌な効果だが、なんのスキルも付けずに発揮するこの効果は破格だろう。
この氷狐のジャケットだが、【ブリタニアオンライン】でも人気の防具レシピだ。
少々レアな素材を使ってしまったが、快適な暮らしを得る為には仕方ないよな。
ジャケットに袖を通すと、快適な温度が身体を包み込む。暑過ぎず、寒すぎず丁度いい。
パッシブスキルにも〈耐熱耐性〉はあるんだが、こんな暑い時に暑苦しい恰好をしていたらどう見てもおかしいので、服の方で調節することにした。スキル枠も消費しないしな。
材料はあと少し余裕があるので、皆用に氷狐のレザーバンドを作った。流石に〈フリージング・ソーン〉の効果は付かなかったが、無事〈耐熱耐性〉の効果が付いた。リストバンドなら服装の邪魔になる事もない。寒さ対策用には炎虎のマントでも作る予定だ。こっちはレベル上げの狩りで毛皮は大量に残っているので全員分作れるな。
不意な戦闘がおこってもこの装備なら対処できるし、いざとなればショートカット装備の中にはGM装備を登録しているので、いざと言う時には直ぐに元の装備に戻す事が出来る。
ショートカット装備は、一瞬で登録した装備に着替えることが出来る機能だ。
一つ一つ装備する手間を省きたい、一括に装備したいという要望に応えて【ブリタニアオンライン】で実装されたシステムだ。
【ブリタニアオンライン】ではボス戦や敵に応じて、装備を代えることが多く、一々装備を代えるのが物凄く面倒なんだ。
だが、予め登録さえしておけば、直ぐにその装備に着替えることが出来る便利な機能だ。
この機能はこっちの世界でも健在で、いざと言う時に備えてGM装備を登録している。
これにはコスチューム装備も登録できるのでGM装備独特の発光も押さえることが出来る。
今まで出番がなかった機能だが、これから先にも、気温に応じて服装を代える事や状況に応じて装備を代えることもあるだろう。
コンコンコン。
着替え終えると、扉をノックする音が聞こえた。
「マサキ、準備は出来たか?」
「ああ、ばっちりだ」
扉を開けると、アデルにヨーコ、秋葉にフェン、ネメアーにレヴィア、あとアリスもフェンの肩に乗っている。すっかり定位置だな。
皆が扉の前で待っていた。こうして全員が揃うのは久々な気がする。
「んと、マサキお兄さん……。お身体の方は……大丈夫です……か?」
「お陰様でもう大丈夫だ。フェンも心配かけてごめんな」
「はわっ、えっと、大丈夫なら、良かった……です」
心配そうに見上げてくるフェンの頭を優しく撫でると、フェンは目を細めて気持ちよさそうにしていた。白い耳と尻尾が、ピコピコピコパタパタパタと忙しなく動く姿が可愛らしい。
「よし、そろそろいくか」
今日朝起きしたのには理由がある。
獣王祭。
今日がその開会式だ。来賓扱いで呼ばれているので、全員そろって向かう事になっている。
その後は、とある大会にも出る予定。
唯一不在の司は、歌のリハやら準備やらで忙しく、こっちに顔を出す暇すらないようだ。
本人は楽しそうにしていたけどな。
場内も朝早くにも関わらず、場内はメイドや執事など使用人達だけでなく、多くの文官達が忙しなく動いている。国の一大イベントという事もあり、近隣祖諸国からの来客や、各部族の長達などが招待されている。彼らはその対応に追われているのだ。
流石にハイエルフの長は歳の為、孫を代理に寄越すようだ。
全員で城内の食堂で軽く朝飯を済ませる。
食堂はビュッフェスタイルで好きな物を好きなだけ食べることが出来る。兵士に懐にも優しい金額のようだ。朝の訓練が終わった兵士で食堂はごった返している。こういう所が、帝国を退けたこの国の強さの秘訣なのかもしれない。
衛生面を考えるとビュッフェスタイルは難しいが、獣人達は基本的に大食いなので、痛む前に料理が消えてしまうらしい。
大皿に山の様に盛られたアイアンアリゲーターのソテーにブロンズフロッグの串焼きは圧巻。
見ているだけで腹一杯になりそうだが、狂獣の肉は絶品だ。俺達も今日は少々がっつりと食べることにした。
秋葉は、大皿に取ったシルバーラプトルの肉と小松菜の様な野菜であるコサイの香草炒めとブロンズフロッグの肉が入った野菜スープと白いパンを食べながら苦悩していた。
「うぅ……朝からお肉……カロリーが……でも美味しいよぉ。正樹さんの手料理程じゃないけど」
「あんまりその辺りは気にしなくてもいいと思うぞ。今日はその分消費するだろうしな。しっかり食べないと後々きつくなるから、しっかりと食べた方が良い」
「そ、それもそうですね。その分動けば問題ないですよね。今日は沢山動きそうですし」
「ダイエットとかでも、下手に食事を減らすと筋肉の方から落ちていくみたいだからなぁ。ちゃんと食べた後に運動する方がより効率的に痩せるらしいし」
「へー……そうなんですね」
俺達がダイエットについて話をしていると、周りのメイドさん達の動きがぴたりと止まり、聞き耳を立てていた。
この世界でも、ダイエットと女性は切り離せないもののようだ。
俺もちょっと大学の頃に、少し体形がやばかったのでダイエットに励んだことがある。
その時にしっかりとスポーツジムの人に教えてもらったんだ。
基本的には長い時間を掛けて早歩きする事や、運動前の食事はしっかりとる事。ある程度の食事制限はしてもいいが、ストレスになると逆に太りやすくなることを話した。
メイド達が必死にメモを取っている姿は異様で、兵士達ですら少し引いていた。
朝食を取り終え、黒髪と同化する『黒狼耳バンド』を付けて、長い階段を下って城下町まで降りる。
「あの、正樹さん。もしよかったら、私にも似たようなの貸してほしいんですけど……」
「あ〜……そうだな。人族ってだけで目立つしな。ちょっと待っててくれ」
秋葉に似合う物っと、うさ耳も良いし、狐耳も捨てがたいが――これがいいな、これにしよう。
『猫耳バンド(付属付き):にゃーんと鳴きたくなるような猫耳。装備するともれなく尻尾が生えます』
頭に付けるアクセサリーなのに、付属で猫尻尾まで生える猫耳だ。
秋葉に手渡し、頭に付けると茶色だった猫耳が秋葉の髪の色に染まり、ぴょこんと秋葉のお尻から猫の尻尾が生えた。
「え、えっと。正樹さん、似合いますか?」
「うんうん。良く似合ってる」
思わずサムズアップしたくなるような可愛さだ。アデルもフェンも頷いており、ヨーコもぐっと親指を立てている。
「これなら秋葉も安心ね。でも尻尾まで生えるなんて凄い道具ね。まるで本物みたい」
「ふにゃっ!? ちょっ、ヨーコさん! 尻尾握らないでっ! あぁぁぁぁぁ」
どうやら尻尾にも感覚があるようです。ヨーコ、頼むからこんな所で悶えさせるな。
アデルと一緒にヨーコを引っぺがして、秋葉が落ち着いた所で長い階段を下りる。
その際も秋葉はヨーコを警戒し、俺を挟んで近づこうとしなかった。
触るにしても時と場所を考えないとな。うん。俺は時と場所を選んで触らせてもらおう。
猫耳少女なんてご褒美じゃないか!
城下町に降りると、朝にもかかわらず通りが大勢の人で賑わっていた。すげぇ人の数だ。
種族も多種多様で、一般な獣人である、猫人族や狼頭族に始まり、エルフにダークエルフ、ドワーフに妖精など普段見ない人達もいる。まるでファンタジー人種大集合だな。
足りないのは人魚と、魔族や天使くらいか。人魚は立地的に無理だし、魔族の方はまた別の大陸なので困難だろう。天使は存在するか知らん。この世界を知る為に色んな本を読んだんだが、そのどれにも天使の記述が無かった。神、と言う単語は所々で出たんだけどなぁ。
それにしても人が多すぎる。進むのも一苦労だ。
「こりゃ下手すりゃ逸れるな。全員、逸れないようにな」
「判った」
「はいはーい」
「えっと、じゃあ」
俺がそういうと、アデル、ヨーコ、秋葉の三人が俺の腕と服をヒシっと掴む。
右手にアデル、左手にヨーコ、背に秋葉だ。嫁さん達による完全防御体制だ。
しかし、これには大きな欠点がある。
「……これだと動けないんだが」
「「「あ」」」
そりゃ両手を塞がれた上に、背中の端まで握られたら動くに動けない。
三人ともそれに気づいたらしく、全員照れ臭そうに手を放した。
「フェンは、私の肩に」
「あ……はい。ネメアーおじさん……肩、借ります……ね」
「おー! 高い高い!」
フェンは小さく逸れやすいので、ネメアーの肩に乗せてもらっている。
アリスも嬉しそうにはしゃぐが、お前はもっと高いところまで飛べるだろうに。
「マサキよ。人が増えてきておるし早く行かねば、込み合いそうじゃぞ」
「おっと、そうだな。そろそろ行くか」
レヴィアに促されて、全員一塊になって歩き始める。
通りでは、以前とは比べ物にならない程に活気に溢れており、多くの出店が立ち並んでいる。
肉や野菜、川魚を焼いている露店や、珍しい物では香木を売っている店もある。出店の中には腕相撲のによる賭け事小屋や、怪しげな占い小屋。果てにはパフパフ小屋と看板を出しているところもあった。っておい、最後いいのかよ!?
思わず二度見してしまった。何処の世界も男は馬鹿なのか、男が行列を作っている。
すると、雑踏の中から衛兵達が現れた。
衛兵の登場に、パフパフ小屋に並んでいた男達が逃げるように一斉に散った。流石の獣人達、逃げ足が速い。
最後に店の方を見た時は、店主らしき獣人が両手に縄を付けて連行される姿だった。
やっぱりパフパフ小屋は駄目だったようだ。
そのまま人の流れに乗るように進んでいく。大体の人達が目指す場所は同じの様だ。
司のライブが行われた場所とはちょうど反対側には、巨大な闘技場が立っている。
ここでは定期的に闘技大会が行われている。
闘技場は数千人を収容出来るので、今日はここで開会式が行われるのだ。
闘技場の中に入ると、一般用と関係者用の入り口に別れている。
俺らは獣王の配慮もあり来賓扱いとなっているので関係者用の方に入る。貴族や来賓客はこっち側だ。
通路を進むと、見慣れた人達を見つけた。
リデアさんと、シーザー、四大公爵の一角熊猫族のトントン・チェンバー公爵がいた。
シーザーもリデアさんも公爵と呼ぶべきなんだが、シーザーは共に戦った仲という事で呼び捨てでいいと言われ、リデアさん本人がさん付けが良いという事なのでさんづけにしている。公爵と言う身分なのに、皆気さくだ。これも獣人の気質なのかねぇ……ザンドが変わり者だっただけなのかな。
三人とは王城にいるときに何度も話をしたり、一緒に夕食を取った事もある。
シーザーとトントン公爵は白銀の鎧を着た騎士姿で、リデアさんは黒のドレスで、金色に輝く月のブローチが良く生えている。種族通り月の兎をイメージしたのだろう。熱くないのかな。
「マサキ殿も来たか。身体の方は大丈夫かね?」
「ええ、お陰様で。トントン公爵様もお身体の方は如何ですか? 特に右腕の方」
「マサキ殿のお陰で、動かなかった右腕も無事完治している。いやー、本当にありがとう」
「いえいえ、俺が出来る事をやっただけなので」
トントン公爵は満面の笑みで俺の手を握る。熊の肉球がぷにぷにしている。
トントン公爵はノーフェイスが生み出したモンスターとの戦いで右腕を大きく負傷し、肘から先が動かなくなるほどの重傷を負っていた。
熊猫族は筋肉と脂肪の壁が分厚く、鎧もあって盾役として非常に優れているのだが、今回は最も脂肪も薄く、筋肉が付かない関節のつなぎ目を負傷してしまった。
その事を知った俺はまだベッドに寝込んでいるトントン公爵の下を訪ねて、『ハイ・ヒール』で治したんだ。ステータスが下っているのも身体に関するもので、INTやMNDは元の数値のままだったからな。
その縁もあって、トントン公爵は俺に好意的だ。
「マサキ殿も此度の祭りには参加するのだろう。どの部門に参加するのだ?」
「あー……俺の方は」
「その話は後にした方が良くないかしら。もうそろそろ陛下の挨拶が始まるわよ」
「む、そうか。ならばいくとしよう」
シーザーを先頭に、俺達は来賓用の通路を歩いていく。
服装の方は大丈夫かと聞いてみるが、どうやら多くの種族が各々の部族に有った正装で着ているので、今の俺達の姿でも問題ないとの事。
「だが、マサキ。セントドラグ王国の伯爵として来賓席に向かうのであれば、そう見えるモノがあった方がいいんじゃないか」
「そうよねぇ。こう、舐められないような服装が良いわね」
「正樹さん、何時も羽織っているあのマントとかどうですか? あれなら見た目も良いですし」
「後は、剣を持てば十分だろうね。『レヴァーテイン』とか丁度いいのではないかな」
「んと……あの剣……からは強い力も……感じますから……ね」
「うんうん。マナとは違ったなんかすごい力を感じる。レヴィアとー、ヨルムンガルド様に近い感じの力かな」
「ほれ、皆もこう言っておるしさっさと着替えい。お主が舐められると、此処に居る全員が舐められることになるぞ」
皆のいう事にも一理ある。一般の人達には目立たない服装でいいが、此処に要る人達は各種族の代表だ。
代表達にはノーフェイス達を倒した事も伝えられている。ここは人族としていくべきだな。
『黒狼耳バンド』を外すと、秋葉も同じように猫耳を外す。勿体ない……。
装備を入れ替えるとシーザーがじっと蒼龍のクロークを見つめてきた。
「ほう。ドラゴンの鱗で出来たマントか。以前はじっくり見る事は出来なかったが、改めてみると美しい物だな」
正確にはドラゴンじゃなくて、龍なんだがな。四神である青龍からのレアドロップ品だ。
「あら、普段は武具に綺麗さなんて求めないシーザーが珍しい。ふふっ、雨でも降るのかしら」
「それだけ、マサキ殿の武具が素晴らしいという事だけだ。燃えるような輝きを持つ『レヴァーテイン』もな」
「俺以外が握ったら本当に燃えるので、触らないでくださいね」
「判っている。某とて焼けたくはないからな」
雑談をしながら足を進めると、来賓用の席に着いた。そこには既に多くの代表や来賓客が座っており、俺達が出てくると一斉に視線が集まる。
「あれが蒼の」「人族だが……計り知れない力を感じるな」「見たこともない鎧だな……あのマントは竜皮ではないか?」「それだけは無い、周囲の者達もまた」「あぁ、美しい……」「うむ、周りの女性達もだが、銀の髪をした女性は特に素晴らしいな」「いや、人族の男の方」「「え?」」
ボソボソと話す声を他所に、好奇心が五割、見定めようとするのが三割、残り二割は明らかに俺に対して嫌悪感を持った視線で睨んでくる。
「ふんっ……気に入らんな」「人族如きがこのような場に……」「なぜ獣王は人族なぞ招待を……」
憎しみを凝った視線を送っていた貴族や、長達に対して、シーザーが鋭い視線を向けると、視線をそらした。流石にシーザーを相手には分が悪いようだ。
「すまないな、マサキ殿。まだ人族に対して憎しみを捨てきれるものがいるのだ」
「わかっています。俺は気にしてないので大丈夫ですよ」
帝国が残した傷跡は大きい。こればかりは仕方ないだろう。
俺達に害を成さなければ俺はどうでもいい。
手を出して来た時はそれなりに痛い目にあってもらうけどな。
俺達は用意された席に座り、しばらく立つと高らかにラッパの音が鳴り響き、ドラが鳴らされる。
『諸君、良くぞ『獣王祭』に参られた。再び諸君らと会いまみえることが出来、儂は嬉しいぞ!!』
獣王は本当に嬉しそうな笑みを浮かべながら、高らかに声を響かせる。
それにしても、獣王の声が本当に良く響く。
元々の声量が大きいのもあるだろうが、これ、闘技場の外まで響いてないか?
何か魔法的な物でも使ってるのだろうか。
『此度は不幸にも、祭りの直前に悪しき者の手により、獣王国は多大な被害を受けた。しかしだ、以下様な邪魔が入ろうとも、我らが祭りを止めることは出来ぬ! 獣王祭とは、由来は王国の興りから始まったとされ、本来――等といった堅苦しい物は止めだ止め』
獣王、めんどくさくてやめたな。
要らないからといって、用意していたカンペを捨てるな。
そばの宰相らしきエルフの男性が胃を押さえているぞ。
『祭りとは、我らが存分に楽しむためのものだ! 民よ! 儂が許す! 堅苦しいことはこの際投げ捨てて、全員、思う存分、全力で楽しもうではないか!!』
オオオォォーーーーーーーーーーー!!
大地が揺れる程の歓声。これが獣王祭か……凄まじいな。
『あー、こっからうちが獣王様と一緒に進行を進めさせてもらう皆のアイドル、司や! よろしゅうなー!』
おい、司なにやってんだ。歌だけじゃなく、進行役もやるのかよ!
だが、獣王の声が良く響いてた理由がよく分かった。これ司の『マイク』使ってるな。
「「「「ウオオオォォオオオオオオオ!!!」」」
『にはは! 応援ありがとなー!』
『儂のより歓声が大きいのだが……』
『気のせいや気のせい。ほな、進めるでー。皆楽しみにしとる、闘技部門、狩猟部門の第一回戦や。闘技に参加する人は闘技場入り口に、狩猟に参加する人は東門入り口に集まってなー』
お、始まるようだ。俺達もそろそろ移動しないとな。
俺が立ち上がると、貴賓席にいた他の数名の貴族や長達も立ち上がる。
彼らもまた参加者のようだ。
シーザーも同じように立ち上がり、ふと思い出したように俺に声を掛けてきた。
「さっきは聞きそびれたのだが、マサキ殿は闘技に参加するのか?」
「いいえ、闘技には出ませんけど?」
「え?」
「闘技には参加しませんよ。狩猟の方に参加します」
感想、評価ポイントを頂けると励みになるので大変ありがたいです。
前回の司の歌に関するコメントが多く、非常に嬉しかったです。やっぱり7は良いですね。
今回から獣王祭の始まりです。多分そこまで長くはならないと思います。
最近、急激に寒くなって来たので、皆さんもお風邪などにはご注意を。
全く関係ない事ですが、FGOでエリちゃんがまた増えるみたいですね。流石アイドルだわ。
 




